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 9日からまん延防止等重点措置が適用される沖縄県で、感染防止対策の認証を受けた店から「認証を外したい」との声が上がっている。営業時間の短縮要請に応じた飲食店に県が支払う協力金の額が、認証店よりも非認証店の方が多いためだ。県は、支給額を定めている国に見直しを求めているが、支給額変更の見通しは立っていない。県はやむなく14日まで認証の辞退を受け付けている。

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 協力金支給に必要な県の予算には国の交付金が充てられ、支給額は国が決めている。時短要請に応じた店舗への支給額は、売上高に応じて1日当たり、認証店が2万5000〜7万5000円、非認証店は3万〜10万円。支給額に差がある理由を、国は「非認証店は午後8時までの営業だが、認証店は午後9時まで営業でき、売り上げに差がある」とする。

 約1万2000店ある県内の飲食店のうち、県の呼び掛けに応じて認証を得た店は約9000店。しかし、従業員への感染の懸念などから自主休業する場合や、深夜に開店するバーやスナックなどで営業を断念する場合にもこの支給額の差は同じで、「不公平だ」との声が上がる。営業を続け、非認証店に比べ1時間長く店を開ける場合でも、現在の感染状況では客入りは見込めず、国の説明に「現場の実情を分かっていない」との声もある。

 県の認証制度事務局には7日までに認証返上などに関する電話が100件以上相次ぎ、返上のために認証ステッカーをはがした写真なども約30件送られてきた。県飲食業生活衛生同業組合の鈴木洋一理事長は「県が推進して認証店は増えたが、認証を受けたメリットがこれまでなかった。今回初めてメリットはあるが、今度は協力金の額が低いということで余計に批判が出ている」と語る。

 認証店への協力金を増やす場合には県独自の予算となるが、その規模は億単位となり、財源確保は厳しい。こうした状況を受け、県は14日までに認証の辞退を申し出た場合は非認証店として取り扱うことを決めた。県の幹部は「できればこういう措置は取りたくないが、感染拡大防止のために閉める店の思いを無駄にしたくない」と語る。【竹内望、遠藤孝康】