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AMDから発売されるエントリー向けグラフィックスカードであるRadeon RX 6500 XTですが、AIBから出現した情報によると、接続インターフェイスがPCI Express Gen4.0 x4接続となり、動画支援機能など他のRadeon RX 6000シリーズに対して機能が省略されている事が判明しています。

エントリーモデルとして登場するRadeon RX 6500 XT

AMD Radeon RX 6500 XT is limited to PCIe 4.0 x4 interface – VideoCardz.com

AMDではCES2022にてRadeon RX 6000シリーズグラフィックスカードのエントリーモデルとしてRadeon RX 6500 XTの発表を行いました。このRadeon RX 6500 XTについては1080p解像度にてFidelityFX Super Resolutionや Radeon Super Resolutionなどイメージスケーリング機能を利用したゲーミング環境に最適化されたグラフィックスカードとなっています。そのため、Radeon RX 6000シリーズの中では最も小さいGPUダイであるNavi 24が採用され、VRAM容量は4GBとされています。

そんな、Radeon RX 6500 XTについて、他のRadeon RX 6000シリーズと異なり、PCI Express Gen4.0のレーン数がx4接続になるほか、動画支援機能など一部機能について非搭載となっているようです。

PCI Express Gen 4.0 x4接続に。Radeon RX 5500よりも少ないレーン数に

ASRock製のRadeon RX 6500 XTについて、公式サイトに掲載された情報によると、接続インターフェイスに関してはPCI Express Gen 4.0 x4レーンでの接続となるとのことです。

Radeon RX 6000シリーズについては既に、Radeon RX 6600 XTやRX 6600がPCIe Gen 4.0 x8接続とされていましたが、Radeon RX 6500 XTでは更にレーン数が縮小されたこととなります。

PCI Expressは数年おきに規格が新しくなっており、末尾のバージョンによって転送速度が変わっていきます。

  2003年 2007年 2010年 2017年 2019年
バージョン PCIe 1.0 PCIe 2.0 PCIe 3.0 PCIe 4.0 PCIe 5.0
x1 250MB/s 500MB/s 1GB/s 2GB/s 4GB/s
x4 1GB/s 2GB/s 4GB/s 8GB/s 16GB/s
x8 2GB/s 4GB/s 8GB/s 16GB/s 32GB/s
x16 4GB/s 8GB/s 16GB/s 32GB/s 64GB/s

*ここで示される値は理論上の最大値のため実際の転送速度は表より数%少ないです。

なお、PCIe Gen4.0 x4接続でも速度面では16GB/sとなっており、PCIe 3.0ではx8相当、PCIe 2.0ではx16相当となっています。

ただ、気を付けなければならないのが、Radeon RX 6500 XTではx4レーン数分の端子にしか情報が送られないため、PCIe Gen3.0接続で利用すればPCIe Gen4.0での利用に比べて半分の転送速度となり、パフォーマンス面で不利になる可能性があります。

AV1のデコードやエンコード支援は非搭載

News of January 5, 2022 | 3DCenter.org

  Navi 24 Navi 23 Navi 22 Navi 21
コードネーム Beige Goby Dimgrey Cavefish Navy Flounder Sienna Cichlid (“Big Navi”)
製造プロセス TSMC 6nm TSMC 7nm TSMC 7nm TSMC 7nm
トランジスター数 5.4 billion 11.1 billion 17.2 billion 26.8 billion
ダイ面積 ~141mm² 236mm² 335mm² 519mm²
ハードウェア 1 raster engine, 16 shader clusters, 1024 FP32 units, 64 TMUs, 16 RA units, 32 ROPs, 1 MB Level2 cache, 16 MB Infinity cache, 64 bit GDDR6 interface 2 raster engines, 32 shader clusters, 2048 FP32 units, 128 TMUs, 32 RA units, 64 ROPs, 2 MB Level2 cache, 32 MB Infinity cache, 128 bit GDDR6 interface 2 raster engines, 40 shader clusters, 2560 FP32 units, 160 TMUs, 40 RA units, 64 ROPs, 3 MB Level2 cache, 96 MB “Infinity Cache”, 192 bit GDDR6 interface 4 raster engines, 80 shader clusters, 5120 FP32 units, 320 TMUs, 80 RA units, 128 ROPs, 4 MB Level2 cache, 128 MB “Infinity Cache”, 256 bit GDDR6 interface
PCI Express 4 lanes PCI Express 4.0 8 lanes PCI Express 4.0 16 lanes PCI Express 4.0 16 lanes PCI Express 4.0
Decode: H.264/4K, H.265 対応 対応 対応 対応
Decode: AV1 非対応 対応 対応 対応
Encode: H.264/4K, H.265 非対応 対応 対応 対応

3DCenterでは、Radeon RX 6500 XTについて、他のRadeon RX 6000シリーズと機能面で比較した表が用意されているのですが、この中でRadeon RX 6500 XTについてはAV1のデコード支援やH.264/H.265のエンコード支援機能が搭載されていないとの事です。

Navi24は2022年Q1登場へ。エントリー向けで2.8GHzで動作?

この動画支援などの機能が削減されるという話は、2021年10月末頃にMoore’s Law is Deadにてダイサイズの縮小のために行われる可能性があるとの事でしたが、その通りになっています。

AV1に関しては、NetflixやYoutubeなどで採用されている最新の動画用フォーマットで、高い圧縮率を誇るため、ストリーミングサービスでの利用がされていますが、CPUのみでのデコードとなればCPUの種類にもよりますが、Ryzen 7 3000シリーズですと30~40%程度デコード処理に持っていかれてしまいます。

Radeon RX 6500 XTはエントリー向けモデルという事で組み合わされるCPUも強力なものを搭載しているというユーザーは少ないため、AV1デコードに非対応と言う点はユーザーにとってはデメリットが大きい場合もあります。

また、H.264/H.265のエンコードにも非対応という事ですので、ゲームのストリーミング配信などは出来ないという事になりますので、この点もRadeon RX 6500 XT購入を考えている方は考慮すべき点かもしれません。

 

AMD Radeon RX 6500 XTのEUでの販売価格が判明。価格は約3.5万円ほどに

 

AMDはRadeon RX 6500 XTについては価格を抑える事を目標としていたとの事ですので、その分の犠牲は色々な点で払われているようです。RX 6500 XTについてはエントリーモデルという事で、最新ハードウェアと組み合わされる可能性が他のモデルに比べて低いのですが、PCIe Gen4 x4接続となるなど、少し矛盾した仕様であると思います。特に、Intelの第10世代CPUより前の世代のCPUとなると、PCIe Gen3.0までの対応となるため、グラフィックスパフォーマンスはかなり低くなるかもしれません。AMDとしては、Ryzen 3000シリーズまで対応していれば問題ないでしょと言うスタンスなのかもしれませんが。

動画支援についてはH.264/H.265のエンコード機能が搭載されていない事は動画配信を行うユーザー以外には大きな問題とならないため、あまり気にする必要はないと考えられます。ただ、AV1のデコード機能が搭載されないのは残念な点ですね。ただ、AMDとしては1080pをターゲットとしているため、それぐらいの解像度であればどんなCPUでも対応は出来るものと割り切って考えているのかもしれません。どちらにせよ、コストを下げるために割り切った考え方がされたグラフィックスカードとなっているのは間違いが無さそうです。

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