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新型コロナウイルスの影響で1年の延期を経て開催された東京パラリンピックの閉会式が行われ、次の開催都市のパリにパラリンピックの旗が引き継がれ13日間にわたる大会が幕を下ろしました。
ほとんどの会場が無観客となるなど異例のかたちでの開催となった東京オリンピック・パラリンピックはすべての日程を終え、今後は大会のレガシーをどのようなかたちで残していくかが問われます。


先月24日に開幕した東京パラリンピックは、1964年の東京大会以来、世界で初めて同じ都市で2回目の開催となり、22の競技が実施され、162の国と地域に加え、難民選手団によるおよそ4400人の選手が参加しました。

閉会式は午後8時から、開会式と同じくメインスタジアムの国立競技場で無観客で行われました。

式では、参加した選手団の旗手が入場し、政権崩壊の影響でいったんは出場を断念したものの一転して参加が実現したアフガニスタンの2人の選手が、ともに旗手として入場しました。

日本は最後に入場し、卓球の岩渕幸洋選手が旗手を務めました。

そして次の開催都市にパラリンピックの旗を引き継ぐ、「フラッグハンドオーバーセレモニー」では、東京都の小池知事からIPC=国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長を通して、2024年の開催都市のパリ市のイダルゴ市長に旗が渡されました。

このあと大会組織委員会の橋本会長が「皆さんの圧倒的なパフォーマンスに心が震えた。まっすぐに、そして重く私たちの心を揺さぶった。互いの違いを認めて支えあい、いかなる差別もない、多様性と調和が実現した未来を必ずつくることを誓って、私たちはさらに歩みを進めていく。オリンピックとパラリンピックの価値を私は信じている」とあいさつしました。
そしてパーソンズ会長が閉会を宣言し、聖火が消されました。

今大会は、障害や基礎疾患のため感染すると重症化のリスクがある選手も参加したことから感染の封じ込めをどこまで徹底できるかが課題になっていました。

大会組織委員会が先月12日から発表しているパラリンピックに関連した感染者の累計はこれまでに301人で、このうち選手1人が感染によって入院していて、パーソンズ会長は感染対策の成功を強調しています。

また、今大会、日本は金メダル13個を含む51個のメダルを獲得するなど、前回大会を大きく上回る成績を収め、強化と普及に一定の成果を残して13日間の大会に幕を下ろしました。

東京オリンピック・パラリンピックは新型コロナの影響で1年延期され、ほとんどの競技で会場に観客を入れずに行うなど、異例のかたちで開催されました。

開催への批判もあった一方で選手たちが活躍する姿によってスポーツが持つ価値や共生社会の実現といったテーマにも光が当たり今後は大会のレガシーをどのようなかたちで残していけるかが問われます。

《閉会式 詳細》

20:00 閉会式始まる


東京パラリンピックの閉会式が午後8時から始まりました。

会場には大会を終えた選手たちが座席に座っています。

会場ではまず、困難な状況の中で無事に閉会式までたどり着くことができたことに感謝して、大会運営に関わったボランティアやスタッフ、それに選手たちによるカウントダウン映像が流れました。

そして72発の花火が打ち上げられました。


20:04 閉会式 最初のショーが始まる


閉会式の最初のショーが始まりました。映像では、大会での数々の名シーンを目撃した少年が、閉会式の会場に登場し、映像に出てきた人たちと音楽のパフォーマンスを始めました。

舞台は「渋谷スクランブル交差点」です。

20:05 高校生の音楽家 小学生のビートボクサーが共演


パフォーマンスを行ったのは18歳の高校生の音楽家、SASUKEさんと、小学生のビートボクサーRINさんです。

SASUKEさんは、2歳からダンス、5歳から作曲を始めました。
14歳のころ、東京・原宿での路上ライブがSNSで注目されたことをきっかけにメジャーデビューしました。
一方、RINさんは神奈川県出身。
4歳からダンスを始め、さまざまなステージで活躍しています。

