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「言語に頼らない意思の疎通は、人間のコミュニケーションの大部分を表している。私たちはこれに気付いていないかもしれないが、こうした非言語のチャンネルから多くの情報を受け取っている」と、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のSanda Dolcos助教授は語る。それは、相手が画面上に作成されたアバターであっても同じようで、人々は動くアバターに対して協力的な態度を取る傾向があるようだ。研究結果は、2021年12月6日付けの『Cognitive Neuroscience』に掲載されている。

研究チームは、実験経済学で使われる「最後通牒ゲーム」とアバターを利用して、非言語的な合図が人々の意思決定に与える影響を調査した。

なお、最後通牒ゲームでは、2人のプレーヤーが「提案者」と「応答者」に分かれる。提案者が報酬の分け方を提案して、応答者がその提案に承諾するか拒否するか決定する。承諾すれば提案通りの分け方で報酬の一部を受け取れるが、拒否すればお互い何の報酬も得られないというルールだ。ゲームの目標は、より多くの金額をあつめることだが、人々は時に、自分の利益を最大化できる状況であっても、不公平な提案は受け入れないことがある。

研究チームは調査に参加した人々に、応答者アバターが動く提案者アバターとやりとりをする様子を見せた。ある実験では、提案者アバターは微笑み、近づき、応答者アバターの肩に手を置くなど、友好的な態度を見せた。別の実験では、提案者は眉をひそめ、離れ、腕組みするなど、非友好的な態度を見せた。さらに、比較実験として、友好的とも非友好的ともつかない感じの、静止した絵で提案者を表現した。

調査からは、動く提案者アバターを見た人は、提案が不公平なものだったとしても承諾する可能性が高まるということが判明した。逆に、静止したアバターの場合は、不公平な提案は拒否される傾向が高かった。

さらに、提案者の態度が冷たい場合に、参加者がやや一貫して不公平な提案を受け入れていることが分かった。これは、アバターの態度と提案内容がより深く合致する時に、参加者がより心地よいと思うと感じているためだと分析している。

また、脳活動のモニタリングから参加者の意思を予測できることも発見した。「処理動作と認知制御に関連する脳の反応が最も活性化されたのは、参加者がアバターのやりとりを見た直後に不公平な提案を承諾した場合だった」と、調査を率いたMatthew Moore氏は語る。

今回の研究は、社会認識と意思決定に対して、脳活動の寄与の仕方を理解するための重要なステップだとしている。

関連リンク

Nonverbal social interactions – even with unfriendly avatars – boost cooperation, study finds
Electrophysiological Correlates of Social Decision-making: An EEG Investigation of a Modified Ultimatum Game

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