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奇妙な記事とその変更経緯

朝日新聞「3時間遅れ昼食・健康管理も難しい」

朝日新聞における日本の水際対策に関する記事で「3時間遅れ昼食・健康管理も難しい」というものが。

「今年12月2日午前に英国から帰国した20代女性」に取材した内容という。

その中の以下の記述が批判を呼ぶことに。

2日午前に英国から帰国したNGO職員の20代女性は、隔離生活を送るホテルで配給された昼食を見て驚いた。館内放送の案内を受けて扉を開けると、カップ麺と白米が部屋の入り口に置かれていた。時間は午後3時半ごろ。当初伝えられていた配給時間から約3時間が経過していた。
 ホテルの部屋には電子レンジがなかったため、冷たい白米を口に運んだ。カップ麺は部屋で湯を沸かしてすすった。同じホテルで隔離生活を過ごす知人からは、浴槽に湯を張り、白米の入った容器ごと温めたと聞いた。
 栄養士の資格も持つこの女性は、「税金で出してもらっているのはありがたい」と話す一方、「これが続けば健康管理も難しい」と戸惑いを隠せない。

元々の食事が用意できないからカップ麺と白米に

もっとも、同じ記事の後半には以下の事情が書かれている。

同検疫所によると、2日からホテルに滞在する入国者の昼食として、豚肉とメンマの中華炒めやコールスローなどが入った弁当が事前に用意されていた。だが、この日は入国者の到着が遅れ、用意していた弁当の消費期限が切れてしまい、急きょカップ麺と白米が配給されたという。

この対応について女性に何らかの説明があったのかは分からない。

それが無ければ、取材に応じたという女性の主観としては、「これが通常なのか、これが続くのかな?」と思いこんだとしても無理は無いだろう。

しかし、この事情が分かっている朝日新聞なら、なおさらそれまでの記述に報道価値が無いことや、タイトルが煽動的であるということが理解できるはずだ。

皆木香渚子記者、批判を受けてタイトルを変更も

本記事の署名記者である皆木香渚子。Twitterプロフには記者1年目とある。

批判を受けてタイトルを変更したとツイートしていますが、変更されたのは見出しだけではありませんでした。

その後「NGO職員・栄養士の資格を持つ」という内容も削除された

朝日新聞皆木香渚子記者隔離記事

実はその後、「NGO職員・栄養士の資格を持つ」という内容も削除されています。

https://web.archive.org/web/*/https://www.asahi.com/articles/ASPD2771LPD2OIPE01F.html

魚拓が30個以上取られていますのでここから確認できます。

12月3日17時台魚拓⇒

https://web.archive.org/web/20211203094549/https://www.asahi.com/articles/ASPD2771LPD2OIPE01F.html

この時点ではまだ変更なし。

12月4日18時51分頃魚拓⇒https://web.archive.org/web/20211204095139/https://www.asahi.com/articles/ASPD2771LPD2OIPE01F.html

タイトルが【隔離生活初日、3時間遅れで出てきた昼食は…「健康管理も難しい」】から【オミクロン株で水際対策強化、追われる現場 用意の弁当出せない例も】に変更。

この時点では「NGO職員・栄養士の資格を持つ」という内容はそのまま。

12月5日13時40分頃魚拓⇒https://web.archive.org/web/20211205044012/https://www.asahi.com/articles/ASPD2771LPD2OIPE01F.html

「NGO職員・栄養士の資格を持つ」が削除されたのは4日19時頃以降、ということになります。

個人の特定に繋がるから消したのか、事実誤認だから消したのか

「NGO職員」と「栄養士の資格も持つ」は、主張内容『これが続けば健康管理も難しい』という発言へのインパクトにも繋がる内容で、ある意味でこの記事の「煽動効果の主役」だったわけですが、事実報道の観点からはあまり大きな意味の無い情報。

だが、そもそもはこの報道価値が無い記事を書いたこと自体の問題。

個人の特定に繋がるから消したのか、誤りだったのか。

個人の特定に繋がるということなら変更してもそれを明示的に言うのは憚られるので、そこは考慮すべきだが、何とも奇妙な記事とその変更経緯でした。

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