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ポケモントレーナー(プレイヤー)同士がチームを組み、時間内でスコアを競う、「ポケモン」初のチーム戦略バトルゲーム「ポケモンユナイト」がおもしろい。どれくらいおもしろいかといえば、久々に時間を忘れてやってしまうゲームを見つけたなあ、という感じだ。比較的強いキャラクター(ポケモン)もいるが、どのポケモンをメインキャラクターにしても戦えるゲームバランスで、今後のさらなるアップデート次第な部分もあるが、長く楽しめそうな作品である。

↑ポケモンユナイトのプレイ画面(Nintendo Switch版、公式サイトより)

 

本作は、2021年7月にNintendo Switch向けに配信開始。9月22日にはスマホからでもプレイできるようになった。しかも、Nintendo Switchからでもスマホからでも、混合で対戦マッチングできる。

 

このスマホ版の登場でゲームを始める手軽さは格段に増した。しかし、試合中の操作量は少なくないタイトルなので、スマホでプレイしたときの操作性がやはり気になる。対戦ゲームをやるからには、ランク戦で勝ちたいし、できる限り良いプレイ環境を用意したいものだ。

 

そこで、今回試したのが、2021年夏に発売されたゲーミングスマートフォン「Black Shark 4」。”eSportsを勝ち抜くウルトラスペック 5Gスマートフォン”というキャッチコピーの通り、ゲームプレイに尖りまくった一台だ。

↑Black Shark 4。一時は売り切れていたが、11月6日から販売が再開されている

 

スマホ最速クラスのリフレッシュレート144Hzを実現

まず、Black Shark 4の性能について触れておこう。本機のスペックにおいて、特筆すべきはディスプレイの性能だ。1秒間の画面の切り替わり回数を表すリフレッシュレートは、スマートフォンでは最速クラスの144Hz。1秒間に認識できる画面タッチ回数の上限を表すタッチサンプリングレートは720Hzと、これもまたすさまじい数値である。

↑ポケモンユナイトのオープニングムービーをBlack Shark 4で鑑賞。ディスプレイにはノッチがないので、大画面で映像を堪能できる

 

参考までに、iPhone 13 Proシリーズのリフレッシュレートは最大120Hz。これだけでも本機の尖りっぷりがわかってもらえるだろう。

 

また、6.67型のディスプレイ、2400×1080ドットという画面サイズが特徴的だ。縦横比は20:9となっており、多くのスマートフォンで採用されている16:9の画面と比べ、長辺が二回りほど長くなっている。

↑Black Shark 4の待受画面。明らかに縦長なのがわかる

 

プロセッサーにはクアルコムの8コアチップ・Snapdragon 870を搭載。こちらもハイエンドスマホなどに採用される高性能チップだ。このほか、メモリーは8GB、ストレージは128GBとなっている。なお、メモリー12GB、ストレージ256GBのモデルも存在するが、こちらの販売開始日は未定となっている。

 

リアカメラは3眼。4800万画素での撮影が可能なメインカメラ、800万画素の超広角カメラ、500万画素のマクロカメラという構成だ。ゲーミングデバイスではあるが、カメラ性能も十分である。

↑背面。左方に並んでいるのがカメラだ

 

バッテリーは大容量の4500mAhを内蔵し、USB Type-C経由となる充電は、最大120Wでの急速充電に対応。同梱されている充電アダプターは67W出力だが、これでもわずか22分で満充電が可能という速さだ。なお、22分で満充電というのはメーカーの公称実測値だが、筆者が充電を行った際も同程度のスピードが出たので、信頼してよい数字である。

 

高スペックかつ長時間ゲームをプレイするであろうことから、電池消費も激しいことが予想される本機だが、それに対応できる強力なスタミナを持っている。

↑同梱の充電アダプター。高速充電に対応しているため、少し大きめだ

 

ゲーム起動中の着信拒否など、ゲーミングスマホらしい機能も

本機は、ゲーミングスマホらしいユニークな機構を装備している。そのひとつが横向きで持ったときに両サイド上部にくるよう配置されたトリガーボタンだ。このボタンの役割は、ユーザーの好みによってカスタマイズできる。たとえば、画面のスクリーンショット撮影や録画のオンオフ、フラッシュのオンオフなどの多彩な操作がワンタッチで可能だ。

↑上部のトリガーボタン。まるで、ゲームコントローラーのL・Rボタンのような存在で、設定次第でかなり便利になる

 

そしてこのボタン、不使用時にはボタンそのものを収納できるようになっている。基本は収納しておいて、使用時のみ出すのがおすすめだ。

↑ボタンを収納させた状態。出っ張っている部分を内側に向けてスライドさせることでボタンが出てくる

 

