調査会社Wakefield Researchが米国の経営幹部を対象に実施した調査によると、回答者の24%が、Web会議や電話会議中にコミュニケーションツールやネットワークに問題が発生したことをきっかけに、従業員を解雇したことがあると答えた。Web会議や電話会議中に問題を起こした従業員に対して戒告処分を下したり、プロジェクトから外したりするなどの何らかの懲戒処分を与えたことがあると回答した企業は83%に上った。
調査は、コミュニケーションツールの監視、分析サービスを提供する企業Vyoptaの委託を受けてWakefield Researchが実施。従業員数500人以上の企業でバイスプレジデント以上の職位にある企業幹部200人を対象に調査した。調査期間は2021年7月30日〜8月10日。
企業は、Web会議における失敗が経済的損失を招く可能性を認識している。調査では32%の回答者が、Web会議におけるネットワーク接続や技術的な問題が原因で、顧客やビジネス機会を失ったことがあると回答した。こうした失敗が原因でプロジェクトの完了期限に遅れたことがあるとの回答は41%に上った。
調査によると各社の従業員のうち、テレワークに必要なツールを確実に正しく使用できると見なせる従業員の割合は、平均して66%だった。回答者の42%は「ハイブリッドワーク」に必要なコミュニケーションツールの可用性を確保する責任は従業員にあると回答している。ハイブリッドワークは、オフィスワークとテレワークを組み合わせた勤務形態を指す。
調査会社ZK Researchのゼウス・ケラバラ氏は「コミュニケーションツールを使用する従業員のニーズに、企業が応える必要がある」と語る。例えば子どもの面倒を見ながらプレゼンテーションをするような状況では、そのどちらにも完全には集中できない。「子どもの勉強や食事の面倒を見るときは、それらが最優先だ。仕事をするときは、仕事を最優先にしなければならない」とケラバラ氏は話す。
米国では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の影響が落ち着きつつある。この状況を受けてハイブリッドワークを計画する企業に対し、オフィス設備用に確保していた予算を保育サービスに充てることをケラバラ氏は薦める。そうすれば従業員は、子どもを預けて仕事に集中する時間を確保できる。
調査回答者の70%以上は、ハイブリッドワークの従業員数を維持するか、増やす計画だ。従業員の確保が厳しい課題となっている現在、企業はハイブリッドワークを導入せざるを得なくなっている。金融情報を提供するBankrateが2021年7月に実施した調査によると、米国の労働者の55%は1年以内に新しい職を探そうと考え、41%が今後1年は1週間に1日以上、テレワークで働き続けることを期待していた。
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