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Emily Kramer(エミリー・クレイマー)氏とKathleen Estreich(キャスリーン・エストライヒ)氏は、戦略的なマーケティング会社MKT1(エム・ケー・ティー・ワン)の創設者であり、その活動は単にマーケティングだけには留まらない。前回のインタビュー記事でも触れたように、MKT1は、マーケティングコンサルティング、リクルートやメンタリングのワークショップの開催、エンジェルシンジケート(エンジェル投資家とスタートアップをつなぐ資金調達プラットフォーム)への投資など、さまざまなサービスを提供している。

この2人の創業者は現地時間7月20日、TechCrunchのマネージングエディターであるDanny Crichton(ダニー・クライトン)氏とともにTwitterスペースを利用して、グロースマーケティング業界について語った。両氏は、グロースマーケティングがエンジンであり、グロースマーケティングを構成する他の細分化されたマーケティングが燃料と考えるなど、いくつかの新しい視点を提供した。

マーケティングに関する見解などの会話を交わした後、質疑応答のセッションを設けたところ、インタビューを聴いていた創業者らからは、マーケターは雇うべきか、アウトソースするべきかなどの質問が寄せられた。

以下は、Twitterスペースでのインタビューの抜粋であり、長さとわかりやすさを考慮して編集している。

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グロースマーケティングとは何でしょうか。

エミリー・クレイマー氏:簡単な例えでいうと、マーケティングは、燃料とエンジンで構成されている。グロースマーケティングがエンジンであり、コンテンツマーケティング、プロダクトマーケティング、コミュニティ、イベントなどのすべては燃料となる。マーケティングオペレーションを構築し、トラッキングを行い、すべてを世に出せるようにすることに始まり、メール、広告、SEO(検索エンジン最適化)、そしてウェブサイト上で行っていることまで、すべてがエンジンを機能させる。そして、これらすべてを使って、オーディエンスをマーケティングファネルに取り込むのだ。

誰かにサインアップしてもらったり、セールスにつなげるためのクオリファイドリードを見つけることだけではない。カスタマーサクセスチームやプロダクトチームのサポートも含まれる。一対多の方法でオーディエンスとコミュニケーションをとることが、マーケティングの機能と考えている。特にグロースマーケティングは、通常、フルファネルであり、エンジンであり、絶えず変化している。

グロースマーケティングを含め、当社ではマーケティングにおいてあらゆるものに名前を付け、その数は5000にも及ぶ。トップダウン型の営業組織ではデマンドジェネレーションと呼ばれることが多いが、当社ではデマンドジェネレーションをグロースマーケティングのサブセットと考え、特にリードをセールスにつなげることに焦点を当てている。これがグロースマーケティングに対する考え方だ。しかし、マーケターによって考え方は異なるだろう。

2021年のグロースマーケティングの状況はどうか。2021年の夏、何に注目しているのか。

クレイマー氏:2つの大きな変化に注目している。1つは、コミュニティをグロースマーケティングの一部としてどのように考えるかということ、少なくとも、これまでに行われてきたことに対して「コミュニティ」という言葉を使っていることだ。「コミュニティ主導の成長」という言葉は明らかに強力なバズワードで、これは基本的に成長を推進するために人々を会話に参加させることを意味する。もう1つは「プロダクト主導の成長」という言葉で、これはまさにセルフサービスを表す言葉だ。

プロダクトグロース担当者やプロダクトグロースチームと連携するグロースマーケターと、1つの中心となるチームという構成が、過去10年間のトレンドだった。「プロダクト主導の成長」という言葉が、それらすべてに使われている。マーケターは、自分たちの役割さえもリブランディングするのが好きなようだ。

キャスリーン・エストライヒ氏:多くの企業が、グロースマーケティングについて早期から考え始め、1人目のマーケターを雇うことを考えている。以前はシリーズAで雇用していたが、資金調達ラウンドのレベルが全体的に幾分上がったこともあり、シードステージの企業の多くが、より早い段階で成長について考えるようになっている。

グロースマーケターのスキルセットの需要は非常に高まっている。今までもそうだったが、今はそれが顕著になっているように思う。多くの企業がより早く資金を調達し、より迅速に推進力を高めて評価額を上げようとしているため、そのニーズは非常に高いと考えている。当社が話を聞いたほとんどの企業が、マーケターを採用したいと考え、より早い段階で必要な成長の手段について検討している。

マーケターが過剰な分野、不足している分野はどこか。現在、需要が高い分野はどこか。十分に活用できていない分野はどこか。

エストライヒ氏:全体的に、マーケターの需要は非常に高い。特に、プロダクトマーケティングでの関心が高くなっている。プロダクトマーケティングを専門とするマーケターは多い。というのも、通常、スタートアップ企業の1人目のマーケターはプロダクトマーケティングの経験者であり、多くの企業がプロダクトマーケターを求め、そして、単に大企業の出身者というだけではなく、プロダクトマーケティングの経験を持つ人を見つけているためだ。

大企業のプロダクトマーケティングでは、製品ラインと密接に結びついていて、プロダクトマーケティングだけを行っていると思われる。しかし、アーリーステージのスタートアップでは、プロダクトマーケティングだけではなく、ディストリビューションを理解している人材が必要だ。そのため当社では、多くの企業に「π型マーケター」と呼ばれる人材を採用することを勧めている。つまり、マーケティングの2つの分野に深く精通している人材だ。

多くの場合、プロダクトマーケティングとグロースマーケティングの2つだが、そのような人材を見つけることは通常の市場では非常に困難だ。特に今の市場では、その役割を果たすのはかなり難しいといえるだろう。該当する人材を見つけるには、レベルや経験の面で多少の妥協が必要となるかもしれない。しかしそれでも、プロダクトマーケティングとグロースマーケティングの両方に精通した人材を見つけることができれば、マーケティングチームを立ち上げたばかりの企業の多くは、その恩恵を受けることができるだろう。

クレイマー氏:最近の数週間でも、いくつかのスタートアップ企業との会話の中で「ああ、当社の1人目のマーケターはコミュニティマーケターになるだろう」という声を聞いた。その役割は進化し、大きく変化している。スタートアップのマーケティングを始めた10年ほど前は、コミュニティといえばソーシャルメディアのことを指していたが、今ではまったくその意味はなくなった。そのため、以前にそういった役割を担っていた人材を見つけることは非常に難しくなっている。

コミュニティマーケティングというと、コンテンツやバーチャルイベント、カスタマーサクセスなどを多く手がけてきたという意味になる場合もある。そういう人々の場合、コミュニティマーケターには不適格、あるいは適格かどうかの判断がつかないということになるだろう。募集された役割と、実際に応募した人材とのミスマッチを目にすることもある。

それを踏まえた上でのマーケターへのアドバイスとしては、仕事の内容や職責をよく読み、自分がやってきたことと合っているか、あるいは自分がやるべきと考えている職責とあっているかを確認することだ。もしかすれば、自分ができることを教えたり、創業間もない企業での役割を定義する方法を教えたりする機会があるかもしれない。

グロースマーケターと仕事を始めるのに適した時期はいつでしょうか。

エストライヒ氏:「1人目のマーケターを雇うのにふさわしい時期はいつなのか」という質問はよく耳にする。エミリーと私が創業者たちによくいうことは「創業者チームが最初のマーケティングチームである」ということだ。初期のメッセージングやポジショニングの多くは、創業者が行っている。多くの場合、初期のビジョンを描き、それが資金調達の方法となるだろう。それを考える方法は、一旦一歩下がって「さて、ニーズは何だろうか。自分たちが成し遂げようとしていることは何だろうか」と問うことだ。そして、プロダクトマーケットフィットについて考えることだ。

通常、プロダクトマーケター、グロースマーケター、あるいはπ型マーケターを最初に迎えるべきと考えている。最初のマーケターを迎える前に、実際に市場に出す製品を用意しておくのが望ましい。もしそうでなければ、製品が世に出て一握りの顧客を獲得するまで待つ必要があるだろう。そこまで行けば、1人目のマーケターを誰にするか考え始めるべきかもしれない。

1人目のマーケターは、グロースマーケティングの経験を持つプロダクトマーケター、もしくはプロダクトマーケティングの経験を持つグロースマーケターのように、両方の経験を持つ人がよいだろう。初めにエミリーがいったように、ビジネスモデルの経験があり、即戦力になる人だ。なぜなら、アーリーステージの企業で最初に行うマーケティングの仕事は、多くの役割を兼ね、多くの仮説を検証し、多くの仕事をすることになるからだ。

そのためにも、仕事をしたくないような高齢の人は雇わないようにしたい。そういった人たちは、あなたがまだ準備できていないであろうチームを雇いたがるものだ。また、何をすればよいのかわからないような若すぎる人も雇わないようにしたい。バランスの取れた、ミドルレベルの人材を見つけることも重要になってくる。

