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ベニヤ板と呼ばれることもある合板。二流の素材と見られがちだが、インテリア家具や建築の材料として、実用性はもちろん、材としての美しさも高いレベルの素材なのだ。

 

無垢板の短所を取り除いた合板の構造

広い平面を持ちながら、単板のような反りやねじりがない正確で均一な材として使うことができるのが合板だ。合板は丸太からかつらむき状に薄く切り出した無垢板を、奇数枚、交互に直角に重ねて接着し、平らに熱プレスして製造される。合板は面積の割に安価なので、無垢材の代用品のように扱われるが、そうではなく無垢板の短所を取り除いた改良品と見ることもできる。

全体に合板を使って組み立てられたチェアの作例。自由でモダンなデザイン

 

合板の積層が作る模様を装飾として取り入れている

 

合板の素材になる薄板をかつらむきにする特殊な機械

 

かつらむきにされロール状になった材木

 

合板は安心のJAS(日本農林規格)品質

合板はJASの規格にしたがって生産されている。寸法はもちろん、接着程度、使われる板面の品質、ホルムアルデヒドの放散値など、厳密な規格のもとに生産されているので、全国どこで購入しても、同じ品質で手に入れることができる。たとえば910×1820×12mmの合板は、どこのホームセンターで購入しても確実に同じ寸法の合板を購入することができる。

JAS規格の認定製品として認められた証明に押されるスタンプの例

 

針葉樹合板のように木目のきわだつ合板は室内家具の素材としても注目される。ただし合板は一般に湿気に極端に弱いため、エクステリアの作品の素材としては使用できない

 

合板は厳密な規格によって生産される。写真はシナ合板の厚さの規格のサンプル。左から3、4、5.5、9、12、21、24、30mm厚

 

ホームセンターで購入できる合板のバリエーション

全国の一般的なホームセンターに置かれている合板は、普通合板、シナ合板、化粧合板、針葉樹合板、OSB、ランバーコア、コンパネなどだ。

普通合板はラワン合板とも呼ばれ、広葉樹のラワン材を素材に作られている。

シナ合板は、普通合板の裏表、または片面にシナの面材を張ったもので、白くきめが細かい仕上がりになっている。

化粧合板は普通合板などの表面に高級材の突板を張ったり、印刷で模様や色をつけた合板。針葉樹合板はラジアータパインを素材にし、表面にあざやかな木目の出ているものが多い。木目のきれいな針葉樹合板は家具の素材としても適している。

OSBはオリエンテッド・ストランド・ボードの略で、木材を薄い削片に加工し熱加工性接着剤と一緒に積み重ねて、高温でプレスして作られる。接着剤で固めてある板であるが、JASのF☆☆☆☆認定を受けたものはホルムアルデヒドを放散しない。OSBも独特な模様を生かして内装などに使われる。

ランバーコアは細かい角材を寄せ集めて芯にした上に面材を張ったもの。芯があるため上に物を置く棚板などに使いやすい。

コンパネはコンクリート型枠用パネルの略で、コンクリートの構造を作るときの型枠として使われ、コンクリートの水分の影響を受けにくくするため、表面が塗装されている。合板の標準寸法は大部分がサブロクと呼ばれる910mm×1820mmだが、コンパネだけは例外的に900×1800mmとなっている。

ランバーコアの断面。内部は角材を並べた構造になっているので、側面にクギやビスを使うことができる

 

普通合板(ラワン合板)

 

シナ合板

 

シナ有孔板。等間隔に穴があいており、DIYでは壁面収納の壁材として使われることが多い

 

針葉樹合板(構造用合板)

 

OSB

 

合板独特の選び方や保管方法

購入するときは一般木材と同じように、反りやねじれがないことを確認した上、合板の積層部分がよく見える木口、木端をチェック。ここに割れや欠けが見える場合は、その合板の見えない内部まで傷がつながっていることがあり、切断したらすかすかの部分が現れて、材として使えなくなることや、合板の一部がはがれたりすることもあるので、こうした合板は購入しないほうがいいだろう。また扱いの雑な店舗だと合板の角に欠けやこすれのあることもある。合板はこの角の部分がもっとも大事な存在といえるので、きれいでちゃんとしている合板を選ぶようにしたい。また合板は大きいので運ぶときに自分で傷つけないように慎重に取り扱いたい。大きな合板は家に持ち帰る前に、ホームセンターなら工作室のカットサービス(有料)を利用して、切り分けてもらうと、運びやすいし保存もしやすい。

ホームセンターでは平積みで売られている合板でも、家では広さの関係もあり、立てて保管することになる。場所は雨や直射日光が当たらない所を選び、できるだけ直立させることでクセのついてしまうのを防ぐことができる。

ホームセンターの有料のカットサービスに使われるのは、ほとんどがパネルソーと呼ばれる、広い面でも高い精度で材を切断できる電動工具。まさに合板を切るには最適の工具といえる。切断は1カット50円程度。丸ノコよりもテーブルソーよりも正確なカットができるパネルソーで切れば、正確な木取りを期待できる

 

環境、空調が整備され広いスペースがあるホームセンターでは平積みで販売される

 

合板を扱う場合、材にトゲやササクレがあるので、写真のような木工用やDIY用のグローブを使ってケガから手を守る

 

合板にはコンマ5mmの誤差も存在しない

 

木口面で強い保持力を得られない合板の接合では、写真の三角の部分のようなブレースと呼ぶ補強材で補強すると安心

 

薄板を積層した合板にビスは打ちにくい

取材協力◎合板博物館