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今回の事件で被害にあった女性の母親が、障害のある娘が犯罪の被害を訴えるのがいかに難しいかを知ってほしいという思いで取材に応じました。

母親によりますと被害に遭った当日、いつもより遅く帰宅した娘は、動揺して震える声で事件について話したといいます。

母親は、娘の被害を聞いて、「許せないというより、許さないという気持ちが強かった」と振り返りました。

母親はすぐに警察に被害を相談し、娘の障害について家の外では家族以外の人と会話することができない「場面かん黙」という症状があることなども伝えました。

娘は、警察官から被害についてアンケートのような簡単な質問をされて、筆談で答えることができました。

しかしその後母親に検察から連絡があり、加害者を起訴するには証拠として不十分で、検察官に対して直接本人が証言する必要があると言われました。

母親は「むちゃなことを言うと思いました。『娘よりもっと重い障害の人が被害にあった時、今までどうしていたのか』と検察に聞いたら、『立件できなかった』と言われ、ショックでした」と話しています。

一方、検察も堅苦しくない部屋で女性検察官が聞き取るなど話しやすいように配慮を重ねた結果、娘は4時間以上かけた聞き取りで、自分の言葉で検察官に証言し被害の証拠となる調書を作ることができました。

7日、元会社員に有罪判決が言い渡されたことについて母親は「加害者もわからず、遠い道を行くようで果てしなく感じてくじけそうにもなりましたが、有罪判決が出たのでほっとしています。たまたま娘は証言できましたが、障害のある方の性被害では証言できないケースが多いと思います。娘が頑張って証言して立件された事件のことを埋もれさせず、世の中の人に知ってもらって考えてほしい」と話していました。