クレイマー氏:プロダクトマーケターは、注力すべきニッチを見つけるサポートをしてくれるということだ。ある程度の顧客を確保し、スタート地点を決めておくべきだと考えている。プロダクトマーケターは、実際にはオーディエンスマーケターといったほうがいいのかもしれない。自分たちがやっていることを、特定のオーディエンスにどうやって伝えるかを見つけ出してくれるマーケターだ。何らかのアイデアがあった場合、彼らはチーム内で「他のオーディエンスに拡大すべきか、このニッチな分野にとどまるべきか、他のオーディエンスは何を必要としているのか、顧客とコミュニケーションがとれているか、顧客は何といっているか」といったことを考え続ける手助けをしてくれる。

彼らは、チームがオーディエンスについてすべてを把握し、また、新しいオーディエンスに手を広げ、テストするのを支援する責任がある。これはプロダクトマーケティングの重要な役割だ。しかし、製品の開発やリリースを犠牲にしてまで、そのような人材の早すぎる投入は、非常にリスクが高いことだといえる。

MKT1では、B2B企業や成長段階にある企業における特定のマーケティング機能について、フルタイムの雇用とアウトソーシングのバランスに何か傾向は見られるか。

クレイマー氏:創業者は初期の段階は「マーケティングに多くの時間を費やしているが、マーケターを雇う必要はない。コンテンツについては請負業者や代理店を雇えばいいし、SEM(検索エンジンマーケティング)やSEO(検索エンジン最適化)についても請負業者や代理店に頼めばいい」と考えるだろう。そうすると、多くの請負業者を抱えることになる。しかし、どんなに優れた請負業者であっても、依頼元に担当者やレビューアーは必要であり、やるべきことが明確に指示されていなければ、よい結果は得られない。また、多くのクライアントを相手にしているので、そのすべてにすばやく対応することはできない。

また、請負業者の管理にも手間はかかり、特にその分野の経験がない人は、業者とのやり取りに自分で仕事をするのと同じくらいかかることもある。多くの場合、マーケティングは、何かを引き渡せばよい他のビジネス領域に比べて反復的であり、特にクリエイティブな面では、自社のブランドを確立するために、その傾向は強くなる。つまり、やり取りが何度も必要になる。

ただし、代理店や請負業者にアウトソーシングした方が良い分野もいくつかあると考えている。その1つが有料検索だ。起業してしばらくの間はSEMのスペシャリストを雇う必要はないだろう。SEMは確かに専門的で、独特な厄介物であり、何が有効で何が無効なのか、よく変化する。その仕組みを理解し、一日中AdWords(アドワーズ、現在のGoogle広告)を見ていてくれる人がいると、本当に助かるので、人を雇うには良い分野だ。そのため、マーケティングチームの規模にかかわらず、当社は常に検索仲介業者に補強してもらっており、当社のチームに専任のサーチ担当者がいたとしても、彼らをサポートするために業者を利用している。これは常に必要なことだ。規模が大きくなると多種多様なことを行うようになるため、さまざまな代理店が必要になるだろう。

また、コンテンツの分野でも、コンテンツ担当者やプロダクトマーケターを補強するために請負業者を利用することは有効だと考えている。それでもやはり、請負業者に費用を払って大量のコンテンツを作らせる前に、コンテンツの内容、伝えたいメッセージ、自社の独自性、ブランディング戦略を明確に理解しておく必要がある。そうでなければ、結局は何も伝えられず、目標を達成できないコンテンツの山になってしまう。

そのため、コンテンツと有料検索は、常にアウトソーシングするのに適した分野だ。そして、規模が大きくなるにつれて、つまり最初はそうではなく、またビジネスのタイプにも依存するが、PR、つまりメディアとの関係もアウトソーシングが有効な分野だ。これについては、今話をしているTechCrunchの方がもっと詳しいだろう。しかし、メディアとの関係は規模の経済が大きく作用する分野だ。そのため、メディアに精通した代理店、あるいは多くのメディアとの関係のある代理店を持つことは、非常に意味のあることだが、それはもっと後の話だ。しかし、PR、コンテンツ、有料検索については、これらを管理する人材を社内に確保しておかないと、アウトソーシングが役に立つどころか弊害をもたらすことになりかねない。

画像クレジット:MKT1

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(文:Miranda Halpern、翻訳:Dragonfly)