ハイブリッドやEVが主役の昨今だが、道なき道を走破できるタフなクルマの魅力は不変。ジープをはじめとした“ガチ”でタフなクルマのスゴさを紹介する。見たことのない世界へ、さあ行こう!
※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。
未舗装路を想定し開発されたクルマに宿る本気装備を見よ
大流行中のSUVも、そのルーツを辿るとタフなオフロード系のモデルに行き着く。未舗装路や岩場などでも走れる高い最低地上高は必須条件。そのほかパートタイム4WDやラダーフレームなど、過酷な使用にも耐える、独特かつ必須のメカニズムを備えることがキモだ。
ジープ
ラングラー アンリミテッド ルビコン
658万円(税込)
ジープブランドのなかでも本格派オフローダーとして名高い、ラングラーの最強モデル。車名の“ルビコン”はテストコースとしても使われる、ネバダ州からカリフォルニア州のタホ湖に抜ける険しい花崗岩の道、ルビコン・トレイルにちなむ。
タフと呼ばれる所以は特有の構造と装備にある
文字通り道なき道を行くオフローダーの所以は、大地を四輪でしっかりと掴む力強さと、悪路での走破性の高さだ。それを可能にするための装備がタフなクルマの条件。特にラダーフレーム、リジッドサスペンション、パートタイム4WDからなるメカニズムが三種の神器だ。堅牢なラダーフレームと組み合わされるリジッドサスペンションは凸凹道でも片輪をしっかりと路面に接地させ、駆動力を生み出せる。パートタイム4WDにより任意で4WDにできれば、燃料のロスも少ない。
大きな障害物を乗り越えるときは地面と十分なクリアランスを保つ高い地上最低高もポイント。障害物に対してバンパーやボディと地面が接しない大きなアプローチアングルやデパーチャーアングルはタフさを計る物差しでもある。
スタックしたときに頼れる、デフギアをロックして脱出するデフロックや、シャックルなどを掛けやすい大きな牽引フックがあればさらに本気仕様。これらは岩登りや渡河もこなせる“タフの機能美”なのだ。
【条件1】パートタイム4WD
路面状況に応じて駆動輪を切り替えられる必須装備!
確実にパワーを路面に伝える本格派オフローダーに必須の装備。ドライバーの意思で2WDと4WDを選択できる。前輪と後輪の回転差を吸収するセンターデフは搭載されない。そのため4WD時にはコーナーなど旋回時に前後タイヤの回転差でブレーキがかかったようになることもある。
【条件2】デフロック機構
片輪が空転しても大丈夫! スタック回避の最終手段
デフギアは左右(前後)車輪の回転差を吸収したり、回転抵抗の少ない方に多くの回転を与えたりするもの。悪路などで1本のタイヤがスリップするとデフの特性上、その1本だけが空転し、ほかに動力がかからなくなってしまう。デフロックなら反対側に動力を伝えて走破性能を高められる。
【条件3】リジッドサスペンション
常に一定のクリアランスを保てるのがメリット
車軸を通して左右の車輪が直接的につながっているサスペンションのこと。未舗装路などサスが深くストロークするような場面でも最低地上高が変化せず、片輪が縮むとてこの原理で伸びた側のタイヤを押し付け、グリップ力を高められるメリットがある。まさにタフなクルマのサスだ。
【条件4】ラダーフレーム
タフなクルマの象徴とも言える独特の車体構造
ボディを支えるラダー(はしご)状のフレーム。未舗装路をはじめとした悪路ではタイヤやサスペンションを大きく動かす必要があるが、ラダーフレームはタイヤとタイヤハウスの距離を大きく取れて、丈夫なフレームで衝撃を吸収してくれる。ボディとシャーシが別構造なのも特徴だ。
【条件5】アプローチアングル
悪路走破性能を計る物差しとなる数値
凹凸道を走破するには、高い最低地上高と、障害物に対してバンパーが十分なクリアランスを保つことが条件。バンパーとタイヤをつないだ線が地面となす角度をアングルと言うが、フロント側がアプローチアングル、リア側がデパーチャーアングルとして表示される。
【条件6】牽引フック
荷重のかかる牽引も安心! フックはタフなクルマの証
一般的な乗用車にもフックはあるが、過大な衝撃や荷重のかかる牽引には厳しい。タフなクルマはわかりやすい位置に頑丈な牽引フックがあったり、アフターパーツで用意されたりして実用的。フックやシャックルを直接掛けられるオフローダーの装備品としても定番で、脱出時に必須だ。
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