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人工タンパク質素材「Brewed Protein」のSpiberが344億円調達、グローバルな量産・販売網を強化

「クモの糸」で知られる構造タンパク質素材の人工合成に世界で初めて成功したSpiber(スパイバー)は9月8日、機関投資家カーライルおよび海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)を主な割当先とする第三者割当増資による244億円、また、三菱UFJモルガン・スタンレー証券をアレンジャーとした「事業価値証券化」(Value Securitization)による100億円、総額344億円の資金調達にかかる決議を行ったと発表した。

その他、Fidelity InternationalやBaillie Giffordといったグローバル投資家、既存投資家である東京センチュリー、山形銀行や佐竹化学機械工業といった国内企業も同資金調達ラウンドに参加する予定。また同ラウンドにおけるアンカー投資家であるカーライル、クールジャパン機構からそれぞれ1名ずつ取締役を受け入れる予定としており、両投資家の持つ知見やネットワークを最大限活用できる環境を整え、大規模なグローバル展開を一層加速していくとともに、数年内に計画するIPOに向けて、グローバルな機関投資家との対話を強化する。

Spiberは、人工タンパク質素材「Brewed Protein」(ブリュード・プロテイン)を開発する、⼭形県鶴岡市に拠点を置くバイオベンチャー。Brewed Proteinポリマーは、植物由来の糖類を主原料に使⽤し、微⽣物による発酵(ブリューイング)プロセスにより製造され、⽤途に応じて多様な特徴を付与することが可能。

そのため、アパレル分野や輸送機器分野など、様々な産業における脱⽯油・脱アニマルのニーズに対し⼤きな役割を果たせる可能性を秘めており、持続可能な社会の発展に資する次世代の基幹素材と⽬されているという。

2021年内にタイ・ラヨン県において同社初となる量産プラントの稼働を開始する予定。また、現在米アイオワ州で同社協業先のADMと新たに量産体制を構築しており、早ければ2023年に稼働を開始する予定という。

またBrewed Protein素材は、植物由来でアニマルフリーかつ環境分解性を併せもち、さらに、同社ライフサイクルアセスメントの結果によると、カシミヤをはじめとする動物由来繊維と比較して、温室効果ガスの排出量を大幅に軽減できる可能性が示されたとしている。

アパレル産業をはじめとする各産業セクターにおいて、持続可能な素材へのニーズが急速に高まる中同素材は高く評価されており、多数のグローバルアパレルブランドと共同プロジェクトが進行しているという。

カーライルは、高度な業界専門性や、サステナビリティに関する知見、ラグジュアリーブランドや繊維・素材を含む各産業セクターとの豊富なグローバルネットワークを持つ世界有数の機関投資家。同社は、これまでグローバルでジーノロジア(Jeanologia)やビューティーカウンター(Beautycounter)などのサステナビリティ関連企業や、モンクレール(Moncler)やゴールデングース(Golden Goose)などの世界有数のアパレルブランドに投資を行っている。またカーライルとしては、同案件は日本国内初のマイノリティグロース投資となる。