人気YouTubeチャンネル『料理研究家ゆかりのおうちで簡単レシピ / Yukari’s Kitchen』のゆかりさんに、卵料理の基本を教えていただく連載の2回目。今回のテーマは「卵焼き」です。
「卵焼き」は、朝食やお弁当にはもちろんのこと、家飲みのおともにも欠かせない一品ですよね。卵をきれいに巻く焼き方のポイントや、作り置きやお弁当にもぴったりの冷めてもおいしい卵焼きまで、わかりやすく解説いただきました。
[目次]
・基本の「卵焼き」
・長いもを加えた「ふわふわ卵焼き」
・刻んだ大葉を加えた「大葉の卵焼き」
・出汁を漬け込む「だし巻き卵」
カギは「漉し」と「ゴムベラ」にあり! ちょっとした工夫でお店のような卵焼きに
「卵を溶いて、調味料を入れて、焼くだけ」でもおいしい卵焼きですが、ちょっとした工夫でお店の味にぐっと近づけることができます。主な道具として、長方形型の卵焼き用フライパンと卵を返すゴムベラ、そしてザルや茶漉しなど家庭にある網目のキッチン用具のご用意を。早速、基本的な卵焼きの作り方のポイントを教えていただきましょう。
「ご家庭でもおいしい卵焼きを作るポイントは3つあります。1つは、卵1個あたり大さじ1の水を加えること。水を加えることで卵のタンパク質が崩れやすくなり、ふわっとやわらかな卵焼きができます。2つ目が、ザルや茶漉しで卵液を漉すこと。きめ細やかな卵液にすることで、口当たりもよくなり、焼き上げる際にも返しやすくなるメリットがあります」(料理研究家・ゆかりさん、以下同)
「3つ目のポイントが、卵を返す際にゴムベラを使用すること。ゴムベラなら卵との接地面を広く取ることができるので、苦手な方でも上手に返すことができます。菜箸を使う方はなるべく大きく開いたハの字にすると上手に仕上げられるでしょう」
また、卵焼きにおいて重要なポイントがもうひとつ。火にかける前に“あるもの”を準備しておくとスムーズに卵焼きが作れるそう。
「卵焼きを上手に仕上げるポイントがもうひとつ。油が減ってきたな〜と思ったら、都度フライパンに油を引くことで、見た目もおいしい卵焼きを作ることができます。キッチンペーパーと小皿があれば簡単にできるので、作る前に準備しておきましょう」
「適当なサイズにちぎったキッチンペーパーを使いやすいサイズに小さく畳み、小皿に取り分けた油に浸すだけ。これだけで立派な油引きを作ることができます。菜箸でつまめば、薄くまんべんなく適量の油を引けるのでとっても便利。また、作っている最中にフライパンが熱くなりすぎていると感じたら少し火から離し、温度を下げることもお忘れなく」
基本の「卵焼き」
では、卵焼きの基本レシピを解説していただきましょう。
【材料】
卵:3個
水:大さじ3(※卵1個に対して、大さじ1が目安)
白醤油:小さじ1
砂糖:小さじ2分の1
サラダ油:適量(※ほかに、小さく畳んだキッチンペーパーに油を染み込ませて準備しておく)
【作り方】
1. ボウルに卵3つを割り入れ、水、白醤油、砂糖を加え、白身を切るようにしっかりとときほぐす。
2. 混ぜ合わせた卵液をザルや茶漉しを使い、少しずつ漉していく。
3. フライパンに油を引き、弱中火の加減で温める。(30秒目安)
4. フライパンが温まってきたら、全体に卵液が行き渡るくらいの量(卵焼き用フライパンならお玉で約1杯分)を流し入れ、全体に広げる。
5. 持ち手側を持ち上げ、手前から奥へ卵を返し、卵焼きの「芯」を作る。(多少崩れてもOK)
6. 手前の空いたスペースに油を塗りたし、「4」と同じ量の卵液を加える。この時、芯の下にも卵液が行き渡るように少し浮かせるのがポイント。
7. 加えた卵液が固まったら、奥から手前に返し形を整え、奥へと移動させる。
8. 卵液がなくなるまで「6」と「7」を繰り返し、フライパンの端で形を整えたら、完成。
長いもを加えた「ふわふわ卵焼き」
上のレシピでも「水」を入れたのでふわふわな食感を楽しめますが、「長いも」を入れることで、よりふわっと仕上げることができるのだとか。長いもを加えたレシピも教えていただきました。
【材料】
卵:3個
長いも:100g
水:大さじ3
昆布茶(粉末):小さじ2分の1
砂糖:小さじ1
サラダ油:適量
作り方は、上記とほとんど変わりません。水・昆布茶・砂糖と卵を混ぜ、ザルでこした卵液に、擦った長いもを加えてしっかりと混ぜ合わせます。あとは、基本の焼き方と同じ。基本を抑えていれば、アレンジもしやすいですね。
ちなみに、長いもを加えただけですが、見た目にもはっきりと違いが!
