今年は発表から半年焦らされての発売となったXperiaのコンパクトハイエンド、Xperia 5 III。
中華スマホとGalaxyばかり使ってきた筆者ですが、前々から気になっていたシリーズなので、この度ドコモ版を購入しました。
購入して半月が経過したので、本機種についてレビューしていきたいと思います。
スペック
以下一部スペックの抜粋です。
SoC | Qualcomm Snapdragon 888 |
メモリ/ストレージ | 8GB/128GB |
バッテリー容量 | 4500mAh |
ディスプレイ | 6.1インチ FHD+,120Hz駆動 |
解像度 | 1080 x 2520,アスペクト比21:9 |
寸法 | 157 x 68 x 8.2 mm |
重量 | 168g |
カメラ(背面) | ①12MP(広角) ②12MP(超広角) ③12MP(可変式望遠) |
カメラ(前面) | 8MP |
その他 | Bluetooth 5.2, IP68 |
外観
今回はグリーンを購入しました。
背面は鏡面の仕上げになっており高級感があります。
前モデルと比較すると5Gロゴがなくなっており、色のおかげかdocomoのロゴも主張が控えめです。
カメラは変わらず3眼構成ですが、望遠カメラにペリスコープカメラを採用しており、先代より若干カメラモジュールが大型化しています。
背面からの出っ張りはあまり気になりません。レンズは先代同様Zeiss製です。
ボタン類は画面右側面に集中しており、上から(写真では左から)音量ボタン、指紋認証一体型電源ボタン、Googleアシスタントボタン、シャッターボタンという構成となっています。
画面左側上部にはSIMピン不要のSIMトレーがついています。Xperia 1 IIIが角張ったデザインであったのに対し、Xperia 5 IIIはラウンドエッジになっていて、シャッターボタン表面の加工も省略されています。
上部にはイヤホンジャックが付いており、下はType-Cの充電端子があります。
ガラスフィルムを先に貼ってしまっていますが、ディスプレイ側です。
水滴ノッチやパンチホール、極薄ベゼルといった流行には囚われず、上下にベゼルを残したデザインを貫き通しています。
クリエイターが使用することも想定しているため、21:9に比率を揃えた画面に切り欠きや穴を空けるべきではないという判断なのでしょうか。
なお写真には映っていませんが、右上には最近あまり見かけなくなった通知ランプもあります。
画面のドット配列です。iPhone13 Proと比べると少し画素密度が劣るようにも見えますが、普段使いで粗く感じることはありません。フルHDディスプレイの中では十分綺麗です。
- 外観の総評
見た目はかなり好みです。スマホの重厚長大化が進む中、バッテリー容量とスタイリッシュさのバランスをここまで綺麗に取れるのはXperiaくらいだと思います。色味も落ち着いており、洗練された高級感のあるデザインをより引き立たせています。
ベンチマーク
AnTuTuスコアはSnapdragon 888にしては控えめのスコアとなりました。サーマルスロットリングの影響でしょうか?
またテスト中は画面・背面ともにかなり発熱していました。
Geekbenchスコアは上記の通りです。
いずれもスコアがハードウェアの割に高くはないものの、特段普段使いのパフォーマンスが劣るといったことはありません。
ゲームのパフォーマンス
- PUBGはサクサク
せっかくのハイエンドスマホなので、少し重めのゲームもプレイしてみました。
PUBGを画質:HDR/フレーム設定:極限で1マッチプレイしましたが、試合中フレーム落ちもほとんど見られず、快適そのものでした。
CPU温度も43℃ほどに抑えられており、本体がほんのり温かくなる程度の発熱に留まっていました。
- 原神は少し重い
最高画質/フレームレート60/モーションブラーのみoffの設定で原神もプレイしてみました。
初めの10分程度は安定してプレイすることが出来ましたが、時間が経つにつれ温度が上昇し、20分もしないうちにコマ落ちが目立つようになりました。
Xperiaの排熱性能のみでなく、アプリ側の最適化とも関係していると予想されますが、いずれにせよ原神を快適にプレイするためには画質設定を落とす必要がありそうです。
外付けの冷却機構をつけると、多少の改善が見込めるかもしれません。
バッテリー関連
- 電池持ちは平均的
実際に自宅で1日使用した際のデータです。
朝の10時に満充電の状態で使用を始め、22時半時点で37%残っていました。長時間ゲームをすることがなければ1日は余裕で持ちます。
2021年のハイエンドスマホの中では平均的なバッテリー持ちですが、コンパクトハイエンドである点を考えると、なかなか優秀と言えるのではないでしょうか。
ただ、スタンバイ時は1時間に2%くらいのペースで減っていくので、長時間使用しない場合は機内モードに設定した方が良いかもしれません。
- ワイヤレス充電には非対応
Xperia 5 IIIはXperia 1 IIIでは対応していたワイヤレス充電には対応していません。普段からワイヤレス充電を愛用している人には物足りない点でしょう。値段を取るか、ワイヤレス充電を取るかの二択です。
