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産総研がもみがら・米ぬか・微生物による低環境負荷の重金属廃水の浄化方法を開発

産業技術総合研究所(産総研)は、9月9日、鉱山廃水など重金属を含む廃水を、もみがら、米ぬか、微生物を使って安定的に浄化する処理装置の運転管理技術を、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)との共同研究により確立したと発表した。

日本に多く存在する鉱山跡地には、環境に有害な重金属を含む「鉱山廃水」が流れ出ているところがある。そうした場所では、化学薬品で廃水を中和処理する設備が可動しているが、化学薬品の使用は環境に負荷がかかるため、微生物を利用した低コストで低環境負荷の浄水方式(パッシブトリートメント)に注目が集まっているという。

JOGMECでは、農業廃棄物であるもみがらと米ぬかを、微生物の担体(微生物を保持する材料)と栄養源に使い、硫酸還元菌を活性化させて重金属を沈殿除去する装置を研究してきた。だが、装置内でどの微生物が働いているかが未解明であったため、装置の安定的な維持管理が難しかった。そこでJOGMECは産総研と協力し、処理に不可欠な微生物の特定と、装置の運転条件の最適化に取り組み、一部の硫酸還元菌だけが突出して有用であること、そしてその活性を維持することで安定的に廃水処理が行えることを突き止めたというわけだ。

JOGMECの装置は、基本的に2種類の微生物が働いている。ひとつは米ぬかの高分子有機物を、他の微生物の餌となる低分子有機物に分解する分解菌。もうひとつは、その低分子有機物を餌にして、硫酸を硫化物イオンに変換する硫酸還元反応を行う硫酸還元菌だ。硫化物イオンは、重金属と反応して金属硫化物となり、装置内に沈殿する。これを除去することで廃水が浄化される。

今回の研究では、JOGMECの装置を、廃水流量、米ぬかの量、運転準備期間の条件を7通りに設定して200日間運転し、廃水処理能力を比較した。その結果、装置内の硫酸還元菌の種類を制御できれば、長期的な安定運転が可能であることが判明したという。

現在は、今回開発した装置を大規模化した実証実験が行われている。そこで産総研とJOGMECは微生物の解析を行い、米ぬか以外の有機物を使った装置を開発し、鉱山廃水のみならず、産業廃水など、さまざまな条件の廃水への適用を進めるとのことだ。