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産経新聞


 埼玉県やさいたま市などは、日立製作所と連携し、県内全域のインフルエンザ流行状況を人工知能(AI)を活用して予測するサービスの実証実験を開始した。2022年3月25日まで実施し、データ閲覧者の感染予防に向けた行動に与える影響なども調べ、有用性を検証する。

 システムは日立製作所と日立社会情報サービスが開発した。県内の医療機関のデータをもとに、4週間先までの流行状況を「レベル0」から「レベル3」までの4段階で市町村別に予測する。

 データは毎週月曜日に更新される。特設サイトで閲覧できる他、無料通信アプリのLINE(ライン)の専用アカウントでも発信している。11月29日に更新された最新のデータでは、県内の全ての市町村で「レベル1」となった。

 同様の実証実験は、20年度までの2年間、さいたま市のエリアに限って行われた。20年度は市内でインフルエンザの大規模な流行は起きなかったが、日立製作所の担当者によると、この傾向も事前に予測できていたという。今後は予測の対象エリアを全国にも広げることも検討する。

 データ閲覧者へのアンケートでは「予報を見て『マスク』『手洗い』『外出を控える』などの予防行動を取った」との回答が約6割を占めた。さいたま市の担当者は「予報が感染症拡大の防止につながることを期待している。サービスを市民の安心につなげたい」と話している。(兼松康)