20:07「ヘッドスピン」世界記録保持者のパフォーマンス


白い杖を使いながらステージ中央で踊っているのは、30歳のブレイクダンサー、MORIKOさんです。

生まれたときから目の病気、「網膜色素変性症」で、「自分の病気と大好きなHIPHOPを通して病気の人や、その家族の希望になりたい」という思いを踊りで表現します。

また、大野愛地さんは1分間、一度も手を使わず142回転するヘッドスピンの世界記録保持者です。
ダンスで東京の街の活発さを表現しています。

20:12 秋篠宮さまIPC パーソンズ会長とともに臨席


秋篠宮さまがIPC=国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長とともに閉会式に臨席されました。

20:13 日本国旗が会場に

バイオリニストの高嶋ちさ子さんの演奏にあわせて日本の国旗が会場に運び入れられました。

20:13 国旗を運び入れたのはパラアスリートたち


日本の国旗を運び入れるのはパラリンピックで活躍した選手など6人。このうち陸上の佐藤友祈選手は2つの金メダルを獲得し、「支えてくれた人の思いの重みもあるので、生涯忘れられない2つのメダルになった」と言葉を残しました。

また、競泳の山田美幸選手は2つの銀メダルを獲得。日本選手団で史上最年少となる14歳でのメダル獲得で「応援に応えるため、頑張りたいという気持ちと、大好きな水泳でてっぺんをとりたい、世界を目指したいという気持ちが原動力になった」と大会を振り返っています。

20:18 日本国旗掲揚と子どもたちによる国歌斉唱


日本の国旗が掲揚されました。国歌を斉唱したのは「こどもの城合唱団」。世代や国籍、障害の有無を超えた多様なメンバーで活動しています。

20:19 “世界人口の15パーセントは何らかの障害がある”


IPC=国際パラリンピック委員会が中心になって始めたキャンペーン「We the 15」の映像が会場で流されました。「We the 15」は、世界の人口の15パーセントは、何らかの障害があるとして障害者の社会参加を推進するための運動です。
開会式でも紹介された映像では「特別扱いされるのは好きじゃない。わたしたちを、当たり前の存在だとみんなが思えたら壁がなくなる」と伝えています。

20:21 各選手団の旗手入場始まる


東京パラリンピックに出場したのは160を超える国や地域。選手団の旗の入場が始まりました。最初に入場した「難民選手団」は競泳や陸上などの競技に6人が出場しました。

3日には、ホストタウンとなった東京・文京区の子どもたちとオンラインで交流し、選手団の団長を務めるイレーナ・ロドリゲスさんは「難民の選手たちは母国からの避難と自分の障害という2つの困難に立ち向かっている。この舞台で戦うことで、難民について知ってもらい、希望のメッセージを発信できることは素晴らしいことだ」と大会出場の意義を語りました。

20:22 アフガニスタンが入場


難民選手団のあとは50音順で入場が行われます。アフガニスタンの国旗が入場しました。政権崩壊の影響で、いったんは出場を断念したアフガニスタンの選手たちでしたがその後、一転して2人が出場しました。陸上のフセイン・ラスリ選手とテコンドーのザキア・フダダディ選手です。

20:27 “レース後のプロポーズで話題”カボベルデ入場

アフリカ西部の大西洋に浮かぶ島国、カボベルデが入場しました。陸上女子200メートル視覚障害のクラスに出場したケウラ ニドゥレイア・ペレイラ セメド選手はレースを終えた直後、伴走者のマヌエル アントニオ・バス ダ ベイガさんからプロポーズされ話題を呼びました。

20:30 「東京スカイツリー」模型に“小さな鏡”貼り付け


旗手として入場した選手たちは東京スカイツリーをデザインした模型に、小さな鏡をひとつひとつはっています。選手たちの姿を映し出すとともに、東京の街を輝かせるという仕掛けが施されているということです。

20:37 メダル総数大会最多207個 中国が入場


中国が入場しました。今大会最多の96個の金メダルを獲得しました。また、銀メダルは60個、銅メダルも51個で、メダルの総数でも207個と最多となる活躍でした。

20:38 ドイツが入場


ドイツが入場しました。陸上男子走り幅跳び義足のクラスでは、マルクス・レーム選手が8メートル18センチの跳躍で大会3連覇を果たしました。
レーム選手は東京オリンピックの陸上男子走り幅跳びの金メダリストがマークした記録を21センチ上回る8メートル62センチの世界記録をマークしていて、記録にも注目が集まっていました。

