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大阪大学は2021年12月3日、同大学産業科学研究所の研究グループが、2次元シート状の六方晶窒化ホウ素(hBN)上でマグネタイト(Fe3O4)薄膜を成長させることで、さまざまな材料上に特性を維持したまま貼り付けられるFe3O4薄膜を作製したと発表した。

スイッチ素子などに用いる機能性材料の特性をウェアラブル素子やフレキシブル素子に応用すべく、貼り付け可能素子に対する需要が近年高まっている。

一方で、機能性酸化物のFe3O4は、−160℃付近で電気抵抗や磁化率といった電気/磁気的特性が大幅に変化する性質を有しており、スイッチ素子などへの応用に向けた研究が進んでいる。

ただし、Fe3O4薄膜を作製する際には、酸化マグネシウムなどの硬い基板上での薄膜成長が一般的であったため、薄膜成長に使用できる基板が限られていたほか、薄膜を基板から剥がしてさまざまな場所に貼り付けることも難しかった。

同研究グループは今回、hBNシート上にFe3O4薄膜を成長させることで、整然と原子が並んだ結晶性が高いFe3O4薄膜を得た。同薄膜は優れた相転移特性を示しており、薄膜を別の場所に貼り付けた後も同特性が劣化しないことも判明した。

(2) SiO2基板上に貼り付けたhBN上のFe3O4薄膜の光学顕微鏡像
(3) 電子顕微鏡で観察したFe3O4とhBNの断面構造
(4) 貼り付け前後のhBN上のFe3O4薄膜の電気伝導特性

今回の研究結果は、機能性酸化物の自在な薄膜成長に寄与する。また、Fe3O4以外の機能性酸化物薄膜を用いた貼り付け可能な素子も作製できるため、機能性酸化物のウェアラブル素子やフレキシブル素子などへの応用に繋がることが期待される。

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プレスリリース

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