冷めてもふわっとした食感を楽しめる卵焼きなので、お弁当のおかずや作り置きにおすすめです。
この作り方をさらにくわしく、動画で確認したい場合は、ゆかりさんのYouTube『簡単なコツでキレイな卵焼きの作り方♪ふわふわの卵焼きの技をご紹介します☆』『ふわふわ卵焼きの作り方!冷めてもおいしい卵焼きのコツをご紹介します♪』の2本をチェックしてみてください。
1.https://www.youtube.com/watch?v=wp0-ue59_Bg
2.https://www.youtube.com/watch?v=9yIJly5mnHo
続いて、卵焼きのアレンジレシピも教えていただきました。
提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」
おうちでも手軽にお店の味が楽しめる? 「大葉の卵焼き」と「だし巻き卵」の作り方
卵焼きの基本がわかったところで、アレンジレシピも教えていただきましょう。今回教えてもらうのは、卵焼きの中に刻んだ大葉を加えた「大葉の卵焼き」と、出汁を後から漬け込む「だし巻き卵」です。簡単なコツを覚えるだけで、お家でも本格的な味を楽しめますよ。
きれいなグリーンが色褪せない「大葉の卵焼き」
基本の焼き方をマスターできれば、中に具材を混ぜ込んだ卵焼きも簡単に作れます。ネギや明太子、青のりやコーンなどを入れることで、卵焼きのバリエーションも増やせますよね。大人な風味がふわっと香る大葉も人気ですが、茶色に変色してしまい、残念な見た目になってしまいがち。今回は見た目も美しい「大葉の卵焼き」を作るコツを伺いました。
「大葉の卵焼きは口に入れた時の風味が豊かで、私も大好きな卵焼きです。しかし時間が経つと大葉の緑色がくすんでしまうことも……。綺麗な緑を維持するコツは、刻んだ後に10分ほど塩揉みし、水洗いすること。ちょっと手間ですが、塩もみしておくだけでお弁当に入れても鮮やかな彩りを感じさせてくれますよ。
また、 マヨネーズを水で溶かした“マヨスイ”を使うことで、ふわっとした卵焼きにすることができます。卵焼きにマヨネーズを入れるのは、メジャーになってきましたが、そのまま入れるとダマになってしまうので、少しずつ水を加えながらマヨネーズを溶かしたマヨスイにするのがおすすめです」(料理研究家・ゆかりさん、以下同)
【材料】
卵:3個
大葉:6枚
水:大さじ3(※卵1個に対して、大さじ1が目安)
マヨネーズ:大さじ1
醤油:小さじ1/2
みりん:小さじ1/2
調理酒:小さじ1
顆粒こんぶだし:小さじ1
サラダ油:適量(※ほかに、小さく畳んだキッチンペーパーに油を染み込ませて準備しておく)
【作り方】
1. 耐熱容器に顆粒のこんぶだしに、醤油、みりん、調理酒を加え混ぜ合わせ、600Wの電子レンジで20秒加熱する。レンジから取り出し、顆粒が残っているようであればしっかり混ぜて溶かしきり、粗熱をとる。
2. 大葉の茎を切り取り、千切りにする。
3. ボウルに「2」を入れ、塩小さじ1/2(分量外)と共に20秒ほど塩もみ。10分ほど置いたあと、水洗いし、塩気を取る。
4. ボウルにマヨネーズを入れ、少量ずつ水を加え、ダマがなくなるまで混ぜ合わせる。(マヨスイは、使う卵の数に合わせて調整する)
5. 卵(事前に漉したもの)を混ぜ、粗熱が取れた「1」、水気を切った「3」の大葉、液体状態の「4」を加え混ぜ合わせる。
6. フライパンに油を引き、弱中火にかける。(30秒目安)
7. フライパンが温まってきたら、全体に卵液が行き渡るくらいの量(卵焼き用フライパンならお玉で約1杯分)を流し入れ、全体に広げる。
8. 持ち手側を持ち上げ、手前から奥へ卵を返し、卵焼きの「芯」を作る。(多少崩れてもOK)
9. 手前の空いたスペースに油を塗りたし、「7」と同じ量の卵液を加える。この時、芯の下にも卵液が行き渡るように少し浮かせるのがポイント。
10. 加えた卵液が固まったら、奥から手前に返し形を整え、奥へと移動させる。
11. 卵液がなくなるまで「9」と「10」を繰り返し、フライパンの端で形を整えたら、完成。
この作り方をさらにくわしく、動画で確認したい場合は、ゆかりさんのYouTube『大葉の卵焼きの作り方☆卵焼きを綺麗に巻くコツやフワッと仕上げる方法をご紹介♪』をチェックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=MxpPOv8TM6k
