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〜〜行きたい&乗りたいローカル線車両事典No.2〜〜

 

姿は武骨ながら魅力を放つ国鉄形車両。車両数が急激に減りつつあり、残る車両が注目を集めている。特にJR東日本管内で国鉄形車両の減り方が顕著だ。

 

新潟県内を走るJR越後線とJR弥彦線には、国鉄近郊形直流電車の115系が今も健在だ。JR東日本で唯一残る115系が走る路線網ということもあり、訪れる人も多い。残る7編成はすべて違うカラーで、十人十色ならぬ“七車七色”なのだ。そんな越後線・弥彦線に残る車両に注目した。

*緊急事態宣言および、まん延防止措置が引き続き一部地域に宣言・発令されています。不要不急の外出を控えていただき、宣言解除後に鉄道の旅をお楽しみください。

【乗りたい越後線①】115系7編成のみが越後線・弥彦線に残る

JR越後線は新潟駅と柏崎駅間83.8kmを走る。一方、弥彦線は弥彦駅〜東三条駅間17.4kmを走る。両線は途中、吉田駅で接続している。越後線、弥彦線ともに全線がほぼ単線で、ローカル色が濃く、列車本数も少なめ(越後線の新潟市近郊区間を除く)。国鉄形の115系と、E127系、E129系が走る。

 

115系は日本国有鉄道(国鉄)が1963(昭和38)年に生みだした代表的な近郊形直流電車である。1921両もの車両が製造され、本州各地に配置され、長年にわたり走り続けてきた。1987(昭和62)年4月のJR移行後は、JR東日本、JR東海、JR西日本の3社に引き継がれた。すでにJR東海では2008(平成20)年までにすべてが引退している。残るはJR東日本とJR西日本に残るのみとなった。

 

【関連記事】
残る車両はあとわずか‐‐国鉄近郊形電車「115系」を追う【東日本編】

↑新潟平野の水田地帯を走る115系。3両×2編成が連なる運行もあり同列車の注目度は高い

 

国鉄からJR東日本に引き継がれた115系は、2010年代に入り急速に車両数を減らし始めた。目立つところでは、2015(平成27)年10月に中央本線・篠ノ井線などでの運用を終了、2018(平成30)年3月に北関東地区の路線での運用を終了している。残るは新潟地区のみとなったが、2018(平成30)年3月に白新線の運用が終了。現在は、越後線、弥彦線、信越本線(えちごトキめき鉄道を含む)のみとなっている。

 

このうち信越本線(えちごトキめき鉄道を含む)は、早朝発の直江津駅→長岡駅→新潟駅という1本と、夜に新潟駅→新井駅→(折り返し)→直江津駅を走る1本の運行となっている。

 

残る115系が走る区間は、越後線と弥彦線のみとなっていて、おのずとこの両線の運行が注目されるようになっている。

 

【乗りたい越後線②】115系7編成すべて色違いでおもしろい

新潟地区に残る115系は3両×7編成のみだ。興味深いのは、7編成すべてが色違いということ。編成それぞれの色を確認しておこう。

N33編成 旧弥彦色(白地に朱色と黄色の太めラインが入る)
N34編成(リニューアル車) 3次新潟色(白地に濃淡の青色アクセントが入る)
N35編成(リニューアル車) 2次新潟色(白地に濃淡の緑帯が入る)
N36編成(リニューアル車) 弥彦色(白地で窓周りが黄色、窓下に黄緑帯が入る)
N37編成(リニューアル車) 1次新潟色(白地で窓周りが濃い青色、窓下に赤帯が入る)
N38編成(リニューアル車) 湘南色(緑とオレンジの組み合わせ)
N40編成 懐かしの新潟色(旧国鉄新潟色/黄色と赤の組み合わせ)

 

↑新潟色の4編成。右上からN37編成1次新潟色、時計回りでN35編成2次新潟色、N40編成懐かしの新潟色、N34編成3次新潟色の各編成

 

新潟地区に残る115系はすべて「N」が頭に付く。これは全編成が長野地区を走っていた車両で、2013(平成25)年〜2015(平成27)年にかけて新潟車両センターへ移動したことを示す。115系の中では1000番台と呼ぶ車両番台にあたり、製造されたのは1977(昭和52)年以降と、115系の中では比較的、新しめの車両だ(とはいってもすでに誕生して40年以上たっている)。さらにリニューアル車は2000年代に入ってクロスシートを変更しているほか、内装なども新たにしている。

 

