その年活躍した選手やクラブが表彰される『Jリーグアウォーズ』。このセレモニーにOggi編集部も潜入! かつて本誌の表紙を飾ったこともある川崎フロンターレは2021年J1リーグ連覇を達成! 縁深い皆さんにサッカーのこと、プライベートなこと、お話を伺いました。今回は功労選手賞を受賞した、フロンターレのレジェンド・中村憲剛さんです。
功労賞を受賞した中村憲剛(なかむらけんご)さんに突撃取材!
PROFILE
中村憲剛(なかむら けんご)
元川崎フロンターレ選手
生年月日:1980年10月31日
出身地:東京都
星座:さそり座
血液型:O型
公式Twitter:@kengo19801031
公式Instagram:@kengo19801031
30代は変化を恐れずに、ブレずに自分の足でしっかり立って仕事をしてほしい!
Q. 功労賞を受賞されたお気持ちは?
嬉しいですね。歴代の偉大なる先輩方が受賞している賞なので、僕もそういう賞を獲れるような選手になりたいと思っていました。ここを目指していたというわけではないのですが、キャリアを積み重ねるごとにどんどんその思いは強くなっていったので、引退した翌年に、このありがたい賞をいただけて、すごく幸せです。
Q. 引退して生活はどう変わりましたか?
一変しました! もう激変です!! まず、スケジュールを自分で管理するようになりました。それまではクラブにある程度管理されていましたが、今は自分のさじ加減でまっ白にもできるし、1日に5、6件、仕事を詰め込むことも可能にはなっています。ただ家族との時間を取りたいというのがやっぱりありますので、バランスを取りながらお仕事させていただいてます。
Q. 選手時代と今とでは仕事観は変わりましたか?
仕事観という意味では、変わらないですね。しっかりと準備をして、出番がきたときにベストを尽くす。そして、また使ってもらえるように努力をして選んでもらうという意味では、現役の時と今の仕事も何も変わりません。ただ変わったのは、ボールを日常的に蹴らなくなったこと、ですよね。サッカーの魅力を伝えるという内容は変わりませんが、今は別の形でサッカーの面白さを多くの人々に伝えていかなければと思っています。
Q. 内容や視点が変わってどう感じている?
ピッチにいるときは、ピッチから見る目線と、スタジアムの上からの映像をすり合わせてプレーに活かしてきたんですが、今は上からの視点しかないので、当然ですけれどピッチ上で感じられる選手としてのリアルな感覚は年々減っていくと思います。
指導者としてピッチに立つこともあるんですが、それはあくまで指導者としてであり、選手のときとはまた別の目線、考え方を持って臨まなければいけない。選手は目の前のことをただひたすら頑張ることが大事ですけど、指導者はそれだけじゃダメなんで、短期・中期・長期を見据えながら。そういう意味では変わりましたね。それはすごく新鮮でもあり、楽しくもあります。
Q. モーニングルーティンを教えて!
(引退して)モーニングルーティンは、なくなったんですよ。現役のときは基本的に定時に起きて、朝ごはん食べて、準備してグラウンドに向かうっていうルーティンがあったんですけど、今は目下探し中ですね(笑)。あ、けど、犬の散歩はよく行くようになりました。妻と2人で娘を送った後に、わんちゃんと散歩してコーヒーを買って座って話をする、みたいな。現役のときはトレーニングしている時間だったので、引退してからできたいい時間です。夫婦で話すことがすごく増えました。
Q. 自分で自分の機嫌を取る方法は?
自分の欲求に逆らうことは、あまりしないようにしてます。例えば、お菓子食べたい、炭酸飲みたい、お酒飲みたいとか。現役時から比べると、自分に少し甘くなりました。元々あまり我慢するタイプではなかったんですけど、余計そっちに舵は切れるようになりましたね。
しかしながら、平日のビールってすごいですね(笑)。「あぁ、みんなこんないい思いして仕事終わった後にお酒飲んでたんだ」って。もちろん嗜むくらいの選手はいるかもしれないですけど、僕は現役中は一切絶っていたので。
Q. 体型変わりました?
それが、そこまで変わってないんですよ。そんなにがぶ飲みはしてないです(笑)。あとは適度に運動もしているので。
Q. サッカー初心者も多いOggi読者に注目して欲しい選手は?
そんなこと言ったら谷口でしょう。ここが(顔を指しながら)、もう! 顔が勝負できるJリーガーのトップですから。脇坂も顔がいいですから、推しですね。プレーの話は全然してないけど大丈夫ですかね(笑)。サッカー初心者の女性の方々は、例えば「あの選手イケメンだな」がきっかけで、プレー見て、好きになるっていうのも全然OKだと思います。
Q. 最後にOggi読者に一言!
30歳って、ちょうどいろんなことを考えてしまって悩む時期。ある意味、悩めてしまう世代に突入するんですよね。20代後半の時も後輩が入ってきたりはするんですけど、そこからもうちょっと責任のある立場、中間管理職のようなポジションになると思うので、悩みも増える。
だけどその悩みって一回俯瞰してみると、意外と解決できる悩みだったりもする。だから、あんまり周りに気を使いすぎない方がいいと思うし、自分がしっかりと自分の足で立って全力で熱意を持って仕事をすれば、必然的に周りはついてくると思います。
ブレる方が多分良くないと思うんですよ。だけどブレがちなんですよ、30代って。僕もそういう経験をしました。若い選手や自分を脅かす選手が出てきて、チームの中で立ち位置が変わってくるんですよね。その中で年齢を重ねながらも、どうやって出番を掴むかっていう。
やっぱり20代でバリバリやってたときとは思考回路が変わりますが、その変わることを恐れないということがすごく大事だと思います。変化にちゃんと対応できると、できることの幅が広がるので。マイナスに感じることや、嫌なこともトライしてみると意外と自分のプラスに働いたり、引き出しが増えることにもなったり。ぜひこれからも変化を恐れずチャレンジしていってください。
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面白くて軽快なトーク、素敵な笑顔や、心遣い… インタビューのお話中、ひとつひとつの言葉や視線の中に感じる中村さんの深い魅力にあっという間に吸い込まれていました。レジェンドって、凄い。働く30代の胸に突き刺さるお話をありがとうございました!
撮影/安井宏充 構成/大槻麻衣