最後は、ふわっとジューシーな「だし巻き卵」のコツを教えていただきます。
提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」
漬け込んで簡単! 出汁は後入れの「だし巻き卵」
たっぷりと出汁が染み込んだだし巻き卵、おいしいですよね。でもなかなかお家で作るのは大変! 水分を多く含んだ卵はなかなか固まらず返すのに苦労したり、思っていたより味が濃い卵焼きになってしまったり……。卵焼きさえできれば、誰でもおいしいだし巻き卵が作れる方法を教えていただきました。
「お店で出されるだし巻き卵は、溶いた卵にだし汁を加えて焼き上げますが、なかなかお家で作るにはハードルの高い料理です。今回ご紹介するのは、卵焼きにだし汁に漬け込むだし巻き卵。卵焼き自体には味付けをしていないので、味のバランスもちょうどよく、出汁を漬け込むので焼きの失敗を心配する必要もありません。卵本来の味わいに出汁の深いコクが染み込んだ、おいしいだし巻き卵になりますよ」(料理研究家・ゆかりさん、以下同)
【材料】
卵:3個
水:(卵焼き用 ※水の量は、卵1個に対して、大さじ1が目安))大さじ3
(出汁用)100ml
顆粒かつおだし:小さじ1
薄口醤油:小さじ1
みりん:小さじ1
サラダ油:適量(※ほかに油は小さく畳んだキッチンペーパーに染み込ませておく)
【作り方】
1.耐熱容器に水100mlと顆粒かつおだし、薄口醤油、みりんを加え軽く混ぜる。
2. 「1」を600Wの電子レンジに入れ、1分加熱。顆粒が溶けていなければ、しっかりと混ぜ合わせておく。(卵焼きが出来上がるまで冷ます)
3. ボウルに卵3個と水大さじ3を加え、よくときほぐす。
4. しっかり混ぜ合わせたら、ザルや茶漉しを使い、少しずつ漉す。
5. フライパンに油を敷き、弱中火の加減で温める。
6. フライパンが温まったら、全体に卵液が行き渡るくらいの量(卵焼き用のフライパンならお玉1杯分ほど)を流し入れ、全体に広げていく。
7. 持ち手側を持ち上げ、手前から奥へ卵を返し、卵焼きの「芯」を作る。(多少崩れてもOK!)
8. 手前の空いたスペースに油を塗りたし、「6」と同量の卵液を加える。この時、芯の下にも卵液が行き渡るように少し浮かせるのがポイント。
9. 加えた卵液が固まったら、奥から手前に返し形を整え、奥へと移動させる。
10. 「8」と「9」を繰り返し、卵焼きが出来上がり。
11. ジッパー袋に「10」の卵焼きと「2」の出汁を入れ、空気を抜きながら封をする。
12. 粗熱を取ってから、冷蔵庫で半日冷やすと、出汁が染み込んだ「だし巻き卵」の完成。
漉した卵液に刻みネギ15gを入れ、今回使用していた「顆粒のかつおだし」を「顆粒のこんぶだし」に変更するとおいしい『ネギ入りのだし巻き卵』も作れます。
この作り方をさらにくわしく、動画で確認したい場合は、ゆかりさんのYouTube『だし巻き卵の作り方☆漬け込んで作るおいしいだし巻き卵の裏ワザです♪』をチェック。
https://www.youtube.com/watch?v=aLkEltF6N_M
ちょっとのコツでおいしさがアップする「卵焼き」。簡単にできるからこそ見落としがちなコツを知ることで、いつもの味がグッとレベルアップするはず。基本を知っているだけで、アレンジの幅が広がり、他の料理にもチャレンジしたくなりますよね。
【プロフィール】
料理研究家 / ゆかり
調理師免許の資格を活かし、『おうちで簡単に作れるレシピ』をモットーに、YouTube・テレビ・ラジオ・雑誌・料理イベントなどを中心に活動。チャンネル登録者数45万人(10/9現在)のYouTubeチャンネル『料理研究家ゆかりのおうちで簡単レシピ / Yukari’s Kitchen』では、簡単スイーツをはじめ、和食、洋食、中華など幅広くレシピ公開。調理師免許やたまごソムリエの資格も持ち、2016年に卵料理レシピ本『たまご大好き』(アールズ出版)を出版。
料理研究家ゆかりのおうちで簡単レシピ / Yukari’s Kitchen
https://www.youtube.com/channel/UC7LT6gRahCIBd5AO5MUl8dQ