【乗りたい越後線③】新たに塗り替え魅力アップした編成も

興味深いのは検査時に塗装の変更が積極的に行われてきたこと。このことが結果として、新潟の115系の注目度を高めることにもなっている。2016(平成28)年以降に、次のように色変更された。

2016(平成28)年 ●N33編成:長野色→2次新潟色
2017(平成29)年 ●N37編成:3次新潟色→1次新潟色

●N38編成:3次新潟色→湘南色

●N40編成:湘南色→懐かしの新潟色

2018(平成30)年 ●N35編成:3次新潟色→2次新潟色

●N36編成:3次新潟色→弥彦色

2019(平成31)年 ●N33編成:2次新潟色→旧弥彦色

 

↑N33編成は2019(平成31)年に2次新潟色(右上)から旧弥彦色に変更された。各編成名は運転席の窓の左上に表示される

 

検査で工場に入場するたびに変更されてきたこともあり、115系を好きな人たちに、また乗りに行こう、撮りに行こうと思わせるのであろう。ちなみにN34編成のみ2014(平成26)年に長野色から3次新潟色に変更して以降、変わっていない。

 

これらの色の変更は新潟地区の列車運行を行うJR東日本新潟支社が、利用者に向けて「思い入れのあるデザインを1種類選んでもらう」Webアンケートを通して決められた。最も票数が多かった色を復刻するという、鉄道会社と利用者(主に鉄道ファン)との結びつきを示すような企画で、効果的だったように思う。これも新潟の115系が根強い人気を保つ、一つの理由になっているようだ。

↑N36編成は2018(平成30)年に弥彦色に変更された。窓周りの黄色いスペースが大きめなところが特長となっている

 

↑N38編成は3次新潟色から湘南色に変更された。側面にJRと大きく文字が入り、北関東を走った115系のデザインを思わせる

 

ちょっと気になるのは2019(平成31)年の塗装変更以降に、新たな塗装車両が現れないことだろうか。最新の定期検査は2021(令和3)年6月にN37編成で行ったが、1次新潟色の塗装に変更がなかった。“七車七色”の体制はしばらく続くのだろうか。

 

【乗りたい越後線④】どのような運用で115系は動いているか?

主に越後線、弥彦線を走る115系だが、全列車が115系ではない。現状4分の1ぐらいの列車が115系での運用となる。越後線の吉田駅〜柏崎駅間は、閑散路線区となっていて、日中は2〜3時間に1本という列車本数になっている。そこに組み込まれる115系が多く、乗る機会、出会う機会もレアになりつつある。

 

さらに、乗るだけならば時間を合わせれば良いが、列車を撮影したいとなると、本数が少ない路線区間だけに、移動と撮影計画をしっかり立てての行動が欠かせない。

 

本原稿では、越後線の新潟駅〜吉田駅間の上り下りと吉田駅〜柏崎駅間の上り下り、また弥彦線の吉田駅〜東三条駅間の上り下りの、115系で運用される列車のみを記した。なお、弥彦線の吉田駅〜弥彦駅間では115系の定期運用はない。また、急きょ115系に代わりE129系が代走することもあり、必ずしも絶対とは言えないところが、“追っかける”立場としてつらいところだ。

↑3両×2編成で朝夕ラッシュ時に走る115系列車がある。希少な列車だけに、しっかり抑えておきたいところだ

 

越後線、弥彦線の115系運用列車をすべて記した。なお前述したように、その日になって代走が走ることがあり注意が必要となる。時刻は2021(令和3)年3月ダイヤ改正後のものだ。

 

◆越後線上りの115系運用列車◆ ※夜間19時以降始発の列車は除く

□新潟駅→吉田駅

1532M列車 新潟11:01発 → 内野11:25着(*運用3)
142M列車 新潟13:20発 → 吉田14:24着(*運用6)
156M列車 新潟17:04発 → 吉田駅18:03着(柏崎行)(運用3・4)

□吉田駅→柏崎駅

122M列車 吉田5:56発 → 柏崎7:08着(*運用2)
132M列車 吉田7:43発(東三条始発) → 寺泊7:58着(*運用3) 
134M列車 吉田8:39発 → 柏崎9:47着(*運用2)
140M列車 吉田12:32発 → 柏崎13:41着(*運用2)
148M列車 吉田15:44発 → 柏崎16:57着(*運用6)
156M列車 吉田18:04発(新潟始発) → 柏崎19:17着(*運用3・4)
162M列車 吉田18:42 発→ 柏崎19:54着(*運用6)

 

