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 株式会社月刊総務は、全国の総務担当者を対象に実施した「コロナ禍におけるオフィスに関する調査」の結果を公表した。コロナ禍が落ち着いた2021年11月現在のオフィスでは「個室ブースの不足」が最大の課題で、コロナ前は最大であった「会議室や来客スペースがない」から変わっているという。

 調査は、月刊誌「月刊総務」読者とメールマガジン「月刊総務オンライン」の登録者を対象として、11月12日~19日にウェブで行われた。有効回答数は212件。

新型コロナにより、7割以上の企業がオフィスを見直す

 新型コロナウイルスの影響によるオフィスの見直しについて尋ねたところ、「見直しをした」が43.4%、「見直しを検討している」が32.1%と、7割以上がオフィスの見直しを実施または検討していた。同社が昨年8月に行った前回調査では、「見直しをした」は26.7%にとどまっており、同社では、オフィスの見直しが進んだことが分かるとしている。

 見直しをした理由として、「出勤者減に伴うフリーアドレス化で執務エリアに余剰が生じた」「グループ会社全体でオフィスを集約することにした」などが挙げられ、レイアウトの変更が約8割だったという。

 一方で、オフィスの見直しをしないと回答した理由としては、「コロナ禍でも出社する機会が大半だったため、今後も大きな改革をする予定はない」「経営層の考え方が、コロナを過ぎればそれでよし、のため」などが挙げられた。

オフィスのメリットは「コミュニケーションが取りやすい」ことと約8割が回答

 オフィスで働くことのメリットについて尋ねたところ、「簡単な打ち合わせや質問がしやすい」が81.1%で最も多く、次いで「雑談ができる」が67.5%という結果になった。同社は、昨年8月の調査では「仕事環境が整っている」が最多だったのに対し、今年はコミュニケーションに関する回答が増加したとしている。

コワーキングスペースやレンタルオフィス、5割超が契約または検討中

 社員の働く場所として、オフィス・自宅のほかにコワーキングスペースやレンタルオフィス、サテライトオフィスなどを契約しているか尋ねたところ、「契約している」が23.6%、「契約を予定している」が4.2%、「検討している」が25.9%、「契約しない」が46.2%という結果になった。昨年8月の調査では、「契約している」が12.9%、「契約を予定している」が2.0%にとどまっていた。

「バーチャルオフィス」導入は4.2%にとどまる

 バーチャルオフィスを導入しているか尋ねたところ、「導入している」は4.2%にとどまった。「導入する予定はない」が63%と最多で、「バーチャルオフィスを知らない」が21.7%という結果になっている。

これからは「オフィスとテレワークの融合」がメジャーとなるか?

 これからの働き方がどうなると思うか尋ねたところ、「オフィスとテレワークの融合」が65.6%と最も多く、次いで「オフィスワークで働く」が27.4%が続き、「テレワークメインで働く」が7.1%という結果になった。

 また、これからのオフィスの役割について尋ねたところ、「社内コミュニケーションの場」が86.3%、「チームで作業をする場」が69.8%という結果になった。このほかにも「社風・文化を醸成する場」「教育・OJTの場」「社外コミュニケーションの場」などが続いた。

オフィスの課題は「個別ブースが足りない」が最多に

 コロナ前と現在のオフィスの課題についてそれぞれ尋ねたところ、コロナ前の課題は「会議室や来客スペースが足りない」が65.6%で最も多かったのに対し、現在の課題はオンライン商談や1on1などを行うための「個別ブースが足りない」が63.7%で最も多くなった。

 働き方の変化やオフィスの課題の変化に応じて、具体的に実施したこととしては「Web会議が増えたので、個別ブースを増設予定」「全フロアのフリーアドレス化」「大会議室に間仕切りを入れ、会議室の数を増やした」「各ミーティングルームにモニターを設置し、Web会議を行いやすくした」などが挙げられた。

テレワークに慣れ、オフィスに求める役割が明確に

 同社は今回の調査結果から、「新型コロナを契機としてオフィスのあり方を抜本的に見直しを図っている総務部門がとても多いことが分かった」とした上で、リモートでの業務に慣れてきたことから、これからオフィスに求めるべき役割が明確になってきたのではとコメントしている。

 テレワークを導入している企業からは「出社率をコロナ前に戻すことはない」「コロナが落ち着いてもテレワークは継続する方針が決まった」という声も複数あり、テレワークとオフィスのいいところをバランスよく組み合わせて生産性を高めたいという意向も多かったという。