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アメリカの中間選挙まで8日であと1年となります。バイデン大統領は夏以降、支持率が低迷し、政権の行方を占うと位置づけられた州知事選挙でも支援した民主党候補が敗れるなど、中間選挙に向けて厳しい状況に立たされています。

アメリカで4年に1度、大統領選挙の合間に行われる中間選挙まで、8日で1年となります。

バイデン大統領の支持率の平均値は50%台で推移してきましたが、8月下旬に初めて不支持が支持を上回り、今月5日時点では43.1%と、就任後、最低の水準に落ち込んでいます。

背景には、アフガニスタンからのアメリカ軍の撤退が、敵対してきたイスラム主義勢力タリバンの復権を招いたことや、足元の与党・民主党内の対立で、大型の歳出法案の成立が難航していることなどがあると見られています。

こうした中、政権の行方を占う選挙と位置づけられ、みずからも応援に駆けつけた今月2日のバージニア州知事選挙では、当初優勢だった民主党候補が共和党候補に敗れ、求心力の低下が顕在化しました。

一方の共和党では、今もトランプ前大統領が高い人気を誇り、各種世論調査で共和党支持層のおよそ80%がトランプ氏を支持しています。

トランプ氏は、1年前の大統領選挙をめぐり「本当の勝者は自分だ」という主張を続けていて、1月の連邦議会への乱入事件などを受けSNSのアカウントが停止される中でも、各地で開く集会には数千人規模の支持者が集まっています。

中間選挙は歴史的に政権与党が苦戦することが多く、連邦議会の上下両院で民主党がかろうじて確保している多数派の維持に向け、バイデン大統領は厳しい状況に立たされています。

専門家「アフガニスタンの混乱が影響か」

調査会社ギャラップによりますと、歴代大統領の支持率を就任1年目の10月時点で比較すると、1953年に就任したアイゼンハワー大統領以降では、トランプ大統領の37%が最も低く、バイデン大統領の42%は、それに次いで低い数字です。

アメリカ政治が専門の、バージニア大学・政治センターのカイル・コンディック氏は、バイデン大統領の支持率が低い理由について「社会の両極化が進んだことで、大統領の『ハネムーン期間』が以前ほど影響を及ぼさなくなった」と述べ、野党やメディアが、就任から日が浅い大統領への批判を抑えるとされる「ハネムーン期間」の効果が薄れていることがあると指摘しました。

そして「夏以降の支持率の低下を引き起こしたのは、混乱の中でのアフガニスタンからの軍の撤退だった。バイデン政権の力量に対する見方に打撃を与えた」と分析し、さらに、インフレやガソリン価格の高騰も影響しているという見方を示しました。

そのうえで、バイデン大統領と与党・民主党がこの状況を打開するためには「政権が必ずしもコントロールできるとは限らないが、新型コロナウイルスの感染状況やサプライチェーン、インフレ、ガソリン価格の高騰などの状況が改善する必要がある」と指摘しました。

そして、来年の中間選挙に向けた展望について、コンディック氏は「大統領の支持率が今のまま低ければ、中間選挙では共和党が勢力を伸ばすだろう」と述べ、バイデン政権が現状を打開できないかぎり、共和党が勝つ可能性が高いという見方を示しました。