◆越後線下りの115系運用列車◆ ※夜間19時以降始発の列車は除く

□柏崎駅→吉田駅

125M列車 柏崎6:30発 → 吉田7:40着(東三条行)(*運用4・5)
129M列車 柏崎7:28発 → 吉田8:34着(*運用2)
139M列車 寺泊9:35発 → 吉田9:50着(新潟行)(*運用3)
141M列車 柏崎10:46発 → 吉田11:53着(*運用2)
157M列車 柏崎15:30発 → 吉田16:35着(*運用2)
161M列車 柏崎17:20発 → 吉田18:36着(*運用6)

□吉田駅→新潟駅

139M列車 吉田9:56発(寺泊始発) → 新潟10:55着(*運用3)
143M列車 吉田10:59発 → 新潟11:57着(*運用4・5)
1539M列車 内野11:51発 → 新潟12:13着(*運用3)

 

◆弥彦線下りの115系運用列車◆ ※夜間19時以降始発の列車は除く

□吉田駅→東三条駅

225M列車 吉田6:53発 → 東三条7:12着(*運用3)
227M列車 吉田7:42発(柏崎始発) → 東三条8:04着(*運用4・5)
245M列車 吉田17:37発 → 東三条17:58着(*運用2)
247M列車 吉田18:41発 → 東三条19:01着(*運用2)

 

◆弥彦線上りの115系運用列車◆ ※夜間19時以降始発の列車は除く

□東三条駅→吉田駅

222M列車 東三条7:21発→吉田7:41着(寺泊行)(*運用3)
226M列車 東三条8:55発 → 吉田9:15着(*運用4・5)
244M列車 東三条18:12発 → 吉田18:31着(*運用2)

 

各列車の後ろに付く運用2〜6という数字は、例えば「運用2」にN35編成が入ったとしたら、その1日はN35編成での運行が「運用2」で続く。運用3・4または4・5と数字が2つ入っている場合は3両×2編成が連結されて走る運行スタイルのことで、6両編成による運行になる。

 

列車の時刻を見て分かることは、越後線の新潟駅〜吉田駅間での運用が少なめなこと。弥彦線では日中の運用がほぼないことだろう。

 

115系の運用は越後線の吉田駅〜柏崎駅間の運用が目立つ。同区間は閑散区間ということもあり、日中は2〜3時間、列車がないことがある。さらに筆者が訪れた時に起きたことだが、115系がE129系に変わる“代走”が行われていた。

 

筆者が目にしたのは「運用2」の代走だった。「運用2」は吉田駅〜柏崎駅間の運転が多い。だが訪れた日には115系が入らないことに気付いた。

 

ちなみに、運用が変わったことに気付いたのは、越後線と弥彦線の両路線が走る吉田駅近くのホテルに宿泊していたことから。ホーム側の部屋に宿泊していたので、窓から駅側をのぞいたところ朝5時56分発の122M列車が115系からE129系に変わったことを知ったのだった。

 

この日は代走が入ったこともあり、行動予定を変更せざるを得なかった。115系を待っていても“不発”ということがおおいにあり得るのだ。吉田駅〜柏崎駅間は列車の本数が少ないため、もし代走を知らずに撮影地へ向かってしまうと、撮れなかったわけである。115系との出会いも難しいことが分かった。

 

【乗りたい越後線⑤】弥彦線を走るE127系も気になる

越後線、弥彦線では、JRになってから生まれた車両ながら希少なものも走っている。圧倒的に車両数が多いのがE129系だが、E127系という直流形電車もわずかに走る。このE127系は0番台と100番台があり、0番台は新潟地区用に1995(平成7)年に新造された。100番台は松本車両センターに配置され、大糸線や篠ノ井線などを走っている。0番台は2両×13編成が製造されたが、2015(平成27)年に第三セクター経営のえちごトキめき鉄道設立にあたり、JR東日本から10編成が譲渡されている。

 

新造された13編成のうち1編成は、越後線で起きた踏切事故により廃車となった。残り2両×2編成が今もJR東日本に残り、弥彦線を中心に運行している。

↑吉田駅に停車中のE127系、弥彦線を中心に運用されている。E127系100番台と異なり正面の縁取りがやや丸みを持つのが特長

 

ちなみに、今年の5月2日には越後線の関屋分水路にかかる橋梁上でE127系に車両故障が起きて立ち往生してしまった。約4時間後にE129系が救援に向かい連結、移動して修理が行われたが、後に同じ編成が踏切事故に遭うなど、どうもトラブル続きの車両形式になっている。115系よりも、車両数が少ないだけに、今後どのような扱いになるのか気になるところだ。

↑越後線と弥彦線の主力車両となっているE129系。写真は弥彦線での運行の様子。E129系には4両編成と2両編成の2タイプが走る

 

現在、越後線と弥彦線の主力はE129系で、両線だけでなく信越本線、白新線での運用も多い。いわば新潟地区の標準車両となりつつある。車両の半分がセミクロスシート、半分がロングシートとなっていて、近郊形電車ながら、定員数を増やす工夫が導入されている。

 

ちなみにE129系はLED表示器をきれいに撮るのが難しい車両で、シャッター速度は100分の1以下の遅めの設定が必要となっている。

 

【乗りたい越後線⑥】115系を撮影するとしたらどこが良いか?

