新型コロナウイルスの感染状況を分析する東京都のモニタリング会議は6日、直近1週間に確認された新規感染者のうち、約6割が新変異株「オミクロン株」の疑い例だったと明らかにした。この日の都内の新規感染者は641人と1週間前の約10倍に上り、専門家は増加幅について「経験したことがない高い水準だ」と指摘。早ければ1月中にも大半がオミクロン株に置き換わり、爆発的な感染拡大が起きる可能性があるとの懸念を示した。(加藤健太)
◆飲食店利用人数見直しや都立施設への入場制限強化へ
小池百合子知事は会議後「人と人との接触を減らす取り組みを決定せざるを得ない」と述べ、現在1グループ8人までとの協力を求めている飲食店の利用人数の見直しや、都立施設の入場制限の強化などを進める考えを明らかにした。また同日夕、首相官邸で岸田文雄首相と会談し、米軍施設の感染拡大防止などに取り組むように要請した。
都は新型コロナウイルス感染者の特徴を解析し、オミクロン株に感染した疑いがある人の発生率を調べている。昨年12月7日からの1週間はゼロだったが、同30日からの1週間は59.9%に達し、1日当たりのオミクロン株の感染者の推計値は約81人になった。
また、オミクロン株への置き換わりは、最初に陽性が確認された12月14日の週から3週間目に4割を突破。4割を突破した時期は、昨年5月ごろの「第4波」の主体だったアルファ株より11週早い。昨年夏の「第5波」のデルタ株よりも8週早く、急激にオミクロン株に置き換わっている実態が浮かんだ。
モニタリング会議で国立国際医療研究センターの大曲貴夫医師は「この増加比が続けば爆発的な感染拡大になる」と指摘。感染状況の警戒度を4段階のうち下から2番目の「感染拡大の兆候がある」に引き上げた。
◆専門家は対策強化の必要性を指摘
新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」による感染拡大が懸念される中、都モニタリング会議の専門家は、今後宿泊・自宅療養者が急激に増える可能性があるとして、対応を強化する必要性を指摘した。
オミクロン株は、第5波の主流となったデルタ株と比べ、重症化のリスクは低いとされる一方、感染力が強く、感染者は急激に増える恐れがある。
東京都は、自宅療養中に60人が死亡した「第5波」の教訓を踏まえ、最大で確保病床を6919床とする体制を整えている。
国の方針を受け、都は6日までに確認された計90人のオミクロン株患者については原則、全員に入院を要請してきた。現在の病床使用率は7.0%だが、急激に感染者が増えており、都医師会の猪口正孝副会長は「この状況が続けば病床が
都は宿泊療養施設についても第5波の倍以上となる7900室を確保するほか、酸素投与ができる拠点の整備を強化している。ただ、爆発的な感染が起きれば、自宅療養者が増え、保健所などの健康観察が追いつかなくなる心配もある。「保健所に負担がかからないよう、しっかりと対応したい」と小池知事。猪口氏は「早期治療で中等症、重症を防ぐことが重要だ。第5波と状況は異なるが、同じ轍を踏まないようにしたい」と話した。(土門哲雄)
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