「家政婦は見た!」の女優、市原悦子(76)がS状結腸腫瘍のため、3月に撮入予定だった山田洋次監督(80)の新作映画「東京家族」(来年1月公開予定)を降板することが3日分かった。
東日本大震災を受け、撮影が約1年延期したことに伴うキャスト変更の発表で明らかになった。
製作・配給の松竹によると、市原が先月下旬に健康診断を行った際、腫瘍が見つかった。
今月1日から都内の病院に入院しており、今月中にも手術を受ける予定。
高齢であることから大事を取っての降板が決まり、市原は「みんなに迷惑かけたくない」と大変悔しがっていたという。
所属事務所によると、市原は術後2~3週間リハビリに励み、4月の仕事復帰を目指す。
山田監督も関係者を通じて、「一日でも早い回復と復帰をお祈りしています」と話している。
同作は小津安二郎監督の名作「東京物語」をモチーフに、今の日本の家族を描いた物語。
市原が演じる平山家の母・とみこの代役は吉行和子(76)が務める。
当初、昨年4月にクランクインの予定だったが、震災や福島第1原発の事故を受けて製作を延期。
この日は山田監督が、次男・昌次(妻夫木聡)と恋人(蒼井
優)が出会ったきっかけを福島のボランティアにするなど、今年に入って設定を「2012年5月の東京」に変更して脚本を書き直したことも発表された。
撮影を目前に控えた山田監督は、「不況に重ねて大きな災害を経験し、新たな活路も見いだせないまま苦悩する今日の日本の観客が、大きな共感の笑いと涙で迎えてくれるような作品にしたい」と意気込んでいる。