また本機には、ディスプレイのタッチ感度やリフレッシュレートの変更など、ゲームにかかわるさまざまな設定をまとめて変更できる「Shark Space 4.0」が搭載されている。

 

ゲーム起動中の電話着信を拒否する機能など、ほかのスマホではない機能も装備。ゲームプレイ時の横やりを未然に防いでくれるのは、ゲーマーにとってありがたいことだ。

↑Shark Spaceからゲーム中の着信拒否などを設定できる画面。タッチ感度などの設定変更も可能だ

 

↑ゲーム中でも、画面右上から斜め下に指をスライドさせるだけで、一部の設定画面を呼び出せる。回線速度などの確認も可能

 

ガジェットマニア垂涎! スマホなのにまさかの液冷式を採用

さて、ここまでBlack Shark 4のスペックや機能について書いてきたが、本機について私が個人的に推したいポイントは別の部分にある。それは、スマホでありながら液体冷却式(以下、液冷式)を採用しているという点だ。

↑本機の液冷システムは、2つの液冷ユニット「VC液体冷却板」と「シングル液体冷却パイプ」で内部コンポーネントを挟む構造を採用

 

話は少しそれるが、デスクトップパソコンを自作するマニアが一度はあこがれるのが液冷式である。液冷式とは、パソコン内に熱伝導性に優れた液体を循環させ、CPUやGPUなどの発熱が大きいパーツの熱を逃がす方式のことだ。冷却性能に優れるうえ、静音性、さらには見た目も魅力的で、中二病的な味わいがある。

 

だが、この液冷式パソコンを目にする機会は少ない。というのも、いま流通しているほとんどのパソコンの放熱システムは空気冷却式(空冷式)を採用しているからだ。空冷式は、ファンやヒートシンクを使い、空気を通してパソコン内部の熱を外に逃がしている。

 

液冷式はこの空冷式よりコストが高いこと、液冷ユニットをパソコンのなかに収める必要があるためスペースを取ること、万一液漏れが発生したときのリスクの高さなどから、導入のハードルが高いのが実情である。液冷式パソコンを所有しているユーザーは、かなりのガジェット好きに限られているといって過言ではないだろう。

 

そんなガジェット好きの心をくすぐる液冷式を、Black Shark 4は採用している。しかも本機の冷却技術は、特許も取得しているという。これはゲーマーだけでなく、ガジェットマニアにも刺さるのではないだろうか。

 

ただ、そんな液冷式を採用しているせいか、持ってみるとやや重い印象を受ける。実際、重量は約210gなので、軽量とは言い難い。しかし、本体内に液冷ユニットが内蔵されているという事実に感動してしまう。

↑本機の厚みを、綿棒と並べて比較。液冷式と思えない薄さだ。なお、本体サイズは横76.3×縦163.8×厚み10.3mm

 

とはいえ、日常的に使用するうえでは液冷式のデメリットは感じなかった。また、特許取得の液冷式となると気になるのは本体価格だが、一般的なハイスペックスマホに比べてて手ごろな5万9800円(税込)に抑えられているから驚きである。

 

さて、筆者のガジェット好きが災いして、前置きが長くなってしまった。以降は、本機でゲームをプレイした感想を書いていきたい。

 

絶妙すぎる画面サイズが、ゲームプレイに効く

結論から書こう。Black Shark 4でのゲームプレイはとても快適である。

 

横長の画面はまごうことなき正義だ。先にも述べたが、本機のディスプレイは縦幅が一般的なスマホに比べて広いので、横向きにしてゲームをプレイしたときに試合の盤面を俯瞰しやすい。

 

このゲームにおいて敵に倒されてしまうケースの多くは、見えないところから急に現れてきた敵によって数的不利を作られたり、HPが消耗しているところに急襲を受けてとどめを刺されてしまったりするパターンだ。だが、画面が広ければ、敵の奇襲を早めに察知できる可能性がある。

 

さらに、画面の幅が広いということは、操作部が広いということも意味する。スマホゲームでは、どうしても指で視野が狭まってしまうので、その恩恵は非常に大きい。

↑Black Shark 4でのプレイ画面。俯瞰で見やすいうえに、左右に余裕があるため操作もしやすい

 

本機でゲームプレイをしてみたら、アスペクト比20:9の6.67インチという画面サイズは、ゲーミングスマホの最適解なのではと感じさせられた。画面サイズが大きすぎると、同一の操作をするのに指を大きく動かさねばならなくなってタイムロスが起きうる。つまり、画面を大きくしすぎても操作性が落ちてしまう。だから、短辺の長さは変えず、長辺だけを伸ばした判断は正しいように感じた。

 

