「ハラスメント」とは、嫌がらせやいじめのように、相手の意に反する行為によって不快な感情を抱かせることを意味します。以前からパワハラやモラハラ・セクハラといったハラスメントは知られていますが、最近はアルハラ・ヌーハラ・エアハラなど、種類も増えてきているようです。さまざまなハラスメントが認められるようになったことはいい傾向ですが、ハラスメントという言葉を多用する人が増えてしまい、本当に困っている人が声をあげにくい状況も生まれているといいます。東北地方在住のYさん(30代・会社員)も思い悩んだ一人です。
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Yさんの勤める企業では、ハラスメントに対して過敏に反応するAさんという社員がいるそうです。Aさんは上司に業務内容で注意をされると「あの言い方はパワハラだ」「女性にこの業務を行わせるのはジェンハラだ」と、何かにつけてハラスメントを主張する人だとYさんは話します。そのたびに企業側はどのようにすればいいのかと頭を悩ませ、常にAさんに気を遣うようになってしまったそうです。そして、他の社員でもAさんと同じようにささいなことでハラスメントを主張する人が増えてきてしまったそうです。
当時Yさんは直属の上司Bさんからのハラスメントで悩んでいたそうです。しかし、社内でハラスメントという言葉が多用されていたり、小さなことでもハラスメントと主張する人たちがいたため、「自分もその一人だと思われるのではないか」と思い声をあげられなかったといいます。
誰にも相談できず、一人で悩んでいたYさんは不眠症に悩まされ、ついにはじんましんが出るほどに。病院を受診したときに、「このままでは心も体も壊れてしまう」と感じ、転職を考えた上で人事担当者に相談したそうです。人事担当者との面談や通院を経て、上司Bさんは他の部署へ移動になり、Yさんの置かれている現状も改善に向かっていったそうです。
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ここ数年、企業内でのハラスメントは増加傾向にあるといいます。厚生労働省が公表した「2020(令和2)年度個別労働紛争制度の施行状況」では、総合労働相談件数は129万件を超えていて、13年連続で100万件を超えて高止まりしているほか、内容別では「いじめ・嫌がらせ」に関するものが最多となっているそうです。本当にハラスメントに困っている場合は、自分の心や体が壊れてしまう前に、勇気を持って行動することが大切です。
(まいどなニュース特約・長岡 杏果)