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週末には、まだ私が完全には解明できていない大きなSPAC案件があった。まあとりあえず、その投資家向けプレゼンテーションには、世界の指導者たちの顔写真を並べたスライドが含まれていたので、少なくとも「国際SPACプレゼンテーション誇大広告オリンピック」で銀メダルを獲得する価値はあるといっておこう。また、Oyo(オヨ)が公開の申請を行った。これらについては、これから多くのことが起きることを期待している。

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だが今回は、Y Combinator(YC、ワイコンビネーター)とDAO(Decentralized Autonomous Organization、自律分散型組織)の話をしよう。あらかじめご注意を、YCはDAOではないので、この2つは別の話題だ。詳しく見ていこう。

Y Combinator、信頼性、そして評価が気になる人へ

1文字あたりのスコヴィル値で言えば、先週は以下のようなスパイシーなツイートがは少なかった。

2021年のアーリーステージ投資で最も驚くべきことは、Tigerでもなく、5億ドル(約555億円)のシードファンドでもなく、ローリングファンドでもない。

驚くべきは、いまだにYCが、すばらしい企業の7%分を12万5千ドル(約1388万円)で買っていることだ。

少し説明するならば、アーリーステージのスタートアップ企業に資金を投入しようとする資本がますます増え、スタートアップ市場では最近評価額が上昇傾向にある中、なぜY Combinatorは、スタートアップのメカニズムに資本とコースを提供するやりかたで、これほど多くのものを得ることができるのだろうかということだ?その一部はブランドの力だ。そして、YCが提供するガイダンスにも一定の力がある。

Y Combinatorの支援を受けたスタートアップであることは、現実よりも夢と呼ぶほうが近いような設立間もない組織に、一定の信頼性を与えることになる。それは、通ったことを誇りに思える大学の卒業証書を、壁に飾ることに少し似ている。そして重要なことは、新興国のスタートアップにとっては、Y Combinatorを経由することで、自身を投資家の地図に載せることができるということなのだ。そのため、希薄化するとしても入会の価値があるのかもしれない。

とはいえ大きなコストがかかるが。スタートアップがベーシスポイント(0.01%)あたりに得られるのは200ドル(約2万2200円)を下回ることになり、これは、Y Combinatorの最近の標準的なバッチのヒット率を考えれば、安いという言葉では足りないほどだ。これは本質的に、YCグループのためにお金を印刷するライセンスなのだ。

それ自体が問題なのではなく、資本主義が働いているだけだ。しかし、Y Combinatorへの参加の実質的なコストが上昇するにつれ、つまり、YCが支援する企業の市場価格とアクセラレーターが入場税として評価する価値とのギャップが拡大するにつれ、国際的な企業の参加も増えるなかで、この取引は魅力的ではなくなってきている。ということで、インドアフリカのスタートアップたちがYCに参加するようになったことはすばらしいことだが、より希薄化されるプログラムのために、より多くの費用を支払わなければならないように見える。それは、私の脳の一部をうんざりさせる。

それにしても、Y CombinatorのシードファンドのLPになった人たちには脱帽だ。ぜひ我が世の春を楽しんで欲しい。

DAOたち

今回はあまり心地よくないスタートだったが、ここまでお付き合いいただき感謝する。こちらの方が少し気持ちのよい内容だ。

DAO(自律分散型組織)の世界では、先週2つの重要なニュースがあった。1つ目はとんでもなくおもしろかった

何の話か知らない方のためにお伝えすると、Compound(コンパウンド)がコーディングのミスで、数千万ドル(約数十億円)分のコインを送り出してしまったのだ。もちろんそれは間違いだった。そして、Compoundがそのお金を取り戻そうとする際に、タダで手に入れた金を返さないと、ユーザーをIRSに告発すると脅したのだ。

自分のミスを棚に上げて自分のユーザーを脅かすという問題はさておき、Compoundは権限を分散させる民主的な仕組みで運営されている。その仕組みについてはここを読んで欲しい。しかしここで重要なのは、Compoundのエラーケースの中で私たちは、分散型の権限が大規模かつ滑稽な方法で失敗したときに何が起こるかを目撃できたという点だ。

この先このような間違いは多発するだろう。しかもそれは同時に笑えるものとなるだろう。だが、それによってDAOの魅力が失われたとは思わない。

現在の資本主義のうんざりさせる要素の1つとして、株主の議決権の低下が挙げられる。Facebook(フェイスブック)は、ただ1人の人間がその未来を支配している企業の典型的な例だ。Snap(スナップ)も、まったく投票権を得られない株式を公開して上場したことで有名だ。シリコンバレーが投資する企業では、外部の人間よりも内部の人間に多くの投票権を与えるデュアルクラス(A、B2種類の株式を発行してB株の方により大きな投票権を持たせること)、さらにはトリプルクラスの株式発行がますます増えているように感じられる。

それは酷いやり方だ。いったい誰が資本主義をより君主制に近づけることを望んでいるのだろうか?考えただけで、吐きそうな気分になる。

それに対して、DAOはその成り立ちから、より民主的なものだ。もちろん、議決権は所有率の高い人が持つことになるだろう。それは健全な株式市場に期待されていたものなのだ。よってDAOは、少なくとも現在のIPOや、現在の責任者が生涯を通して最高の管理人となることを信頼することをみんなに求める能天気さに対して、改善手段を提供することになるだろう。

かつてのVCはそんなことを信じてはいなかった。そのころ、彼らはプロフェッショナルなCEOに大きな信頼を寄せていたのだ。その後、創業者と投資家のパワーバランスの変化により、創業者がより大きな力を持つようになり、創業者主導の企業がいくつか成功したことで、VCはこのこだわりを捨てた。

もしかしたら、DAOはビジネスを少しでも民主的にすることに成功するかもしれない。

さて今回のDAOランドからの2つ目のニュースはこれだ「Utopia Labs(ユートピア・ラボ)がDAO用のOSを開発中」。この会社名は悪くない、それどこころかとてもすばらしいと言える。なぜなら、ユートピアはファシストのパラダイスではなく、ユートピアを考えるときには、誰もが発言権を持つモデルを思い浮かべることが多いからだ。つまり、DAOはある意味、ユートピア思考のビジネス版なのかもしれない。悪くないね。

では今回はここまで。次回はCapitalGのGene Frantz(ジーン・フランツ)とのチャットのメモをご紹介する。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)