驚くべき結果になった。開いた口が塞がらないとは、正にこのこと。
下のリンクはgoogleで【木の根 イラスト】で検索した結果です。
多くのイラストが、ほぼ100パーセントといっていいでしょう、空想上の根っこの姿を描いているではないですか。
その代表的なものとして、イラストフリー(使用無料)な素材があったので拝借掲載します。
どうして、この様な根の姿のイメージが広がったのでしょうか。
世界中の現代人が、この根っこのイメージを潜在的に抱いています。
人間の潜在意識に深く刻み込められているのでしょうか。
おそらくは、身近な背丈の低いつつじなどの庭木や草花のイメージを大木になった樹木にも無意識に投影しているのではないでしょうか。
また、雑草が深く根を張っていて中々抜けないといった体験もしていることでしょう。
大根や、ニンジン、ゴボウといった地中深くに根を張る野菜の影響もあるかもしれません。
紅葉の季節で、木々が色付いています。
この木の根っこのイメージを、多くの人が抱くイメージみたいに逆さまにしてみました。
地上から出た幹や枝を、逆さまにしたイメージとして樹木の根っこは捉えられているようです。
これだけじゃあ、写真がひっくり返っただけで、貼り間違いみたいな感じです。
思っている方のイメージですが、これが、空想でしかありません。
そもそも、根っこの役割は、地上部の体を支える構造的なことと、養水分の探求細胞としての細根の発生促進、そして、最も重要なことが、菌糸のネットワークによって養水分を確保することと、植物細胞内外に様々な共生菌を生息させることです。
楓が一個体として見えても、根圏では、多種多様な菌群や微生物、動物、植物が共生生活を送っているのです。
最新の研究から、おおざっぱに見て、この楓に共生する菌根菌の種類だけでも100種類以上はいる事でしょう。
根圏に生息する地下の小さなダニを含めた動物の数は100万匹を超えるのは確実ですし、
(森林土壌では1平方メートルで10万匹と一般に言われています。)
紅葉した葉っぱにも無数の小動物が生息しています。
葉っぱの数が1万枚として、一枚の葉に100匹のダニがいるとします。
目に見えない顕微鏡サイズのダニ達です。
10000枚×100匹で、 100万匹のダニが、葉っぱにはいます。
また、カビたちもその10倍はいる事でしょう。
一本の楓の木だけでも、とてつもない生命圏ですね。
また、菌根菌として見える菌糸の多くは、担子菌の仲間のようです。糸状菌と呼ぶ土壌菌のほとんどもこの仲間だと思われます。(いまだに、実測した例がないので推測です。)
糸状菌が土壌菌として農業の役に立っているというのは、
自然栽培などを行っている微生物を最大限に利用して活用したい農家にとって、ほぼ常識でしたが、
実際に糸状菌の正体が何なのかを見極めた方は皆無と言っていいでしょう。
白い菌糸を張る微生物として、コウジカビなどが考えられています。
でも、この考えも、間違ってはいないのですが、
糸状菌の中で最も多く植物に影響を与えているのが担子菌。つまりキノコの菌であったと言えるのではないかと考えています。
キノコの菌というと、シイタケやマツタケ、シメジにエノキタケと様々なキノコが存在しています。
ので、
通常のキノコのイメージはほぼ、食用になるかならないかという、図鑑で見る姿を思い浮かべます。
でも、
人間の姿と同じで、人間の種である静止と卵子も生命体ですね。
ヨチヨチの赤ちゃんも人間の生命体ですし、老いた、杖を突いて歩く高齢者も人間の一形態です。
どの姿が人間の正体化といっても、全ての姿が人間の姿として正解なのです。
キノコも、胞子の時代、菌糸を伸ばして栄養探求する時代と様々ですが、
その生態はまだまだ謎だらけ。
何しろ、図鑑に掲載されているなどのキノコの種類が下記によると、
『……..日本では既知の約2500種と2、3倍程度の未知種がある……』と、
あって、名前がついているキノコよりも、名無しのキノコや未発見のキノコがその倍以上はあることになります。
【参考】 キノコ 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
キノコ 出典
単に、キノコの種類を調べようとしたら上記には、とても詳しくキノコの事が載っています。
キノコという呼び名にしても、通称のようです。
まずは、ザッと目を通してみて、その未知の不思議な生態の一端に触れていただければと思います。
先に糸状菌の正体は担子菌と書きましたが、あくまで、憶測ですから根。
最初の問題に帰りましょう。
木の根っこの姿です。
ここで引用するイラストは、
『樹木土壌学の基礎知識』(堀 大才 著)講談社
著者:堀 大才(ホリ タイサイ)