越後線で115系を撮影するとしたらどこがお勧めだろうか。

 

◆新潟駅〜内野駅間の撮影ならば

新潟駅〜内野駅間は列車本数が多く移動もしやすいが、新潟市の近郊住宅街となっているだけに、撮影に不向きなところが多い。

 

撮影によく利用されているのが、新潟駅〜白山駅間にある信濃川橋梁だ。越後線はガーダー橋で信濃川を渡る。西側には架線柱がなく、また保線用の通路や手すりがないために、長い編成でも障害物にじゃまされずに上手く撮れる。

↑白山駅側から見た信濃川橋梁。西側は障害物が無く写しやすい。この写真はE129系だが青空バックの115系をぜひ撮影したいところ

 

おなじ橋梁絡みの写真となるが、関屋駅〜青山駅間にある関屋分水路橋梁もおすすめ。青山駅側はやや高めのポジションからの撮影となるため、橋の横に付いた手すりをクリアできる。海側には架線柱が立つので、川上の側から撮りたいところ。時間は午前中に順光となる。午前中には新潟駅から内野駅へ向かう列車が1本と少ないのがちょっと残念だ。

↑関屋分水路橋梁を渡る142M列車。この日はN35編成だった。新潟駅13時20分発で前面は順光だが、側面はすでに日が当たらなくなっている

 

◆内野駅〜吉田駅間の撮影ならば

内野駅から先は、列車の本数がほぼ半分に減る。一方で新潟平野らしい水田地帯が広がり、抜けの良いところが多い。撮影者に人気のあるのが越後赤塚駅の南側に架かる県道46号線「新潟中央環状線」の陸橋上からの眺望だろう。目の前に広がる水田地帯と、遠くに弥彦山地が望める。

 

このポイントでは架線柱が逆側に立っていて、車両の手前に障害物がないことも良いところだろう。やや気温が低めの季節になれば、山容がくっきり見え撮影向きかと思われる。とはいえ同区間を通る新潟方面行き115系列車は、越後赤塚駅10時18分発と、11時23分と少ないことがちょっと残念である。なお吉田方面行き115系列車は午後に通過する2本がある。

↑2次新潟色だったころのN33編成。後ろに弥彦山地が陸橋上から望める。真夏は線路沿いの雑草の伸び放題が気になるところでもある

 

◆吉田駅〜柏崎駅間の撮影ならば

吉田駅から南となると列車本数が極端に減るので、場所選びにも悩む。吉田駅になるべく近くでとなれば、南吉田駅〜粟生津駅(あおうづえき)、また粟生津駅の南側には広大な水田地帯が広がるので、撮影地として向いている。南吉田駅〜粟生津駅間ならば柏崎方面へ向かう朝の列車が、粟生津駅の南側ならば、午前中の早めには吉田駅へ向かう列車。昼ごろからは柏崎駅方面へ向かう列車が順光となり、撮影に向いている。

 

撮影地として寺泊駅〜桐原駅間も人気がある。線路に沿って農道があり、さらに架線柱が道の反対側に立っているので、障害物とならない。同エリアでは午後遅めに順光となるが、桐原駅側に少し歩けば、架線柱が反対側に立つ一帯もあり、昼過ぎまではそちらで撮っても良いだろう。

↑柏崎へ向かう湘南色N38編成。寺泊駅〜桐原駅間は農道が並走している。列車と適度な距離がとれて撮影しやすい。架線柱も逆側に立つ

 

【乗りたい越後線⑦】将来115系はどうなるのだろう?

