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シェア電動スクーターの巨人、Lime(ライム)が転換社債とタームローン(中長期貸付)で5億2300万ドル(約593億円)を調達した。CEOのWayne Ting(ウェイン・ティン)氏はこれを2022年のIPOに向けた次のステップだと語った。Limeはこの資金を、脱炭素への取り組み、運用車両の第4世代電動スクーターへの大規模な置き換え、新たな都市への進出、都市からRFP(提案依頼)を得るための新技術の開発などに使用する。

「今回は応募者が大幅に募集枠を超えたラウンドとなり、一分野としてのマイクロモビリティへの関心が見直されていることを反映してると強く感じました。さらに重要なのは、Limeがこの分野の誰もが認めるリーダーであるという認識です」とティン氏はTechCrunchに語った。「企業はIPOに向けた最終ラウンドに転換社債を発行することが多く、投資家は会社が上場することに賭けてラウンドに参加します。なぜなら割引価格で手に入るからです。そしてみなさん御存知の通り、4億ドル(約454億円)を超える資金が入ってくるという事実は、来年の上場を目指しているLimeにとって実に大きな節目です」。

全調達額のうち、4億1800万ドル(約474億円)は転換社債によるもので、Abu Dhabi Growth Fund、Fidelity Management & Research Company、Uber(ウーバー)およびHighbridge Capital Mangementが管理するいくつかのファンドが参加した。この社債はLimeが上場すると自動的に株式に転換される。残りの1億500万ドル(約119億円)は、民間証券グループ、UBS O’Connorのシニア担保付タームローンで調達する。Limeはローンの期間を明らかにしていない。

FidelityとUberは、Limeの既存大口出資者だ。2019年にFidelityはLimeの3億1000万ドル(約352億円)のシリーズDでリード出資者であり、2020年Limeがパンデミックに苦闘する中、Uberは1億7000万ドル(約193億円)のダウンラウンドをリードし、LimeがUber傘下のマイクロモビリティ・タートアップJump(ジャンプ)を買収することにつながった。

Limeが2022年上場する計画も発表された今回の発表は、ライバルのBird(バード)がSwitchback II CorporationとのSPAC(特別買収目的会社)契約によって上場したことを受けたものだ。ティン氏は来年の「いつ」LimeがIPO申請するのか、通常の方法をとるのかSPAC合併を試みるのかについて明らかにしていないが、Limeに詳しい筋は、同社がSPACのルートをたどる可能性は低いと述べている。

「ゴールは私たちのミッションを達成するために必要な資金を確実に得ることにあります。そのミッションとは、シェアできる、手頃価格で、環境に優しい移動方法の選択肢をつくることです」とティン氏は言った。

今週Limeは、同社の炭素排出目標が、Science-Based Targets Initiative(SBTイニシアチブ)の認証を受けた。SBTは気象科学に基づく排出量削減のベストプラクティスを推進する組織で、パリ協定に従い、2030年までの実質ゼロを目標に活動している。Limeは最新ラウンドで得た資金から2000万ドル(約23億円)を脱炭素への取り組みに投入し、よりクリーンなハードウェアへの投資などによってサプライチェーンの80%が排出量目標を改善することを目指している。車両そのものやそこに使われる材料や生産を含めた資本財は、Lime全体の排出量の44.3%を占めている、と同社の炭素目標レポートにかかれている。スクーター部品や倉庫費用などの事前購入物資とサービスが25.8%を占めている。

「資本投資を通じて会社の運用を変えサプライヤーを後押しすることで目に見える結果を示したいのです」とティン氏はいう。さらに、Limeは自らの脱炭素目標をもたないサプライヤーとは仕事を続けるつもりがないと述べ、他の会社も製造パートナーに同じような圧力をかけることを期待している。「脱炭素と輸送について語る時、それはビジネスを意味しています。当社が公開企業になったとき、それがこの会社の拠り所であることを投資家に知って欲しいと思っています」。

Limeは調達した資金を主に、既存の都市による認証を強化し、今いる市場との関係をさらに深めるために使用する。例えば新しい車両モードの開発や「事業を拡張、拡大するにつれ、当社を都市にとって良きパートナーにする」ようなテクノロジーへの投資などだとティン氏は述べたが、Limeがどのような新モードやテクノロジーに取り組んでいるのか具体的には示さなかった。

しかし2021年10月、ティン氏はLimeが歩道検出テクノロジークラブへの参加に関心を持っていることを、WSJのテックイベントで言及した。当時同氏は、Limeが第3四半期に2度目のEBITDA黒字を達成したことを宣言した。そこに至った大きな理由は最終利益の成長であり、同社が統制のとれた会社であることを意味している。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、新規利用者と売上成長に影響を与え続けており、これは同社が2021年80件の契約を得たにも関わらずである。

Limeの主要な使用事例である通勤と旅行は、徐々に立ち直っている。つい最近米国政府は、ワクチン2回接種済みの欧州人旅行者の入国禁止を解除すると発表した。新たな都市への拡大もLimeのIPO前ロードマップに載っている。ティン氏は、Limeは北米・欧州の拡大を目標にしているが、中東にも関心があると語った。中東は本ラウンドのリードインベスターが拠点をおいている場所だ。

「実際、都市間の移動は大幅に増加しており、2021年の収益は2019年のパンデミック前レベルに戻る見込みです」とティン氏はいう。「人々は安全で手頃な1人乗り移動の手段を求めています。そして、多くの人々が移動手段をLimeのようなマイクロモビリティープラットフォームに変えています。2022年には、そんな利用者との関係を深める機会があることを期待しています」。

画像クレジット:Lime

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook