【北京=三塚聖平】中国の習近平国家主席は9日、北京の人民大会堂で開いた辛亥(しんがい)革命110年記念大会で演説し、台湾を支援する米国を念頭に「台湾問題は完全に中国の内政で、外部のいかなる干渉も許さない」と強調した。「祖国の完全統一という歴史的任務は必ず実現しなければならないし、必ず実現できる」とも述べ、中国共産党と習氏自らの悲願である台湾統一に意欲と自信を見せた。
来年秋の党大会で、習氏は慣例を破って総書記3期目入りを目指す。政権の長期化に向けて台湾統一を看板とし、実現へ攻勢を強める見通しだ。
独立志向の台湾与党、民主進歩党の蔡英文政権を意識し、「『台湾独立』の分裂勢力は祖国統一への最大の障害で、民族復興の深刻なリスク」と発言。「国を分裂させる者に良い結末はなく、人民に唾棄され歴史の裁きを受けるだろう」と揺さぶった。
習氏は「平和的な方式による祖国統一の実現は、台湾同胞を含む中華民族全体の利益に最も合致する」と述べた。蔡政権が認めない「一つの中国」原則などを挙げ、「両岸(中台)関係の平和発展を推進する」との考えを示した。
バイデン米政権による台湾支援に反発し、中国軍機が台湾の防空識別圏(ADIZ)への進入を繰り返すなど軍事圧力を強めている。習氏は「国家主権と領土を守り抜く中国人民の強固な決心や、強大な能力を見くびるな」と牽制(けんせい)した。
辛亥革命は、1911年(辛亥の年)に起きた革命で、清朝を倒して中華民国が成立。革命を主導した孫文は、現在は台湾で野党の中国国民党を創設した。習氏は、孫文を「偉大な民族の英雄」とたたえ、共産党が「最も忠実な(孫文の)継承者だ」などとして、孫文の名を使って共産党が主張する正統性を訴えた。