今回は初めて落語会なるものに行ってきた話。
お笑いは好きな方だ。
でも落語はそうでもなかった。
イメージとして古臭くてリアルには面白くないという固定観念があった。
それでも今回チケットを譲って頂く機会があって、天満繁昌亭に初めて行った。
落語会も初めてなら天満繁昌亭ももちろん初めて。
ただ寄席という場所には浅草に住んでたときに1回だけ行ったことがある。
確か東洋館だった。
誰が出てたかとかはもう忘れた。
天満宮の前にある天満繁昌亭。
結構人が多くて驚いた。
もちろん天満宮にお参りする人も多いんだけど。
11時からの朝席と14時からの昼席2枚のチケットを譲ってもらって、まずは11時からの朝席。
新春落語会と称して若手4人が高座に上がる。
一人目が桂九丿一、二人目が桂華紋、三人目が笑福亭喬介、四人目が桂三幸。
四人とも初めて聞く名前で初めて見る。
桂九丿一:野崎詣り
ぱっと見、棒のような体だ。
着物も相まってまるでごぼうだ。
ネタは野崎詣り。
初めて聞く話だ。
川を下る船から岸を歩く人に喧嘩を売って、落ちはとにかく頭を下げさせたら勝ちみたいな話。
お手本のしっかり者と、その通りやろうとするんだけど元来の弱気な面が出てどうにも言い負かせないヘタレという対称的な二人をうまく演じ分ける。
それと岸を歩く人もいるので結構登場人物が多い。
それをどう演じ分けるのかもポイント。
ヘタレな感じがキャラクター的にもうまくマッチしてて面白かった。
桂華紋:茶の湯
お次は桂華紋で茶の湯。
個人的には一番面白かった。
ガタイも結構迫力ある感じ。
正しい茶の湯を誰も知らない中始まったなんちゃって茶の湯がやがて正当なものとなるというストーリーがまず面白い。
そのポイントがご隠居の正体。
そこは伏せるとして途中の裏千家表千家で爆笑。
途中の顔芸もお見事。
とにかく一番笑わせてもらった。
笑福亭喬介:元犬
お次は笑福亭喬介の元犬。
まず声が特徴的でちょっと可愛い系。
今回のネタもそうだったが動物系合いそうな声。
話は天神さん境内でうろついていた野良犬シロが人間になって起こす騒動の話。
犬人間のおかしさをどう出すか。
そこを声で乗り切ってる感じがいい。
もうその可愛らしい声が犬なのよ。
話もわかりやすくてこれもかなり笑った。
桂三幸:二つの未来
最後は桂三幸で創作落語の二つの未来。
教育実習できた学生が実は母校軽音部の伝説の生徒で唯一プロになったという設定。
ただ全体的に声が突っ込んでて個人的には少し聞き取りにくい。
それがあってのめり込めなかった。
初めて高座で歌ってハーモニカ吹く落語聞いたわ。
そういう意味では落語もいろいろ進化?しているみたい。
(右から桂九丿一、桂華紋、笑福亭喬介、桂三幸)
落語もそうだけど、ネタ前の枕がリアルに面白かった。
シンプルに話芸としてやはり落語は強いなと思った。
昼席
お昼休憩を挟んで昼席。
出し物はこんな感じ。
はっきり言って朝席のほうが面白かった。
一番感じたのはネタより枕。
やはり昼席は特に落語家はベテランが多いせいか枕が今ひとつ古臭い。
別に話の内容が古臭いわけじゃないが、テンポが古臭い。
たぶん今はテンポがどんどん早くなってきてて、それに乗れる乗れないで、面白い面白くないも決まるんじゃないかな。
そんな中、ちょっとびっくりしたのが、トップバッターの女性落語家・月亭八織さん。
月亭八方師匠のお弟子さんで、おきれいな方。
ネタがなんと元犬で、朝席の喬介さんとネタかぶり。
でも演じる人が違えば全く違うふうに聞こえるのが面白いね。
話の膨らまし方とかで喬介さんのほうが個人的には面白かった。
昼席で一番良かったが、似顔絵のいわみせいじさん。
筆と墨だけで書くのだが、文字から始めて最後に一幅の絵に持っていく芸、会場の人の似顔絵をササッと筆と墨で書く芸(これが特徴をよく捉えていてほんと似てる)、そしてイミフな線で書いて最後紙を裏返すとあら不思議そうなるのか!という驚きの技。
とにかく一番感心した芸だった。
落語で一番面白かったのは露の団四郎さんかな。
枯れたエロジジイ感がよかった。
二席合わせて四時間強。
でも入れ代わり立ち代わりなので、そんなに長く感じなかった。
終わったあと、繁昌亭の前で、演者の一人が、ファンのオバサマ方に囲まれて写真とか撮ってたりしてるのを見ると、この近さは、地下アイドルに通じる部分があるね。
寄席もライブハウスみたいだったし。
朝席のような感じならまた見てもいいなと思った。