北京=高田正幸
安倍晋三元首相の台湾問題をめぐる発言について、華春瑩外務次官補は1日夜、垂(たるみ)秀夫・駐中国日本大使と緊急会談し、厳正な申し入れを行った。中国外務省が2日、発表した。日本大使館によると垂氏は、安倍氏がすでに日本政府を離れていることから「政府として説明する立場にない」などと反論したという。
中国外務省によると、華氏は垂氏に対し、安倍氏の発言について、「中国内政に乱暴に関与し、台湾独立勢力を強硬に支持した」として「断固とした反対」を表明。「日本側が誤った道を進めば、危険な結果に陥るだろう」などと伝えた。
一方、日本大使館によると垂氏は、政府を離れた人物の一つ一つの発言に政府として説明する立場にないこと、日本国内の意見を中国側も理解する必要があることなどを伝え、「中国側の一方的な主張については受け入れられない」と応じたという。
安倍氏は1日、台湾で開かれたシンポジウムにオンライン参加し、「台湾有事は日本有事である」などと発言していた。
垂氏が中国外務省から申し入れを受けるのは、今年4月、日本政府が東京電力福島第一原発の処理水を海洋放出する方針を決定した時以来となる。(北京=高田正幸)