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<p>中国高級車ブランドがショールーム開設 EV投入も視野</p><p>中国高級車ブランドがショールーム開設 EV投入も視野 家電や携帯電話で中国ブランドが存在感を増すなか、乗用車でも日本市場に攻勢をかけるのか。</p><p>中国の国有自動車大手、中国第一汽車集団の高級乗用車ブランド「紅旗(ホンチー)」が、大阪・難波にショールームを開設した。今夏には東京・銀座にも開設予定で、日本で電…</p><p>大阪・難波に開設された中国第一汽車集団の高級ブランド「紅旗」のショールーム(土井繁孝撮影) 中国の国有自動車大手、中国第一汽車集団の高級乗用車ブランド「紅旗(ホンチー)」が、大阪・難波にショールームを開設した。今夏には東京・銀座にも開設予定で、日本で電気自動車(EV)を投入する計画もある。家電や携帯電話で中国ブランドが存在感を増すなか、乗用車でも日本市場に攻勢をかけるのか。現場を訪ねた。 毛沢東が書いた 南海なんば駅から徒歩約5分。新型コロナウイルス禍前、中国などからの外国人観光客であふれた繁華街に店舗はある。展示は大型セダン1台のみだが、入り口には真っ赤な毛筆で「紅旗」と書かれたロゴが掲げられ、開設を祝う多くの花束が飾られていた。 ショールームを開設した輸入車の販売事業を手がける王力氏は「ロゴは毛沢東が書いた文字」と説明。紅旗は歴代の国家首脳の公用車で、中国での知名度は高い。展示されていた車は総額1500万円の高級車だが、王氏は「すでに売約済みだ」と明かした。 政治意図は否定 王氏は令和3年から紅旗の輸入を開始。これまで10台が売れ、約30台の注文が入っているという。購入者は主に日本在住の中国人や彼らが経営する企業だが、「店舗がないと顧客に安心してもらえない」と感じ、第一汽車に販売店の開設を働きかけた。 王氏は「ショールームはあくまで顧客サービスの一環」とし、「(日中間の)政治などは一切関係ない」と強調。難波で店舗を開設したのは「目立つ立地であり、話題になると判断した」と話す。 中国出身で、東京財団政策研究所の柯隆(かりゅう)主席研究員は、日本と中国の間では自動車の製造技術に依然差があるとし、「中国が国家戦略として、日本市場を攻めるという動きではないだろう」と分析。「第一汽車にとってショールーム開設は中国の国内向けに『自動車王国・日本に上陸した』とのメッセージが出せる」との見方を示す。 脅威となるか ただ、中長期的に中国車が日本車の脅威となることはないのか。王氏はガソリン車では日本に追いつかないとの見方を示しつつ、「EVでは状況は変わるかもしれない」と自信をのぞかせた。モーターで走るEVは構造が簡易なため、中国が近年、国をあげて開発に注力しているためだ。 二酸化炭素を排出しないEVは世界的に需要が高まっており、3年12月には京阪バスが京都市内の路線で、中国のEV大手「比亜迪(BYD)」のEVバスの運行を開始している。 アジア経済に詳しい関西大の後藤健太教授は「大手の自動車メーカーが限られた企業間で自前の技術を擦り合わせて生産するガソリン車と異なり、EVは多様な企業の部品を組み合わせて生産する『モジュール化』が進んでいる」と指摘。日本企業はモジュール化が苦手で、家電などで中国企業にシェアを奪われた経緯があるとし、「EVにおいても、今後の対応が重要な課題となる」と警鐘を鳴らしている。(黒川信雄)</p>