カメラ
まずカメラアプリについてですが、以前とは異なりPhoto Proに統一となりました。
従来のカメラアプリのように使いたい場合は、ベーシックモードがおすすめです。
続いて、静止画をiPhone 13 Proと比較してみます。
日中の写真です。iPhoneが若干コントラストを調整しているのに対し、Xperiaは肉眼で見た景色をほぼ忠実に再現しています。
少しわかりにくいですが、紅葉を拡大してみるとiPhoneの方が塗りつぶし感が強いことがわかります。
一方のXperiaは塗りつぶし感こそ少ないものの、かなり手ブレが起きやすい様子です。
iPhone側はこれはこれで綺麗なのですが、空が完全に塗り絵になってしまいました。しかし、照明の色は光源が強いにも関わらず忠実に再現しています。
一方のXperiaは空の色こそ普通ですが、照明の色が実際のものより少し白飛びしてしまいました。
夜景の比較です。先程の写真とは打って変わり、Xperiaの方がハイライトをより綺麗に抑えることが出来ています。
今回のレビューでは使用していませんが、三脚があると更にPhoto Proの強みを生かすことが出来ます。
正直なところ、よりお手軽に見映えする写真を撮りたいのであれば、iPhoneや中国メーカーのスマホを使うほうが「スマホのカメラ」としては便利だと感じました。
しかしカメラや画像編集に関する知識が豊富であれば、Xperiaで撮影したほうが表現の幅を広げることが出来るので、ポテンシャルは持ち合わせていると感じます。
また、知識が無いからと言って綺麗に撮れないというわけではありません。
一般の方の「綺麗」の基準には十分達しており、実際に夜景でも十分といえるパフォーマンスを発揮しています。
余談ですが、デフォルト設定ではシャッターボタン長押しでカメラが起動されるので、ポケットに入れながら座っていると誤って起動する可能性があります。
20分ほどカメラをオンにしたまま気づかないということがあったので、気になる方は設定でオフにしたほうが良さそうです。
UI・その他
ところどころ独自の便利機能が組み込まれているものの、XperiaのUIはほぼ素のAndroidに準拠しており、デザインにも大きな違いは見られません。
それ故に評価が分かれるUIではありますが、今回は使ってみて気になった点についていくつか触れていきたいと思います。
- サイドセンスが便利
サイドセンスというクイックアクセス機能が最近のXperiaには搭載されています。
本機能はよく使うアプリをすぐに起動できたり、上下スワイプにスクリーンショット等といった使用頻度の高い操作を振り当てることができるので、思いの外便利です。
- 有線の音質が良い
近頃のハイエンドスマホはカメラモジュールの巨大化等の内部空間の都合上、イヤホンジャックを搭載したものがほとんど見られなくなりましたが、究極の音楽体験を追求するXperiaは今でもイヤホンジャックを搭載しています。
文字ではなかなか伝わりにくいところですが、明らかに他のスマホと有線での音質が違います。おまけにイコライザー機能もあるので、お手軽に高音質の音楽を楽しみたい方にとっては最適です。
- UIの視認性が良くない
また気になる点として、UIのデザインが数年前のAndroidから全く進んでいないように感じました。
機能こそ充実しているものの、設定画面においてのコンテンツなどの視認性がOPPOやGalaxyのUIに劣ってしまうように感じられました。
OPPOのColorOSとの比較です。後者の方が、より直感的で分かりやすいデザインとなっていることが分かります。
操作性で言うと、前々から認知されているマルチタスクで一番左に移動しないと全てのアプリをタスクキルできない点、またジェスチャーナビゲーションにするとサイドセンスでしか片手モードを起動できなくなる点も少し不便であると感じました。
そのほか、横画面アプリからホーム画面へ戻るといった操作時に画面が一瞬フリーズしたり、比率がおかしくなったりなどといった小さなバグもちらほら確認されました。
- 指紋認証時のバイブが消せない?
現状バイブレーションをオフにしても、指紋認証で画面を点けた時のバイブが無効化できません。システムの仕様でしょうか?
個人的に非常に気になる部分だったので、もしオフにする方法があれば教えて下さい。
総評
カメラに映像に音楽と、随所にSONYが培ってきたDNAを感じられ、ワンランク上の体験を手にすることが出来る一台に仕上がっています。
しかし、同時にユーザーへの知識量の要求も他製品より多く、中途半端な知識ではその真価を引き出すことが出来ません。まさに有識者向けにこだわったスマホと言えるでしょう。
本来スマホでは出来ないような体験を可能にすべく技術改良した、という点においては並々ならぬ企業努力を感じますが、その一方で「スマホとしての体験」において、まだまだ改善の余地があるとも感じました。
スマートフォンとしてのユーザーエクスペリエンスでも妥協せず、「SONYの○○が体験出来るスマートフォン」に留まらない「SONYのスマートフォン」として個性をより磨き上げたXperiaを今後期待しています。
※本記事は管理人以外が執筆した委託記事です。