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大作商事ナイトスターブログレビュー

フリフリすれば発電・充電できて、そのまま点灯できる、防災グッズ系のライトが入荷しました。意外と使えるというか、モノとしてはきちんとしているので掲載することにいたしました。

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いわゆるバトンサイズのボディですね。全長255mm、ボディ直径で30mmほどあります。全体が透明な樹脂で構成されていて、サイズの割には軽量です。
内部構造が透けて見えていますが、空間が非常に多いのがわかります。
防災用品としてみると、そこそこかさばりますね。重量320gはサイズの割には軽量ですが、純粋な質量としてはかなりあります。ターボヘッドを備えたACEBEAM L19よりも重いことになります。

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重量、体積と引き換えにナイトスターJPが備えているのが発電能力です。この手の手動発電グッズは手回しのものが多いのですが、ナイトスターJPは上下に振るタイプ。
ボディの円筒内部にコイルと磁石が内蔵されていて、コイルの中を磁石が往復することで発生する誘導電力をコンデンサにためる仕組みです。

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ボディの末端には別の磁石が配置され、磁力の反発により移動する磁石がぶつからない仕組みになっています。
強く振りすぎるとぶつかりますので加減して振ってください。ぶつかって中の磁石が割れた場合、発電性能は大きく損なわれるかと思います。
よく見るとボディ内部は二重構造になっていて、磁石の往復による空気抵抗を逃がす構造になっています。手が込んでいますな。このあたりが日本企業の企画っぽい感じがします。

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発電した電力は、充電池ではなくキャパシタに蓄電されます。ほかの通販サイトを見ていると、平然と充電池を使用した防災グッズが多くて辟易しますが、長期間放置すると自然放電で電池が死にますから、本来は半年から1年程度の周期でお手入れが必要です。その点ナイトスターJPはきちんと考えられています。

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光学系も凝っていて、リフレクター+レンズの構造。この光量なら砲弾LEDの光そのままでなんの不都合もないとは思いますが、集光に気を使い非常に丁寧に作られています。
また、ヘッド外周が肉厚&フロスト加工のポリカーボネートということで、かなり盛大に光が漏れる設計。構造を見る限り、これは意図したものだとは思います。

メーカーの指示通り、磁石がぶつからないように気を付けながらひたすらフリフリ。30秒って意外と長いです。特に最初は力んでいるので疲れますが、慣れるともう少しリラックスして充電できるようにはなりました。振るときは摩擦音とわずかな空気音がしまして、夜間の避難所では使用しにくいのではという気もします。

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30秒振った直後の照射距離は意外に長いです。カメラで写すのは難しいですが、肉眼では10m先の障害物を認識可能。計測してみると瞬間最大では100cdほどの中心照度があります。これはおよそ、EDCL2TやE2DLUなどSUREFIRE EシリーズのLOWに相当する明るさですが、ただ十数秒で一気に半減以下まで落ちます。モノが悪いわけではなく、この構成の場合はそうなる、物理的な限界でしょうね。また、配光は典型的なレンズ式の配光で、広いものではありません。

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1メートル先で30センチほどの光芒。しかし、これで歩けないわけではなく、明るくはありませんが路上の障害物はよけて歩くことができます。時々フリフリしながら歩けば割と普通に使えます。何か事が起こった時、ナイトスターJPが防災袋から出てきて、振ってみて点灯したら「やった!普通に使えるじゃん!」と思える性能はあると思いますよ。

メーカーでは点灯から20分後の明るさを 1lux @ 0.3m と規定し、点灯時間としています。これがどういう明るさかというと、普通のティーキャンドルやお誕生日のろうそく、虫よけろうそくなどを1つともして実測すると、これくらいの数字に落ち着きます。
ティーキャンドルがこの明るさを四方八方にまきちらすのに対し、ナイトスターJPの数字は集光された中心部の数字なので、その暗さが想像できるかと思います。
30秒振れば20分使える、というのはそういうことで、実際に目を凝らさずに歩ける範囲としては5分が実用限界でしょう。

_DSC9917↑充電直後
_DSC9918↑5分経過
_DSC9919↑20分経過

ビーコンパッチと並べて20分放置してみました。20分時点でもまだ完全に消灯したわけではなく、なんとか細々とは点いています。初期照度の意外な明るさ、5分での光量低下の大きさ、20分での暗さ、ご理解いただけるかとは思います。20分でこれか!という側面もあれば、しかし電池なしで5分間この明るさで使えるなら、30秒振るくらい良いじゃないか、という側面もあります。

意外にハイスペックだと思うのは、ボディの堅牢性。1.2メートル落下耐久、100メートル防水など、本格派フラッシュライトを上回る数字がならびます。メーカーサイトでは、車で轢く実験の動画なども公開していたようです。
普段だったら「まじかよ~」と思ってなんなら水槽に沈めたりコンクリに投げつけるところですが、ボディ構成が非常にシンプルなのでなんとなく納得です。まぁこいつを握りしめて水深100メートルでフリフリするダイバーはいないでしょう。

この手の製品はラジオとLED照明が一体になって、手回しができてスマホ充電も可能!的なものも多いのですが、基本的に能力不足で個人的にはあまり好きではありません。個人的には手動発電系の防災グッズ全般的に懐疑的なんですよね。
懐疑的ではあるんですが、ナイトスターJPなら買ってもいいかもしれない、と思う位置には居ます。自分は使わないだろうけど、奥さんとかばあちゃんは欲しいって言いそうだしな~みたいな。そういう目線で選ぶ場合、ごてごてしていないナイトスターJPはアリですね。

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ライトマニアがギリ使える、というのだから、普通の方には普通に使えると思っていただけるのかもしれません。「電池が不要なんて素敵!点灯できるかできないかが大きな違いなんだから、手動充電がいいに決まってる!」という方も多くいて、そういう方であれば自信をもってお勧めできます。ほかのゴテゴテした商品を買うくらいなら、ナイトスターJPはきちんと作られていますよ。ご検討くださいませ。