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がんのリスクが唾液から判明 医療へのAI活用で広がる可能性

 日本人の2人に1人はかかると言われているがん。そのリスクがたった1滴の唾液を調べるだけで分かる検査が実用化されています。解析するのはAI。一体どんな検査なのでしょうか。

 山形県鶴岡市にある会社の冷凍庫の中には・・・

 「今日届いた検体が入っている。こちらが全国から届く唾液の検体」

 唾液がマイナス50度で保管されていました。たった1滴の唾液から、がんのリスクがわかるといいます。検査は、キットを使って自宅や医療機関で唾液を採取し、郵送するだけ。肺がんや胃がん、乳がんなど6種類のがんのリスクを知ることができます。

 開発したのは、慶応大学の研究所から生まれたベンチャー企業。

サリバテック 前田詩穂さん
 「唾液に含まれている約50種類の代謝物を網羅的に解析している」

 検査で測定するのは、唾液に含まれる代謝物の濃度です。これは乳がんの細胞。特殊な方法で色を付けると、赤く光りました。これが、がんの出している代謝物です。がん細胞が出す代謝物は、血管の中を流れて全身に広がり、唾液の中にも染み出します。この濃度を調べるのです。

サリバテック 前田詩穂さん
 「各がんの種類ごとに特異的に濃度が増えてくる物質があるので、(がんの)種類ごとに見ている物質が異なる」

 数十種類の代謝物の濃度をもとに解析を行うのが、AI=人工知能です。検査を受けた人のデータを、がんではない人と、がん患者のデータと照らし合わせ、がんのリスクをはじき出します。

サリバテック 前田詩穂さん
 「がんでない人の唾液に似ているのか、がんの人の唾液に似ているのかを人工知能が計算してリスク値をお示しする」

 これは、数千人分の検査データをがんのリスクが低い順に並べたものです。青色の線は、がんではない人。ピンク色の線は、がんと診断された人を表しています。検査を受けた人のがんリスクはどのあたりになるのかをAIが判定するのです。医療分野へのAI活用で、がんの早期発見や治療につなげることが期待されています。