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スポーツマンシップという概念がないのか

 東京五輪の野球代表「侍ジャパン」は、4日の準決勝で韓国を5−2で下し決勝戦へとコマを進めた。日本が五輪決勝へ進むのは、オールアマで挑んだ1996年のアトランタ五輪以来の25年ぶりのことで大きな盛り上がりを見せているわけだが、その一方で、敗れた韓国は米国との敗者復活戦でも敗退し、ドミニカと銅メダルをめぐる戦いに回ることになった。絶望感すら漂う韓国での声を拾って、ライターの羽田真代氏がレポートする。

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【写真】「マウンドに太極旗をなびかせてやろう」とメディアも煽っていたが

 韓国では準決勝の2日ほど前から「韓日戦で韓国が勝利すれば●●を無料で差し上げます」という広告があちらこちらで飛び交った。チキン、トッポキ、カルビを販売する韓国企業はもちろん、米国発の大手カフェやアイスクリーム販売企業などからも商品を無償提供する広告が打ち出されていた。

大統領就任後に始球式で

 韓国メディアも「マウンドに太極旗をなびかせてやろう」と、日本側を挑発する声が上がった。

 この“太極旗パフォーマンス”は第1、2回ワールド・ベースボール・クラシックで、マウンドに韓国旗を立て韓国を除く参加国から問題視された行為のことである。

 韓国の振る舞いは、「相手国に対するリスペクトに欠ける」「スポーツマンシップという概念がないのか」と批判され、国際問題にまで発展した。にもかかわらず、過去の蛮行を繰り返そうとするあたり、全く懲りていないようだ。

 ところで、今回の東京五輪でも、“勝てば太極旗パフォーマンスを行う”と前もって主張し、問題視されたことがあった。サッカー五輪代表選手である金東荽(キム・ドンヒョン)選手が7月11日のインタビューで、「太極旗を東京に突き刺して置いて来ることが実現できることを望む」と言い放っていたのだ。

韓国プロ野球そのものをなくせばよい

 話を五輪の野球に戻すと、今回の日本の勝利を受け、韓国の大手ポータルサイトであるネイバーのトップや五輪特設ページのトップからも野球に関連する記事が消え去った。関連ニュースを探しても寄せられているコメントは非常に少なく、国全体が宿敵・日本に敗北したことに意気消沈しているようだった。

 数少ないコメントやSNSでの反応を見てみると、「韓国が負けただって?韓日戦なのに?」「韓日戦に負けただって? 泳いで帰って来い。飛行機に乗るな」「負けた原因は監督と1塁手にある」「(3ランなどで活躍した)山田に負けたのではなく、韓国が自滅した…」といったもので、日本に負けた悔しさと怒りにあふれ、選手らに労いの言葉を掛けるコメントは非常に少なかった。

 さらに5日の米国との対戦中、敗色濃厚となった段階で、「韓国チームを応援したくない」「今後信じられるものはバレーしかない」「簡単に負けすぎだ」「サッカー、野球、ノーメダル確定」といったコメントが寄せられた。

 敗戦後のコメントには日韓戦の後と同様に、「飛行機に乗って帰国せず、船に乗って帰国するように。途中で船が転覆しても誰も助けないように」といったものから、「大統領府に嘆願して韓国プロ野球そのものをなくせばよい」「今回のオリンピックは出場しない方がよかった!」とチームを袈裟懸けに斬るようなものが目立った。

 韓国は6日現在、金:6、銀:4、銅:9とメダルの数で世界12位に位置している。しかし、金メダルの半分以上はアーチェリー競技によるものであり、国技とされているテコンドーでは史上初のノーメダルを記録。国民から人気のあるサッカーもメダルを取れず、野球も銅メダルがやっとという状況に、悲壮と焦燥が見え隠れするようだ。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年8月6日 掲載