南アフリカで黒人の解放闘争を率い、民主化後の選挙で一貫して支持を集めてきた与党「ANC=アフリカ民族会議」が、統一地方選挙で初めて過半数を割りました。背景には汚職のまん延や経済格差への国民の不満があり、南アフリカ政治の大きな転換点と受け止められています。
南アフリカでは、かつてアパルトヘイト=人種隔離政策のもとで少数の白人が大多数の黒人を支配していましたが、マンデラ氏が率いたANCが解放闘争の主体となり、1994年に民主化を成し遂げました。
それ以降、ANCは人口の8割を占める黒人を中心に総選挙や統一地方選挙で一貫して高い支持を集めてきましたが、4日に発表された統一地方選挙の結果では全国集計での得票率が46%余りとこれまでで最も低く、初めて過半数を割りました。
次いで白人の支持が多い「DA=民主同盟」が得票率およそ22%、急進左派の「EFF=経済的解放の闘士」がおよそ10%の得票率でした。
結果を受けてANCのラマポーザ大統領は声明を発表し、国民が停電の頻発や犯罪の多発などへの不満を訴えていると認めたうえで「国民のために協力しよう」と野党に呼びかけました。
今回の統一地方選挙は3年後に予定されている総選挙の前哨戦と位置づけられ、ANCとしては今後、汚職のまん延や経済格差への国民の不満に向き合うことができるかが問われることになります。