春が来るごとに115系が外されないだろうかと、気をもむ鉄道ファンも多いのではないだろうか。この春にはキハ40系がJR東日本の路線から消えていった。同車両も、それこそあっという間に消えていったような印象があった。新潟地区の115系が消えても不思議でない。

 

ここ最近の傾向として、ファンの集中を避けるためか、サヨナラ運転等のアナウンスがされない場合も多い。筆者個人の予想と思って聞いていただきたいのだが、115系に関して来春はまだ大丈夫そうである。

 

115系の定期検査が本年も行われている。引退が目の前の車両ならば定期検査をすることもないであろう。さらにコロナ禍の影響もあり、JR東日本に限らず鉄道会社の新車導入計画が遅れがちとなってきている。

 

115系に代わるとしたらE129系なのであろうが、E129系を製造している総合車両製作所新津事業所では、E129系のほぼ同形車SR1系をしなの鉄道向けに製作している。こちらは2027年度まで最大2両×23編成の導入を予定。しなの鉄道も、新車導入計画の見直しをしているようだが、こうした計画もあり工場に余力がないように思われる。

↑越後線、弥彦線で見られるトロリー線1本の区間。直接ちょう架式で電化された区間だ。左上はパンタグラフがトロリー線と触れる様子

 

さらに大胆な予想も流れるようになっている。越後線と弥彦線では電化工事が1984(昭和59)年4月に行われた。国鉄最晩年のころだ。財政難に陥ったこともあり閑散区だった越後線の吉田駅〜柏崎駅間と、弥彦線の多くの区間では、直接ちょう架式という電化方式を採用している。パンタグラフが触れるトロリー線1本が架線柱に吊られているシステムだ。JRの路線の大半ではシンプルカテナリ式が採用されている。シンプルカテナリ式の場合に、上からはちょう架と呼ばれるケーブルをまず吊り、このちょう架とトロリー線をハンガーで結ぶ。この方式の場合にちょう架が途中にあることで、トロリー線に弾力性を持たせることができる。

 

一方、直接ちょう架式の場合は、路面電車など低速で走る車両ならば良いのだが、高速鉄道には不向きで、制限速度を抑えざるを得ない。こうした地上設備の脆弱さにより越後線では最高速度85kmに抑えられている。といって越後線の吉田駅〜柏崎駅間のような閑散区間では、通常のシンプルカテナリ式に変更するなどの新たな投資は避けたいはず。こうした条件を考えると、架線の電気を使わず列車を走らせる「架線レス化」という案もあるとされる。

 

この方法はすでに烏山線、男鹿線を走る蓄電池電車や、交流と直流電化区間をまたぐ羽越本線を走る電気式気動車GV-E400系を導入といった例ですでに実用化されている。この方式を採用するならば、電機を流す必要がなくなり、新車両の導入により115系の引退も容易で、省エネ化、効率化が可能となるわけだ。

 

いずれも推測の域を出ないが、今後の動向が気になる115系である。

 

【新潟の行き帰りには】上越新幹線E4系が10月に引退する

新潟地区で最後に乗っておきたい車両の情報をあげておこう。東京駅と新潟駅を結ぶ上越新幹線で、この秋に大きな動きがある。E4系が10月で引退するのだ。

 

E4系といえば、国内で唯一残る2階建て新幹線である。東北・上越新幹線を国鉄からJR東日本に引き継いだ後に、JR東日本ではE1系、そしてE4系と2階建て新幹線を次々に誕生させた。当時、増えつつあった新幹線を利用する通勤・通学客に対応する意図があったとされる。

↑現在、E4系には「Thank you! Max!」記念ロゴ(左下)が先頭車などに付けられていて、引退ムードを高めている

 

その後に新幹線は高速化の道を歩み、240km/hというE4系の最高運転速度が時代に合わなくなってきていた。また高速で走る新幹線は車体寿命が短めで、約20〜25年とされている。E4系も本来ならば2021(令和3)年3月に引退する予定だった。ところが、2019(令和1)年10月13日の千曲川堤防決壊による、長野新幹線車両センターに停留していたE7系・W7系の12両×10編成が水浸しになってしまう。全車が廃車となり、上越新幹線のE4系からE7系の置換計画が延期され、その影響でE4系は延命した。

 

筆者もつい先日に「Thank you! Max!」と引退記念ロゴを付けたE4系に乗車したが、やはり2階建て新幹線は乗っていて楽しい。引退がせまり親子連れの利用者が非常に多くなっていることに気が付いた。子どもたちに大人気のE4系だったのである。

 

やや生き延びたE4系だが、10月1日(金曜日)に定期運行が終了し、その後に10月9・10日「サンキューMaxとき&やまびこ」を新潟〜盛岡間で運行。10月16・17日の週末に「サンキューMaxとき」が運転される予定だ(変更可能性あり)。これで見納めとなるわけだが、運転最終日には混雑が予想される。コロナ禍ということもあり、静かに見送ってあげたい。