株式会社電通クリエーティブXは、株式会社東北新社、ヒビノ株式会社とともに、テクノロジーを活用し、映像制作ワークフローにおける温室効果ガス削減とプロセス効率化を目指す共同プロジェクト「メタバース プロダクション」を発足した。
■「メタバース プロダクション」について
「メタバース プロダクション」では、インカメラVFXを用いたバーチャルプロダクション技術を駆使することで、東北新社と電通クリエーティブXにおける従来型の映像制作ワークフローと比較し「スタジオ撮影時の廃棄資材を最大90%削減」、「ロケーション撮影時の参加人員を最大90%削減」などを目指す”PXサービス”を2022年から提供していく。PXはProduction Transformationの略で、映像制作トランスフォーメーションを意味する造語。
国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が開催された英国では、広告業界3団体が主導し「アド・ネットゼロ」(温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること)の取組みが2020年11月からスタートしている。現在の映像制作ワークフローにおいては、「1回限り使用し廃棄される美術セット・各種小道具」をはじめ、「ロケーション撮影に伴う大人数の移動」、「多大な電力を必要とする設備使用」、「制作スタッフの作業工数の増大化」など、ESGの観点から制作手法やプロセスに解決すべき課題が多くある。このような背景から、「メタバース プロダクション」では映像制作業界が長年抱えていた課題を解決する、以下の”PXサービス”の開発を予定している。
「メタバース プロダクション」が開発予定のPX商材例とポイント
① 「Owned Virtual Set」「Owned Virtual Location」
要望に応じオーダーメイドでCG美術セットやCGロケーションを制作し、繰り返し使用できる広告主所有のバーチャル素材(仮想世界)とすることで、廃棄物量やスタッフ工数削減が可能となる
②「実写ロケーションVFX」
実写背景を予め素材として別撮りしておくことでロケーション撮影参加人員を最小化。また、出演者撮影はスタジオで背景素材を大型LEDに映写して実施することで、従来のロケーション撮影における時間、空間から解放された、あらゆる時間帯や場所、天候での撮影が可能となる
③「Virtual House Studio」
予め用意されたテンプレートCG素材から美術セットを選択し、若干のカスタマイズをして利用することで、映像制作における徹底的な効率化と高品質を両立するプリフィクス制作が可能となる
「メタバース プロダクション」による映像制作の核となる「CG制作」は東北新社グループの株式会社オムニバス・ジャパンを中心として、「インカメラVFX撮影システム」、「高精細大型LEDパネル」はヒビノ株式会社の協力を得て実施するという。