ポケモンユナイトのランクマッチに潜ってみる

Black Shark 4の大画面の恩恵を紹介したところで、ポケモンユナイトのランクマッチに潜ったときのインプレッションに移ろう。筆者は、当初Nintendo Switchでポケモンユナイトをプレイしていたが、スマホ版配信後は手軽さやコマンド入力が楽であることからスマホ版に乗り換えている。

 

ポケモンユナイトに登場するポケモンは、現時点で26匹。それぞれ違う個性を持っており、攻めが得意なポケモン、守りが得意なポケモン、敵の妨害が得意なポケモンなど、得手不得手がある。筆者が主に使っているのはフシギバナ。素の耐久力は並か低いくらいだが、回復しながら攻撃する「ギガドレイン」、高速で移動しながら攻撃できる「はなびらのまい」を覚えるので、前線を押し上げるタンク役としてしぶとく戦えるのが長所だ。また、レベル9で覚える技の選択肢として遠距離攻撃の高火力技「ソーラービーム」もあるので、スナイパーとして戦うこともできる。

↑フシギバナが覚えるギガドレインは、攻撃しながら回復できる技。この技だけだと瞬間火力はそれほど高くないが、回復できるぶんダメージレースを制しやすい。ちなみに、つい最近のアップデートでギガドレインの回復量が弱体化され、ソーラービームのダメージ量が強化されたため、今後はスナイパーとしての運用が増えそうだ。スナイパー運用の場合、レベル5で覚える技は、当てた敵の移動速度を落とせる「ヘドロばくだん」がおすすめ

 

しかし、いくら回復技を持っているとはいえ、敵に倒されてしまっては本末転倒だ。フシギバナに限った話ではないが、引き際が何より大切になる。フシギバナのようなアタッカー型のポケモンは素の耐久力が低めで、複数の敵から集中攻撃を受けてしまうとすぐにKOされてしまう。そういった状況を回避するため、敵の増援が来るか来ないか常に考えつつ押し引きを判断しなければならない。敵もそれをわかっているわけで、特にHPが減っている場合は遠距離や死角からの奇襲を狙われることも多い。

↑草むらのなかに潜んでいる敵は接近しないとプレイヤーから見えない。これを利用して敵プレイヤーに待ち伏せを仕掛けたり、野生ポケモンのラストヒットを狙い敵からキルスティールしたりできる

 

だからこそ、本機の大きな画面は視野を広げてくれるので安心感が違う。ポケモンユナイトに限らず、シューティングゲームなどでは特に当てはまることだが、画面外から迫る敵の襲撃を少しでも早めに察知することが勝負の明暗を分ける。Black Shark 4を使っていて、かつ回線も高速で、それでも負けたのなら、素直に敗因を分析して改善しようという気にもなるものだ。

 

対戦の母数がそれほど多くないので、本機を利用したことによる勝率への好影響がどこまであったか具体的に書くことは難しい。筆者はスマホ版に乗り換えて以降300戦ほどランクマッチに潜っているが、使っているポケモンによる勝率差、あるいはプレイヤースキルの成長などもある。だが、感覚の上では筆者が普段使っているiPhone XRよりも、Black Shark 4のほうがゲームプレイ時の快適性は高いように感じた。ちなみに、本機使用中の勝率はソロプレイで60%くらいだったので、勝てていると思いたい。

 

また、放熱については、さすが液冷といったところ。10戦程度(100分前後)連続でプレイしても気にならないレベルであった。別売りのスマホクーラーもラインナップされているが、筆者の感覚では、それを使わずとも十分なように思う。

↑別売りのクーラー「FUN COOLER 2 PRO」(税込5980円)。挟み込む形で使用する外付けクーラーだ。光るのはかっこいいが、かさばるので操作性がやや犠牲になる

 

ちなみに、別売アクセサリーとして「モンスターゲーミングトリガー」(税込2700円)という、ゲームコントローラーのL・Rボタンと同様のボタンを設置できるキットも発売されている。画面の表示領域に干渉してしまうが、活用できるタイトルを遊んでいる方は検討してもいいだろう。

↑モンスターゲーミングトリガーを装着した状態。操作性は上がるが、画面の一部が見えなくなってしまうのが玉に瑕

 

ここまでの高機能で6万円以下はかなりの高コスパ!

以上、ゲーミングスマホとしてのBlack Shark 4の魅力をお伝えしてきたが、本機は非常に魅力的な商品といえる。性能比で考えれば6万円を切る価格はかなりコストパフォーマンスが高い。スマホでガッツリゲームをしたい方はもちろん、人とは違うユニークなスマホを使いたいガジェット好きにも、おすすめしたい一台だ。

 

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