20:42 ブラジル 旗手は通算14個の金 ダニエル・ディアス


ブラジルの国旗が入場しました。旗手を務めたのは競泳でこれまで通算14個の金メダルを獲得しているブラジルの英雄、ダニエル・ディアス選手です。今回が現役最後のパラリンピックでした。
メダル総数は競泳の男子で史上最多となる24個に上り、レースのあと「障害によって人は定義されない」というパラリンピックの価値を示すことができたと手応えを話していました。

20:44 ベラルーシ 5つの金メダル獲得の選手も

ベラルーシの国旗が入場しました。競泳の視覚障害のクラスに出場したイハル・ボキ選手は200メートル個人メドレーで自身が持つ世界記録を1秒以上更新する2分2秒70の世界新記録をマークして、金メダルを獲得しました。ボキ選手は合わせて5つの金メダルを獲得しパラリンピック通算の金メダルの数を16個に伸ばしています。

20:50 日本選手団の旗が入場


最後に開催国、日本の選手団の旗が入場しました。旗手を務めるのは卓球の岩渕幸洋選手です。日本はパラリンピックでこれまでで最も多い254人の選手が出場し、22のすべての競技にエントリーしました。大会を通して日本が獲得したメダルの数は金メダルが13個、銀メダルが15個、銅メダルが23個の合わせて51個で、前回大会の24個を大きく上回りました。

3個のメダル獲得 ボッチャ日本代表も閉会式に参加


今大会、3個のメダルを獲得したボッチャの日本代表の選手たちも閉会式に参加しています。このうち個人では、キャプテンの杉村英孝選手が、この競技、日本勢、初の金メダルに輝きました。杉村選手は、廣瀬隆喜選手などとともに、団体でも銅メダルを獲得。「開会式は出られなかったので、閉会式は存分に楽しみたい」と話し、閉会式の様子を見守っていました。

20:56 「“すべての違い”が輝く街」が完成


会場には、東京オリンピックとパラリンピックのマスコットキャラクター「ミライトワ」と「ソメイティ」が登場しました。そしてキャストなどと力をあわせて鏡をはりつけた東京のシンボル スカイツリーをデザインした模型を立ち上げて街が完成しました。この街は違いがあることで対立するのではなく、「すべての違いが輝く街」を表しています。


21:00 “I’m POSSIBLE Award” 学校や選手に表彰


パラリンピックをきっかけに多様性を尊重する社会作りに貢献した学校や選手への表彰が始まりました。
I’m POSSIBLE Awardの開催国最優秀賞を受賞したのは千葉県木更津市の清見台小学校です。清見台小学校はパラスポーツとその価値を通して、障がい者に対する若者の認識を変え、インクルージョンを推進していくことに力を入れていて、パラリンピアンを招いた講話なども行ってきました。海外最優秀賞には、マラウイ・リロングウェL.E.A小学校が選ばれました。また、開催国特別賞を受賞した千葉県の東金特別支援学校は、地域の人たちの障がい者や外国人、高齢者に対する理解を深めようと、様々な背景の人々が地域で交流できるイベントを作ってきました。今後はパラリンピック競技の1つのボッチャのイベントを計画しているということです。

21:04 “パラリンピアン賞”の表彰


パラリンピックをきっかけに多様性を尊重する社会作りに貢献した選手を表彰するパラリンピアン賞には、ザンビアのラサーム・カトンゴさんと、ポーランドのカタジーナ・ロゲヴィェジさんが選ばれました。このうち、ラサーム・カトンゴさんは、陸上でパラリンピックに2回、出場し、地元の中学校で教師としてパラスポーツの普及に貢献しました。また、カタジーナ・ロゲヴィェジさんはクロスカントリースキーでパラリンピックに3回、出場し、2つの金メダルを獲得。国際パラリンピック委員会のメンバーとして活動しました。

