「ローソンのシンプルなたまごサンドイッチは、次なる美食体験だ」──東京オリンピックをきっかけに来日した海外記者の投稿がTwitterで話題だ。この記者はたまごサンドだけではなく、アイスなどの“コンビニ飯”に注目した情報を発信しており、日本のTwitterでは「日本のコンビニを褒めてくれてうれしい」などの反応が出ている。
短期連載「東京五輪とネット」
57年ぶりの東京開催となった「東京2020オリンピック・パラリンピック」。前回開催時と異なりネットが普及した今、ネットを通じてさまざまな声や交流が生まれている。競技者やサポーター、報道関係者、企業など、国や立場を超えて生まれる“ネットと五輪”ムーブメントを追う。
ツイートしたのは米New York Timesの記者、ターリク・パンジャさん。パンジャさんは8月2日に、ローソンのサンドイッチ「たまご」や、ロッテのアイスクリーム「COOLISH」の写真をコメント付きで投稿。これらが日本人の目にとまり、計4000リツイートされるなど注目を集めている。
パンジャさんのように、海外の記者がコンビニ飯の写真を投稿するのには理由がある。東京オリンピックでは新型コロナウイルス対策のため、記者の行動が制限されている。産経新聞などの報道によれば、競技会場で取材できる人数を絞る、移動には公共交通機関ではなく専用の送迎バスを使ってもらう──といった対応が取られているという。
食事も同様だ。カナダCBC Newsによれば、記者は食事のときに宿泊施設を離れられず、ホテル内のコンビニなどで食料を調達しているという。海外の記者がコンビニ飯の写真を投稿するのは、味以外にもこういった背景があるとみられる。
実際、コンビニ飯に関する投稿をしているのはパンジャさんだけではない。例えばCBC Newsの五輪レポーター、デビン・ハーロウさんはセブン-イレブンやローソンのホットスナックやお菓子の写真を投稿して“コンビニ大好きレポーター”として話題になっている。
カナダCBC Sportsのレポーター、アナスタシア・バクシスさんはセブン-イレブンのおにぎりが上手に開けられず、悪戦苦闘する様子をTwitterに動画で投稿。日本のTwitterユーザーからは応援のリプライが殺到し、3.2万リツイート、7.8万いいね(7月30日時点)を集めた。これにはセブン-イレブン・ジャパンも反応し、コンビニおにぎりの「きれいな開け方」を紹介する動画をTwitterで公開している。
たまごサンドが話題になったローソンもこういった動向は把握しており、記者に自社の商品を届けるための工夫を進めているという。例えば同社が提供する、フードデリバリー「Uber Eats」を活用した配送サービスを記者たちの拠点で宣伝。直接コンビニに来なくても商品を買えることを周知しているという。
食品に対する記者の発言が批判を浴びるケースも
一方で、食品に対する記者の発信が批判を浴びたケースもある。話題になっているパンジャさんによるたまごサンドのツイートに、同じくNew York Timesの記者であるジュリアナ・バーバッサさんが「ちょっと放射能っぽい!」(it looks slightly radioactive!)と投稿。パンジャさんは「でも、おいしいんだよ!」と返答していた。
ウラン粉末の別名が「イエローケーキ」であることから連想したとみられるが、日本では福島原発事故以来、食品が含む放射線量に厳しい基準を設けて検査し続けてきたことから、「差別的な発言ではないのか」といった批判が続出した。これを受け、バーバッサさんは投稿を削除し「意図しない意味を持つ、悪い言葉を選択してしまった」とコメントした。