1970年 日本大学農獣医学部林学科卒業
現 在 NPO法人 樹木生態研究会 最高顧問
長年、現場で樹木の管理をされてきた方で、文献学者ではありません。
フィールドでの経験からの体験が著作となったもので、おすすめです。
ただし、菌根菌や共生菌については、ほとんど知っておられないようなので、ページ数も2ページ弱しか割いていませんので、悪しからず。
この本から、イラストを拝借いたします。
この図は、実際の木を調べて書かれています。
大木が、ホウキを逆さまにしたような形の根っこをしているというのは、単なる空想でしかありません。実際に、根っこの隅々まで掘って実態を解明することはとても大変なことで、土や、他の草木の根っこを排除して、対象とする樹木の蜘蛛の糸のような細根の実態を調べることは、とても大変なのです。ほぼ、不可能に近い発掘作業が求められます。
ホウキの形は、太めの根っこの姿であって、太めの根っこから延びる細い根っこが描かれていないのです。
人間の血管で言えば、大動脈から延びる中位の太さの根っこまで描かれて、指の先まで来ている細い血管が描かれていないようなものなんです。ね。
根っこの姿の実態についての詳細は、この
『樹木土壌学の基礎知識』(堀 大才 著)講談社
をご購読ください。本体3000円と、決して安くはありませんが、ぜひ読んでおきたい基礎知識が書かれています。
※カラーの線や文字は、私が書き入れたものです。
街路樹の根っこがどうなっているかというイラストです。
私も初めて知りました。
常々、都会に行ってコンクリやアスファルトだらけの場所に植えてある植栽の根っこはどうなっているのだろうと、疑問に思っていました。
これで、謎が解けました。
路肩のブロックの下を潜り抜けて、地上を目指してアスファルトの表面に広がってゆきます。
根っこに共生する菌根菌にとって空気呼吸が必要なので、空気の無い地下よりも表土に行くのですネ。
土中の環境に適応して根っこは共生菌と一緒に成長してゆきます。
空気の無い地下にエネルギーを使って潜る必要は一切ありません根。
水分の供給も、地表の菌糸ネットワークが驚くべき水路とダムを造りますよ。(後日発表
)
根っこの実態調査の学術書があることはあるのですが、とても高価です。
たとえば、これ。
とても買えません。(´;ω;`)
最新 樹木根系図説 苅住昇 誠文堂新光社
このご本の著者には、
『森林の根系特性と構造 バイオマス算定に向けた基礎解析』
という著作もあります。
目次のみ転載します。
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苅住 曻/著
群落学的立場から根量および吸収構造の解析を中心に林分の各部分の現存量・生産量・物質貯蔵などの調査測定をおこない、根系の分布・形態を明らかにし、森林の生産と根系の機構および機能について生態学的な考察を加えている。
主要目次:
第1章 研究の目的
第2章 研究の背景
第3章 研究方法と現存量測定法
第4章 苗畑試験における幼令林の地下部の構造と根量分布の表し方
第5章 林分調査における地下部の構造の解析
第6章 根密度
第7章 林木の成長と葉量・根量
第8章 根系の水分吸収
第9章 林木の各部分の窒素・リン酸・カリウム・カルシウムの現存量
第10章 森林の生産量の循環
第11章 根系の形態と分布
第12章 根系の支持作用
第13章 根系の物質貯蔵
第14章 森林の根量と機能–まとめにかえて
ISBN:isbn9784306094390
体裁:B5・464頁
価格:本体 15000 円+税
出版年月:2015年1月
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値段をみて、一桁違えば買っています。
間違えて注文したかた、読みたいので貸してください。必ず返します。
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間違った知識は、知らず知らずに埋め込まれたりします。
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似たような内容なら、必ず、新しいものを選びます。
実は、『樹木土壌学の基礎知識』(堀 大才 著)講談社には、
参考文献が末尾に掲載されています。
まずは、菌根関係の資料を見ると、とても古いものが1種類のみ。
その他の参考文献も古いものが多いのでした。
ご年配の方のようですが、先生の今後のご活躍、ご検討をご祈念いたします。
ここまで、読んでくださった方、ありがとうございます。
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