音は極上、だけどそれ以外のデメリットがでかすぎる…そんなペダルを紹介します。
『API TranZformer LX』って?
APIはアメリカ・ニューヨークのレコーディング機材のブランド。
コンソールや500シリーズモジュールが有名です。
あまりギタリスト・ベーシストには馴染みがないかもしれませんが、レコーディング関係のエンジニアさんやDTMerはピンとくる方が多いのではないでしょうか。
TranZformer LXは、API社が発売したベース用プリアンプ・EQ・コンプ・DIです。
同時期に「TranZformer GT」というギター用の同様のペダルも発売されています。
購入のきっかけ
デジマート商品レビューの動画を見て、「これはヤベぇ…」ってなったからです。
ただ、音だけではなくお値段もコンパクトエフェクターとしては企画外。おいそれとは買えません。
自分のベースを楽器屋へ持ち込み試奏した結果…一音出した瞬間に購入を決意しました。
外観
段ボールの箱に入っているのですが、まずそれがでかいです。
ボスコンとサンズアンプの箱と比べると、写真でもお分かりいただけるのではないでしょうか。
厳重に格納されております。
箱から出した状態。比較のためボスコンを置いていますが、大体縦2つ×横2つの計4つ分くらいあります。
めちゃくちゃでかい。
高さの比較。ちょっと分かりづらいですが、一番高い所でボスコンの1.5個分くらいの高さがあります。
筐体は鉄の塊、という感じでずっしりとしています。というか、持ち運ぶのに難色を示すレベルで重いです。
自宅の体重計で量ると1.7kgほど。デジマートの紹介ページには1.81kgと書かれております。
電池の入っていないBD-2が350gほどですので、ボスコン5個分くらい。
上部にはapiのマークが。アダプタージャックは上部にあります。
電源は18Vで専用のアダプターが付属しています。
アウトプット側。フォンジャックの他、XLR端子もついています。
それぞれに位相反転とグランド/リフトのスイッチが付いており、様々な現場で使えそうです。
操作系統
フットスイッチが3つにツマミが6つ。
とはいえ、レベル・ゲイン・コンプの設定切り替えに3バンドEQなので操作はそこまで複雑ではありません。
トーンをオンにするとトーンが、コンプをオンにするとコンプがオンになるのは分かりやすいと思いますが、少し独特なのが真ん中のBYPASSスイッチ。
このエフェクター、基本的にはプリアンプを通った音に設定されているようで、バイパススイッチをオンにするとスルーになります。
COMPのつまみは6段階のクリックがあるタイプで、スレッショルドが変改していきます。1が一番かかりが弱く、だんだん強くなっていきます。
音の印象
極上、の一言です。
いわゆるAPIサウンドが楽しめます。
語弊を恐れずに言えば、メジャーアーティストの音源のベースの音…聴きなれた音が通すだけで出るな、という印象。
3バンドEQの効きが滅茶苦茶いいのですが、極端なセッティングにしても破綻しない。不思議。
コンプも、かなりきつめにかけることもできるものの、どこまで行ってもナチュラルさは残ります。
コンプってかなりセッティングがシビアというか難しい印象があるのですが、割とどうセットしてもいい感じになるので、例えばベース本体だけ替えたりしてもいちいちセッティングを一から直さなくていいので使いやすいです。
とにかくコンプのシルキーさが素晴らしく、EBSのマルチコンプやBOSSのLMB-3、FMR AUDIOのRNC1773などコンプ/リミッターはいくつも試してきましたが、本機を買ってすべて手放しました。
同じコンソールの味付けを再現したペダルで、『Zahnrad 4000pre』というSSL4000を再現したペダルを持っていますが、4000preの方がキラキラ感が強くなり、APIの方が太さ・奥行き・艶っぽさが出る印象です。
デメリット
高い・デカい・重い。これに尽きます。
コンパクトペダルで8万近い値段は中々ハードルが高いです。
また、本体がでかく、エフェクターボードによってはふたが閉まらないとかも発生しそう。
そして何より重たいので、車やローディーがいないとちょっと自力で持ち運びする気にはなりません。
電源も9Vの一般的なパワーサプライからは供給できず、使い勝手がいいとは思えません。
音に全振り、他のことは知ったことか!という開き直りのような潔さが伝ってきます。
この記事を書くにあたってデジマートや各種サイトを確認したのですが、今は殆ど売ってないようです。
絶版かはわかりませんが…これは売れないだろうなぁ…。
相性のいい楽器
楽器を選びません。
うちにはヴィンテージのジャズべとプレベ、それにアクティブのスティングレイがあるのですが、特にパッシブのオールドベースたちと相性がいい気がします。
また、プリアンプ部が上質なので、ギター…特にクリーンでカッティングとか単音っぽいフレーズを弾きたいときにはこいつを通すとぐっと色気が出るので、活用頻度はかなり高いです。
まとめ
とにかく音が良いベース用ペダルのご紹介でした。
個人的には、ちょっと外には持ち出す気にはなれないので、自宅で弾くときや宅録の専用機という運用になっています。
自宅でスタジオクラスのベースを宅録したい!という人には全力でおすすめします!