「きちんと寝ているのに朝起きても身体がだるい…」「なんだか日中は集中力が続かない…」「イライラすることが増えた…」こういったことが多いのは、もしかしたら疲れが取れていないからかも。でも、寝ているのに疲れが取れないのはなぜなのでしょうか? 今回は疲労の原因やセルフでできる対処法について解説していきます。
【目次】
・寝ているのに疲れが取れない原因は?
・実は疲れには3つの種類がある
・自分でできる疲労回復方法
寝ているのに疲れが取れない原因は?
精神的疲労がたまっている
近年スマートフォンやインターネット、SNSの普及により、欲しい情報がすぐに手に入るようになりました。しかし欲しい情報がすぐに手に入るということは、脳にとっては負担なのだとか。
例えば一つのことを調べると、欲しかった情報以上のものが出てくることがあります。すると、脳が素早くたくさんの情報を処理しなければいけない状態に陥ってしまい、必要以上の情報をインプットしようとして、精神的な疲労に繋がります。
また、インターネットやSNSを通してコミュニケーションを取ることが増えてきたため、直接的な人付き合いのほうをストレスに感じる人も増えてきています。そのため、現代社会では精神的な疲労が溜まりやすい傾向にあると言われています。
運動不足も原因のひとつ
運動不足も疲れが取れない原因のひとつ。
仕事が忙しく残業が続くと、運動する時間がなく就寝… ということってありますよね。しかし運動をしないと筋肉量が低下し、筋肉内でエネルギーを生み出すミトコンドリアの量が減少してしまいます。すると代謝が悪くなり、エネルギーがきちんと作り出されず“電池切れ”のような状態に。
結果的に身体が疲れやすくなり、さらに動くことが億劫になってしまうのです。
慢性疲労の可能性も
寝ても寝ても疲れが取れない状態が、半年くらい長期的に続くのであれば「慢性疲労性症候群」の可能性があるかもしれません。免疫力が落ちるため風邪に似た症状が出たり、うつ病や生活習慣病になったりすると言われています。
また、思考力や注意力が低下したり、些細なことでイライラするようになったりしてしまうこともあるようです。
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実は疲れには3つの種類がある
脳が疲れている【神経的疲労】
一般的に“神経的疲労”は、脳や神経が休めずに緊張状態が続くことによって起こる疲労のこと。
現代人の脳は、スマートフォンやパソコンから入ってくる膨大な量の情報を処理するために、常に働いている状態なのだそう。情報処理が追いつかないほど脳は酷使され、それにより物忘れが増えたり、気持ちが落ち込んだりするようです。
早稲田大学の矢澤教授が作成した“脳疲労度を測る12個の項目”によると、日本人の約60%の脳が疲れていると判明。
【脳疲労度チェックリスト12項目】
1. 食事が美味しくないと感じることが多くある
2. 夜中に目が覚めやすい
3. 便秘がちである
4. 集中力が続かない
5. 判断力が最近低下したと感じる
6. 物忘れが多い
7. 考えがまとまりにくい
8. 身体を使わないのに疲れを感じる
9. 無気力になることがある
10 .いつもイライラしている
11. 気持ちが沈んで暗い気分になる
12. 何もないのに不安に感じることが多い
【目安】
1~3個当てはまる:脳疲労レベル低
4~7個当てはまる:脳疲労レベル中
8個以上当てはまる:脳疲労レベル高
8個以上当てはまった場合は、脳疲労レベルが高いので注意が必要かもしれません。
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身体が疲れている【肉体的疲労】
運動やデスクワーク、夜勤などの疲れによって疲労を感じるのが、“肉体的疲労”と言われています。
運動をした後にクタクタになったり、筋肉痛になったりする疲れをはじめ、デスクワークなどでずっと同じ姿勢で座り続けることによる疲れも肉体的疲労に当てはまります。
肩こりや腰痛、日中ぼんやりすることが増えていたら、身体が疲れているサインかもしれません。
心が疲れている【精神的疲労】
心が疲れている状態を“精神的疲労”と言います。いわゆる“気疲れ”のこと。
人間関係や仕事で強いストレスを感じると自律神経のバランスが乱れ、眠りが浅くなったりイライラしやすくなったりして、その結果疲労感が溜まっていきます。
