沖縄県の新型コロナ感染対策で陣頭指揮をとり、国のコロナ対策のアドバイザーも務める高山義浩医師は、感染者や濃厚接触者の隔離期間の大幅な見直しが必要だと訴えました。
皆川玲奈キャスター
「感染拡大のきっかけのひとつは米軍ですか?」
沖縄県立中部病院 高山義浩医師
「今回の流行は、在沖米軍基地からの波及であることは間違いないと思います。本土でオミクロン株がまだ流行していない時から沖縄で広がり始めましたし、当初、基地従業員で感染者が多発したというところもあるので、基地から漏れ出たということだと思います。ただその後、県内で拡大してきたことまで、米軍のせいというわけではない。そこは分けて考える必要があると思います」
そうした感染拡大の中心となっているとされるのは若者世代です。このまま大流行が続く中で高齢者への感染が拡大し、大きな被害をもたらすかもしれない、沖縄県内の医療や経済界などの有志が立ち上げた組織が、成人式を前に新成人への呼びかけを行いました。SNSなどを活用し、若者との双方とのやり取りをするプラットフォーム作りにも力を入れています。
タスクフォース沖縄 玉城研太朗代表
「“ハタチのワクチン接種”。“ハタチの献血”ではありません。これを機会に、是非ワクチン接種をお願いします」
感染者や濃厚接触者の急増で、欧米では医療機関だけでなく、公共交通機関を含めたエッセンシャルワーカーの確保が難しくなるという事態に見舞われています。沖縄でも既にその兆候が現れています。
沖縄県立中部病院 高山義浩医師
「まだベッドの面においては余力はあるんです。ただ一方で、医療従事者の感染が次々に見つかっていて、今、コロナの診療をしている医療機関で200人以上の医師や看護師が感染をしたり、あるいは、濃厚接触者ということで就業制限がかかって出勤できなくなってきています。このため病床があってもそこで診療する医療従事者がいないという状況が、少しずつ広がっています。既に私の病院もそうなんですけれど、一部の救急受診を制限させていただいたり、コロナの部分に回していくということを行わないと、医療が維持できないことになってきています」
その処方箋になると高山医師が考えているのが、オミクロン株を科学的に分析したうえでの感染者や濃厚接触者の隔離期間の短縮です。
沖縄県立中部病院 高山義浩医師
「現時点において、濃厚接触者は14日間の自宅待機、就労制限がかかってしまいます。濃厚接触者について、例えば7日後にPCR検査をして陰性であれば、あとは働いていいですよとか、それだけでも働く人たちを確保しやすくなります。あるいは感染者の人たちの(隔離期間は)今は発症から10日ということになっていますが、この基準は従来株のときに決まったものです。オミクロン株にあった“隔離解除基準”を、改めて作り直していく必要もあると思います」