清水希容選手は、最大のライバルに惜しくも敗れて銀メダルでしたが新競技の空手で初めてのメダル獲得です。
清水選手にとって東京オリンピック出場を目指すきっかけとなったのは、5年前の2016年に行われた世界選手権でした。
連覇がかかったこの大会で優勝すれば現役引退を考えていましたが、決勝の独特の雰囲気に触れたことで「最高の舞台と言われるオリンピックの決勝に立って優勝したい」と気持ちが変わり、金メダルを目指して東京大会に挑むことを決めました。
当時、清水選手は「形」の絶対女王で、スピードに加えて突きや蹴り、ジャンプなどが繰り返される激しい形でも体の軸がまったくぶれない正確で流れるように美しい演武を見せ、国際大会で負けなしでした。
そこに立ちはだかったのが「自分にとって特別な存在」で唯一のライバルと位置づけるスペインのサンドラ・サンチェス ハイメ選手。豊富なトレーニングで得た力強さが持ち味のベテランです。
清水選手は2018年の世界選手権の決勝でサンチェス選手に敗れて3連覇を逃しました。その後も国際大会の決勝で9回対戦して3勝6敗、サンチェス選手が大きな壁となり優勝できない時期が続きました。
オリンピックでの女王奪還を目指しておよそ1年半、国際大会には出場せず、稽古に専念し「悔しい経験をむだではなかったと言えるように演武したい」と臨んでいました。
決勝でサンチェス選手と対戦し、持ち味の美しい演武を見せたものの敗れ、目標の金メダルには届きませんでした。
それでも新競技の空手で、日本に初めてのメダルをもたらしました。