21:08 IPCアスリート委員に鈴木孝幸選手ら選出を紹介

IPC=国際パラリンピック委員会のアスリート委員に今回、新たに選出された鈴木孝幸選手たちが紹介されました。日本の競泳陣のキャプテンを務めた鈴木選手は、今大会、金メダルを含む5つのメダルを獲得し、日本人として初めて選出されました。鈴木選手は、式には参加せず読み上げでの紹介でした。

21:10 盲導犬も参加し大会ボランティアの表彰


表彰式ではパラリンピックを支えたボランティアの人たちの表彰も行われました。表彰式にはボランティアの代表6人とともに盲導犬も参加しました。そしてアスリート委員からボランティアに花束が手渡されました。

21:12 “調和のとれた不協和音” 再びショーがスタート


会場で、再びショーが始まりました。タイトルは、「Harmonious Cacophony(ハーモニアス カコフォニー)」“調和のとれた不協和音”という意味が込められています。すべての違いが輝く街「ダイバーシティ」に朝が訪れ、太陽や風、花やクラゲなど様々な命が輝きを放ち、街をカラフルにしていく様子が描かれています。

21:19 垣根超え集まった人がダンス シシドカフカさんも登場


ダイバーシティに暮らす個性豊かなメンバーによる音楽パフォーマンスが続いています。ショーには女優や歌手として活躍するシシドカフカさんも登場。次々とダンサーたちが増え、「踊りのジャンル」、「性別」「年齢」、「障害」などあらゆる垣根を越えて集まった人たちの華麗なダンスが披露されました。

21:31 パラリンピックの旗を次回開催都市パリへ引き継ぎ


次の開催都市にパラリンピックの旗を引き継ぐ「フラッグハンドオーバーセレモニー」が行われました。
東京都の小池知事からIPCのパーソンズ会長を経てパリのアンヌ・イダルゴ市長に旗が受け渡されました。フランスで夏のパラリンピックが開かれるのは初めてです。

21:33 フランス国歌を手話で表現

次の開催都市、パリを紹介する映像がフランスの国歌とともに流れました。映像では音楽家のベティ・ムトゥマラヤさんが「サモトラケのニケ」像の前で手話を交えて曲を表現しています。

21:37 次回開催都市パリから中継


次の開催都市、パリからの中継映像が流れ、たくさんの人がエッフェル塔近くの広場に集まってフランス国旗を持って盛り上がっている様子が映し出されました。この中では、エッフェル塔の柱の1つが義足になっている映像も紹介されました。

21:42 大会組織委 橋本会長あいさつ


大会組織委員会の橋本聖子会長のスピーチが始まりました。橋本会長は「大会に携わったすべての方々に、感謝申し上げます。『オリンピックとパラリンピックがあってよかった』私はその価値を信じます」とあいさつしました。出場した選手に対して「皆さんの圧倒的なパフォーマンスに心が震えました。みずからの限界をつくらない姿を見ました。いかなる差別も障壁もない多様性と調和が実現した未来を必ずつくる」と話していました。

21:51 IPC パーソンズ会長 大会閉会を宣言


続いてIPC=国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長のスピーチが行われました。このなかでパーソンズ会長は「日本が大好きです。ありがとう」などと日本語でのメッセージを交えながら「新記録を打ち出す選手の姿などを通して、東京大会は世界に自信や喜び、希望を与えた。これができたのは、私たち世界中の人々を受け入れ、選手に競技する機会と場所を与えてくれた日本のおかげだ」と感謝のことばを述べました。そして「スポーツは扉を開いてくれた。私たちを隔てている障壁を壊す時が来た。東京大会はこれで閉会する。次はパリで会おう」とあいさつしました。

22:02 聖火消え大会に幕


東京パラリンピックの聖火が消され、13日間に渡る大会の幕が下ろされました。会場周りでは花火が打ち上げられ国立競技場のフィールドにはパリ大会の成功を祈って「SEE YOU IN PARIS」のメッセージが表示されました。そして1964年の東京大会でも表示された「ARIGATO」のメッセージもLEDビジョンで映し出されました。


22:06 東京タワーにも「ARIGATO」


東京オリンピック・パラリンピックがすべての日程を終え、東京タワーにも「ARIGATO」の文字が浮かび上がりました。