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慶應発の再生医療スタートアップ「セルージョン」が11億円のシリーズB調達、水疱性角膜症に対する再生医療等製品の社会実装加速

慶應義塾大学医学部眼科学教室発の再生医療スタートアップ「セルージョン」は1月7日、シリーズBラウンドにおいて、第三者割当増資による総額11億円の資金調達を2021年12月に完了したと発表した。引受先は、リード投資家の東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)、新規投資家の東邦ホールディングス、東洋製罐グループホールディングス、Gemseki、既存投資家のSMBCベンチャーキャピタル、慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)、DBJキャピタルが運営する投資事業有限責任組合。

2015年1月設立のセルージョンは、iPS細胞から角膜内皮代替細胞を効率的に作り出す独自技術を基に、世界の角膜移植課題をはじめとした、現在の医学が抱えるアンメット・メディカルニーズ(未解決の治療ニーズ。Unmet MedicalNeeds)の解消を最先端の細胞治療技術により解決し、全世界の健康福祉向上への貢献を目指している。

調達した資金により、先行開発品であるiPS細胞由来角膜内皮代替細胞(CLS001)の国内および海外の臨床試験準備、研究・組織体制の強化、後続パイプラインの研究開発を進める。また、医薬品卸業者の東邦ホールディングスや包装材メーカーの東洋製罐グループホールディングスとの事業連携を進め、CLS001の社会実装へ向けたサプライチェーンを整備し、水疱性角膜症に対する新たな治療法提供へ向けた取り組みを加速する。

角膜移植以外では失明を防げない水疱性角膜症のような眼科疾患は、全世界では1300万人以上の待機患者が存在するにもかかわらず、年間実施される角膜移植はわずか約18万件という。この治療需給ギャップの原因は、角膜移植にはドナーからの角膜提供が必要な点に加えて、熟練した角膜移植医の確保やアイバンクの整備を要することが治療提供の大きな制約となっている点が挙げられるという。

そのためセルージョンは、「増殖性に優れるiPS細胞から角膜内皮代替細胞を効率的に作り出す技術」と「簡便な手技で属人的技術を不要とする細胞移植法」を組み合わせ、角膜移植適用症例の半数以上を占める水疱性角膜症に対する再生医療等製品CLS001による治療の開発を進めている。CLS001は、慶應義塾特定認定再生医療等委員会および厚生労働省の厚生科学審議会から2021年7月にヒトでの安全性を評価する医師主導臨床研究の実施承認を得ており、準備が整い次第、慶應義塾大学病院にて同研究が開始される予定だ。