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ここ数年の国内スマートフォン市場、と言えばAndroidスマートフォンの売上上位はミッドレンジやエントリーモデルが「常連」。
以前は当たり前だった発売直後でさえハイエンドモデルがトップを獲得するという現象は基本的に見られなくなりました。

また、現在でもハイエンドではトップシェアを維持していると言われているXperiaでさえこの波には逆らえない状況。

というわけで今回はXperiaを例にとり、過去数年間でXperiaのハイエンドモデルの売上が過去数年でどの程度減ったのか、という推定をしてみたいと思います。

2016年→2021年でXperiaフラッグシップの販売台数はどの程度変化?

ソニーは当然各機種の売上台数は発表しておらず、売上の絶対台数を把握することは不可能。

ただ、機種ごとの「相対的」な売上台数の変化については推定して比較することができます。

そこで今回参考にしたのは価格.comでのレビュー数。

売上台数が少なくても不具合が多かったりする機種だと多くなりがちな口コミ数とは異なり、レビュー数は比較的正確にその機種の購入者数、つまり売上台数と比例すると思われます。

そして以下は2016年~2021年までのSnapdragon 800番台を搭載したハイエンドXperiaモデルのレビュー数を一覧にしたもの。

そして以下は年式ごとに集計したレビュー数の推移。

現役のXperia 1 IIIやXperia 5 III、一世代前でまだ販売が終了していないXperia 1 II/5 IIなどは今後ある程度レビュー数が増えると思うので、その点は考慮する必要があります。

ただ、今後ほとんどレビュー数が増えることはないと思われる2017年モデルと2019年モデルを比較しても2年間でレビュー数は半分以下に
中でも2018年→2019年の減少は顕著です。

よって、2019年がXperiaハイエンドモデルの売上台数が激減したターニングポイントだったことは間違いなさそう。

キャリアの「月サポ」廃止が原因?

Xperiaハイエンドモデルの売上台数が大きく落ちたと思われる2019年。
この年は改正電気通信事業法が施行された年でもあり、これによりキャリアの端末補助金、つまり俗にいう「月サポ」が事実上廃止されました。

その後もキャリアは2年間で端末を返却するプログラムなどで割引は続けましたが、以前と比べるとユーザー負担となる「実質価格」は大きく上昇

やはりこれがハイエンドXperiaの売れなくなった一番大きな原因と言えそうです。

ミッドレンジXperia投入も一因?

また、国内ではほとんどハイエンドXperiaしか展開してこなかったソニーがミッドレンジモデル、Xperia AceおよびXperia 8を投入したのも2019年。

月サポ廃止で割高になったハイエンドXperiaのユーザーがミッドレンジXperiaに流れた、という部分も結構大きいのかもしれませんね。

もちろんこれは価格.comで書込みをするユーザー数の増減などにも左右されると思うので、正確に売上台数を反映しているとは限りません。
ただそれでも大まかな傾向に関しては間違っていないと思います。

Xperiaに限った話ではない

なお、Xperiaの名誉のために一応申し上げておくと、今回はハイエンドモデルを比較的コンスタントに出してきたXperiaが一番データを整理しやすいという理由で選んでいますが、今回の結果はXperiaに限ったことではなく、基本的にはAQUOSやGalaxyといった昔からハイエンドモデルを展開してきたシリーズも同じような傾向が見られると思います
(というか、他のハイエンドはもっと減少幅が大きいような気もします)

また、iPhoneですら比較的安価な旧型モデルやSEといった廉価モデルが主力となっており、この傾向はAndroidに限ったことではありません。

そもそもミッドレンジの性能がここ数年で大きく向上し、ハイエンドの需要が減ったという考え方もできます。

が、それでもここまでハイエンドモデルが売れない日本のスマートフォン市場、少し寂しいような気もしますね。

データソース:価格.com (1/6時点)