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 新型コロナウイルス対策の入国制限が大幅に緩和される。労働力として外国人頼みが続くコンビニや農業の現場からは歓迎の声があがり、団体観光客の来日再開を待ちわびる声も。ただ、先行して緩和した海外では国によって基準が異なる。感染リスクを意識した慎重な進め方も目立つ。

 「よいニュースだ」。長野県でコンビニ3店舗を経営する男性(44)は歓迎する。従業員13人のうち4人がネパールベトナムなどからの留学生。コロナ前から慢性的な人手不足が続き、つてを頼って確保してきた。今年10月に緊急事態宣言が全面解除され、飲食店などが求人を再開している。「再び人材の争奪戦が始まる」と考えるからこそ、新たに来日する留学生への期待は大きい。

 ある大手コンビニでは、全国の店舗で働く従業員のうち外国人が10%前後を占める。東京や大阪の大都市部を中心に、外国人なしでは店舗を運営できないという店は少なくない。

 「外国人依存」は年々、高まっている。国内の外国人労働者は2020年に約172万人。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの加藤真・副主任研究員によると就業者全体の39人に1人を占め、10年間で2・5倍に上がった。高齢化が著しい農業・林業では3・7倍に。労働力不足が深刻な現場から緩和を求める声は多く、木原誠二官房副長官は5日の会見で「経済界などからの要望を踏まえた」と率直だった。

 「春から待っていた。早く実習生に来てほしい。新型コロナの第6波が来るとまたストップするので、その前に入国してほしい」。ホウレンソウの収穫時期を迎えた群馬県昭和村で、生産農家の戸部一夫さん(57)も今回の決定を喜ぶ。

 ビニールハウス60棟で生産する戸部さんが今春に迎える予定だったベトナム人2人は、まだ来日していない。働き手が2人足りないと、年間約1千万円の減収になるという。「ホウレンソウは収穫から包装まですべて手作業。労働力に応じて生産するしかない」

 一方で、受け入れ先農家の負担を心配する声もあがる。茨城県鉾田市で実習生向けの講習や通訳支援などをしている企業「交流中心」の馬興栄専務(40)によれば、昨年10月から今年1月に受け入れ規制が緩和された際、入国直後2週間の隔離期間の滞在費は、農家がすべて負担しなければならなかったからだ。

 「本当に技能実習生が入ってくるのか」。JA茨城県中央会の担当者によると、県内の農家からはそんな声が聞こえてくるという。「日本で入国制限が緩和されたとしても、出国側の制限もあるだろう」

 東北地方で技能実習生の受け…