これに加え、最近では“SNS疲れ”も増えてきているようです。既読に対する返信のプレッシャーやフォロワー、いいね数を気にしすぎてしまうのも、精神的な疲労に繋がるのだそう。精神的な疲労は20~60代にはもちろん、10代にもよく見られるとのこと。
自分でできる疲労回復方法
筋トレをして湯船に浸かる
金沢医科大学総合内科准教授・赤澤純代先生によると、スクワットなどの下半身を鍛える筋トレをしたあと、湯船に浸かるようにすると体内で熱が効率よく作り出されるため、睡眠の質が上がるのだそう。
「筋肉の7割は下半身に集中しているので、スクワットなどで下半身を鍛えると効率がよいでしょう。そして、夜は湯舟に浸かり、ゆっくり温まりましょう。お湯でからだを温めると血流がよくなるばかりか、お湯の熱を血液が受け取り全身に流してくれるので、芯から体があたたまります。また水圧によるポンプ効果でさらに血流が促進され、毛細血管のゴースト化も防ぐことができます」(赤澤純代先生)
シャワーだけで簡単に済ますと、体調にも睡眠にも良くないとのこと。
「ストレスや不調を抱えている人、忙しい人、冷えに悩んでいる人ほど、たいがいシャワーのみ。しかし、シャワーでは身体を温めたり血流を改善することができないばかりか、寝る前のからだが冷えていると睡眠障害にもつながります。人は体温がストンと下がるときに眠りにつくのですが、体温が低いとこれ以上は下がらず、冷えで眠れない、ということが起きるのです」(赤澤純代先生)
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バナナを食べるようにする
睡眠コンサルタントの友野なお先生によると、眠りには「メラトニン(睡眠ホルモン)」の分泌が大きくかかわっているのだそうです。
「このメラトニンの分泌を促すのが「セロトニン」という物質で、またそのセロトニンを生み出すのが「トリプトファン」という必須アミノ酸。つまりトリプトファンの摂取が「睡眠」に大事です」(友野先生)
「しかし、トリプトファンは体内で作り出すことができないため、食べ物から摂取する必要があります。また、単にトリプトファンを多く含む食品を取ればいいのではなく、炭水化物とビタミンB6を組み合わせることが大切。そして、この3つをバランスよく摂取できるのが「バナナ」です」(友野先生)
トリプトファンを摂取するタイミングは朝がベストだそう。
「朝にトリプトファンを摂取すると、昼間の意欲的な活動が後押しされ、メラトニン分泌に加え日中活動的に過ごせるようになるため、夜は快適な眠りにつける可能性が高まります。
朝食に簡単に食べられるバナナに加え、トリプトファンを含む牛乳を飲むようにすると、トリプトファンの摂取をより強化できます」(友野先生)
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サプリや漢方薬に頼ってみる
必要な栄養は食事で摂るようにすることが大切ですが、サプリメントや漢方薬を補助的な役割で活用するのも、疲労を回復させる手段のひとつ。
サプリメントは、疲労回復に有効な「L-テアニン」や「ビタミンB1」などが含まれるものを選ぶと効果が実感できると言われています。
また漢方薬は、自律神経のバランスを整えてくれる「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」や「加味帰脾湯(かみきひとう)」などを摂るようにするといいでしょう。サプリメントも漢方薬も効果には個人差があるので、まずは気になるものから少しずつ試してみてください。
最低でも7時間は寝るようにする
内科医・成田先生によると、個人差はあるものの7時間前後の睡眠が理想的なのだそう。
「睡眠は脳や身体を休め、一日の疲れを癒す非常に重要な時間です。一日に必要な睡眠時間には個人差がありますが、7時間前後の睡眠が理想的とされています」(成田亜希子先生)
眠りの質が悪い人は筋トレを行ったりバナナを食べたり、疲労を溜めない習慣を。
明らかに睡眠時間が足りていないという人は、最低でも7時間ほどの睡眠を確保する努力をすることで、疲労の回復が早まっていくのではないでしょうか。
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