缶チューハイ市場が盛り上がる中、個性的な手法で展開しているのがアサヒビールの広口ボトル缶シリーズです。その新作「アサヒ 和がさね酎ハイ」がかなり個性的だったので、特徴などをレポートしていきましょう。
アサヒの個性派ボトル缶チューハイの第3弾
アサヒビールが展開してきたボトル缶シリーズには、400mlの広口ボトル缶×個性的でプレミアムな味×コンビニで発売(その後一般発売されたブランドも)という共通点があります。第1弾は2020年春にデビューした「アサヒ ザ・レモンクラフト」、第2弾は2021年春限定発売となった「アサヒ月庵(げつあん)緑茶割り」。
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続く第3弾が今回の「アサヒ 和がさね酎ハイ」。まず、黒をベースとした和風のデザインからして個性的です。しかも和柑橘に加えて日本的なスパイスも使っている、というのもポイント。一つずつ、スペックなどを深掘りしましょう。
「アサヒ 和がさね酎ハイ国産ゆず生姜」は、程よい甘みの中にもゆず特有の渋味、苦みが味わえる大人仕立て。生姜ならではの甘くスパイシーな香りが、ゆずの爽やかな香りを引き立てる仕上がりになっています。
「アサヒ 和がさね酎ハイ国産田熊すだち和山椒」は、“幻の柑橘”とも呼ばれる希少な「田熊すだち」を使用。さらに「田熊すだち」と同じミカン科である、和山椒を漬け込んだスピリッツで個性的な味わいに。
アサヒビールによると、開発背景にはコロナ禍の外出自粛による「こだわり商品の需要増」「国産品を買って日本を応援したいという機運」「スパイス人気の拡大」に着目したとのこと。味わいに関しては、スパイスがどのように効いているのかが気になるところ。飲んで確かめてみます。
想像以上にトガッてるけど好きな人はハマる味
アサヒビールの今年最大のヒット商品といえば、売れすぎて4月20日の発売初日に一時出荷停止となった「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」でしょう。あのボリューミーでシルキーな泡は中身ではなく缶内面に設けた凹凸部が関係していますが、つまりパッケージの開発にも優れた技術をもっているということです。その一端が、このボトル缶にも。
回りくどい説明となりましたが、何が言いたいかというと、飲み手のことを考えた設計になっているということ。口が広いため、ボトルから直接飲んだ際に、缶内部の香りが鼻孔に多く流れやすいのです。これが飲み手にとって、おいしさとなって伝わるというわけです。
本稿では色味を伝えるため、グラスに注いで撮影していますが、グラスに注がなくても豊かな香りを最大限に享受できるのは、広口ボトルならではでしょう。ということで、まずは「アサヒ 和がさね酎ハイ国産ゆず生姜」からひと口。
飲んでみると、落ち着いたボトルデザインからは想像できない攻めた味に驚かされました。舌先から鼻にまで届く、ピリっとした刺激。これはまさに生姜です。例えるなら、普通のジンジャーエールと、アサヒ飲料「ウィルキンソン ジンジャエール 辛口」の違い。あのエッジの効いた辛みに似たインパクトがあり、甘さは控えめ。そのうえで、ゆずがあたたかみのある柑橘感をプラス。はんなりした側面もありながら実にスパイシーで、飲みごたえがあります。
「アサヒ 和がさね酎ハイ国産田熊すだち和山椒」は、辛さは前述「アサヒ 和がさね酎ハイ国産ゆず生姜」よりおとなしめ。その一方香りは鮮烈で、こちらもはっきりとした個性の強さを感じます。和山椒の滋味深く青々としたフレーバーに、芯のあるすだちの柑橘感。甘さはより控えめな印象で、余韻はすっきりとしたクリアな味わいです。
個人的には、崩し割烹、おしゃれ系焼鳥、和バルなどの技アリ和食店で提供される生搾りサワーのような方向性だと思いました。この意欲作を全国のファミリーマートで発売するとは、その挑戦にもアサヒビールの自信を感じますが、これは好きな人は確実にハマる味。辛口ジンジャーエールやクラフトコーラなど、スパイシーなドリンクが好きな大人はぜひ試してみてください。
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