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18年前、岡山県津山市の住宅で小学3年生の女の子を殺害した罪などに問われた被告に、岡山地方裁判所は「捜査段階での自白は信用できる」などと指摘し、検察の求刑どおり無期懲役の判決を言い渡しました。

平成16年、津山市の小学3年生の女の子が自宅で腹を刺されるなどして殺害された事件では、14年近くがたった平成30年に別の事件で服役中の勝田州彦被告(43)が逮捕され、殺人などの罪で起訴されました。

被告は逮捕直後、「自分が刺した」などと自白しましたが、その後「うその供述だった」と否認に転じ、裁判員裁判では捜査段階での自白の信用性が争点となりました。

検察が自白は信用できるとして無期懲役を求刑したのに対し、被告側は「直接的な証拠が無く犯人ではない。自白した内容も報道などで知り得た情報で、事実と矛盾している」などとして無罪を主張していました。

6日の判決で岡山地方裁判所の倉成章 裁判長は「被告が供述した被害者を殺害した状況は、犯人だからこそ供述できたと考えるのが合理的だ。被告の自白は信用できる」などと指摘しました。

そのうえで「何の落ち度もない被害者がかけがえのない人生を奪われた絶望感や恐怖ははかり知れない。犯行は極めて身勝手で同情できる理由は一切無い」などと述べ、検察の求刑どおり無期懲役の判決を言い渡しました。

遺族のコメント「有罪判決にひとまずほっとした」

判決のあと、亡くなった女の子の遺族の代理人を務める弁護士2人が記者会見し、涙を流しながら判決を聞いていた遺族の様子を明らかにしたうえで、「有罪判決が出て、ひとまずほっとしています。判決が確定するまで裁判を見守りたいと思います」という遺族のコメントを読み上げました。

そのうえで吉沢徹弁護士が「遺族は本当のことを知りたいと話していた。被告はまだすべてを話しておらず、事件の真実が分からないまま裁判が終わってしまった。被告が控訴すれば、また一から裁判が始まるので、判決が確定するまで、一緒に頑張っていきたい」と話しました。

検察「適正で妥当な判決」

岡山地方検察庁の野村安秀次席検事は、報道陣の取材に対し「主張がおおむね受け入れられた。適正で妥当な判決だと考えている」と述べました。

被告側「たいへん遺憾」

被告の代理人を務める賀川進太郎弁護士が判決を受けて会見し「無罪だと思っていたので、たいへん遺憾だ。ここまで客観的な証拠がないのに有罪になるのは珍しい」と述べました。

また、裁判で検察が取り調べのやりとりを記録した書類を読み上げ、その内容をもとに裁判所が有罪とした点について「供述調書にサインをしなくても、取り調べのやりとりを記録した書類が証拠になるというのは岡山地裁で過去に例がなく、今後の裁判にも影響を与える」と述べ、控訴したことを明らかにしました。

裁判員「書類もとに判断」

判決のあと、裁判に参加した裁判員3人が記者会見を行いました。

このうち20代の会社員の男性は「悩んだこともあったが、自分の意見を言うことができてよかった。裁判員は良い経験になった」と話しました。

また、30代の会社員の男性は、取り調べの際の様子などを録画した映像が裁判所に証拠として採用されず、取り調べのやりとりを記録した書類をもとに判断したことについて「映像がないと被告の表情がわかりづらい部分もあったが、書類をもとに取り調べのやりとりなどを振り返ることができたのはよかった」と話していました。

専門家「自白の信用性を分析的に判断」

裁判を傍聴した刑事訴訟法が専門の岡山大学法学部の原田和往教授は被告の捜査段階での自白の信用性が争点となった今回の裁判について「裁判所は、左手で1度被害者のおなかを刺しその後、右手に持ち替えて胸を3回刺したという被告の供述が被害者の傷あとと整合性がとれるという点を評価したのではないか」と指摘しました。

その上で「取り調べの際の様子などを録画した映像が採用されなかったことは裁判所の判断に影響するものではなく、取り調べのやりとりを記録した書類をもとに供述の内容を慎重に検討し、自白の信用性について分析的に判断できたのではないか」と話しています。