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 世の中には「あれ」としか呼べないものがある。見たことはあるのに固有名詞がわからない、あれ。私にとっては「風景指示盤」がそうだった。山岳小説のパイオニア、新田次郎(1912~80年)の直木賞受賞作『強力伝』を読むまで「山とか展望台とかにある、あっちが○○山とかこっちは××湖とか刻んであるモニュメント」と、もどかしい説明をするしかなかった、あれ。風景指示盤というそうです。