科学技術の進化とともに、より人間らしくなっている人型ロボット。最近では、イギリス製の最新人型ロボットの動画がYouTubeで公開され、大きな話題になっています。
動画とはいえ、目が合うとドキッとするほどリアル
先日、人型ロボットの開発を行うイギリスのEngineered Arts社が、「Mesmer(メスマー)」と名付けられた頭部だけの人型ロボットの動画をYouTubeに公開しました(以下の動画)。眠そうにあくびをする仕草をみせたり、視線をそらしたり笑ったりする表情は、ロボットとは思えないほど自然。頬や目のまわりの筋肉の動きと、皮膚にできるシワなどが、とても人間らしく、動画を見た人から「すばらしい!」「あくびしたときの鼻のしわがリアル」「人工の声帯と舌をつけたら、さらに完璧になりそう」などのコメントが寄せられています。
これだけリアリティあふれるロボットの開発を進められる理由は、どうやら本物の人間の表情を徹底的に調べて、それをもとに設計しているからでしょう。同社では、3Dモデルや3DCGをつくる際などに使われる「フォトグラメトリー」を活用。フォトグラメトリーとは、36台のカメラで取り囲むように設置された中央に人が座り、顔の動きを異なる角度から同時に撮影し、その動きを3Dモデルで再現するものです。メスマーは、この3Dスキャンのデータをもとに設計・成形し、最後にシリコンでできた皮膚に、手作業で髪の毛などの細部の塗料を手作業で塗って作られているそう。そのため、人間の骨格や表情などのリアルさが増しているそうです。
不自然な動きは過去のもの
さらに同社は、メスマーと同時期に“最先端なロボット”として「Ameca(アメカ)」もYouTubeで公開しました。こちらは、現在ラスベガスで開催中の世界最大級の電子機器の展示会、CES2022(2022年1月5日〜8日)で披露されていることもあり、世界的に注目されています。
アメカは、頭部だけでなく上半身・下半身も備えたAI搭載型ロボット。動画では肩をまわしたり、手のひらを見つめたりする動きを見せており、どの動作もとてもなめらか。さらに、驚きや戸惑いなどの表情もリアリティあふれるものになっています。
まさに“ロボットダンス”のように、カクカクとした不自然な動きをするロボットは、もう昔の話。身体の動きも顔の表情も、本物の人間に限りなく近いロボットの開発は、私たちが考えている以上に進んでいるようです。