任天堂が本日(2021年9月10日)発売したNintendo Switch用ソフト「おすそわける メイド イン ワリオ」は,ミニゲームよりもさらにショートな“プチゲーム”を次々にクリアしていく「メイド イン ワリオ」シリーズ最新作だ。
2003年3月にゲームボーイアドバンス用ソフトとして登場した1作目以降,ニンテンドーDSやWiiなどさまざまなゲーム機向けに展開してきたメイド イン ワリオの特徴と言えば,ダブルスクリーンやWiiリモコンといったゲーム機の仕組みを生かした遊び。Switch初のシリーズ作品となる本作は,そのタイトル名にあるとおり,Joy-Conのおすそわけで200種類以上のプチゲームすべてを2人同時プレイで楽しめる。そんな本作の魅力を紹介していこう。
プチゲームは200種類超え! 選んだキャラクターでクリア方法も変わる
本作の主役はご存知ワリオ。どこかマリオに似た風貌だが,わがままで怠惰,そして,ちょっぴりニンニク臭い悪のカリスマ(?)だ。
職業・トレジャーハンター。たまに冒険家。そんな彼にはさらにもう一つの顔がある。それはゲーム会社の社長。さまざまなゲームをリリースして世の中を笑顔にする……もとい,一儲けを企むワリオが,そのゲームによって周りの人たちを巻き込んでひと騒動を起こすというのが,このシリーズの基本的な設定となっている。
今回,ワリオとその仲間たちは,自分たちが作ったゲームの世界へと吸い込まれてしまうところから始まる。
いったいゲームに何が起きたのか? バラバラになってしまった仲間たちと再会できるのか? ゲームの世界に起きた謎を解き,現実世界へと帰ってこられるのか?
……ともあれ,いい意味でシリアスなムードとは無縁なワリオと仲間たちが,自分たちが作った200種類以上のプチゲームに挑む姿が描かれるのである。
これまでのシリーズ作品を簡単にまとめると,連続して出題される「指令」(プチゲーム)を次々に挑戦し,どんどん加速していくゲームスピードにも対応しながらハイスコアを狙ってクリアを重ねていくというのが基本的なゲームの進め方である。本作もその基本の部分は変わらないが,これまでのシリーズ作品と大きく異なる点がある。
それが,ワリオやジミーT.,アシュリーなどのシリーズファンならおなじみのキャラクターがプレイヤーキャラクターとして登場し,そのキャラクターによってプチゲームの解き方が変わるという点だ。例えばプチゲームのひとつ「リフティング」だと,通常はボールを下から突き上げてクリアを目指すのだが,物体をUFOに吸い込めるオービュロンならボールの上に移動して“吸い込む”ことでクリアできる。
このように,プチゲームの解き方を覚えるだけでなく,「指定されたキャラクターのアクション」を瞬時に思い出し,どうやって解けばいいかを判断する必要もある。操作のウデに加えて,キャラに合わせて素早くアタマを切り替える柔軟性も問われるわけだ。
大半のキャラは普通にリフティングしてクリアを目指すが…… |
そんなのアリ? と思うかもしれないが,これがアリなのがメイド イン ワリオらしさでもある |
操作できるのは,公式サイトで公開されている15キャラクター+ストーリーモードを進めることで追加される5キャラクターの全20キャラクター。まずは「ストーリーモード」を進めていき,すべてのキャラクターを揃えれば,よりプチゲームの面白さを堪能できる。
……いや,「『おすそわける メイド イン ワリオ』は,キャラクターを揃えてからが本番だ!」といっても過言ではないほど,キャラクターが増えれば増えるほど遊び方も増えていくのだ。
収録されている200種類以上のプチゲームはなんと完全新作。ゲーム性や雰囲気はもちろん独創的でクセがすごく,シリーズファンであれば「ますます暴走しているな」と喜びを持って迎え入れられるだろう。
ビジュアルや演出は,シュールかと思ったらかわいかったり,あまりにばかばかしくて笑ってしまうものだったりと,ゲームを始めてすぐは,そのクリア方法どころか,目の前で起きていることの意味すら分からず時間切れということも起こるかもしれない。
しかし,見た目のシュールさやばかばかしさに騙されてはいけない。物理演算が利用されているものも多く,動きをよく見て微調整する繊細さが求められることも多々あるのだ。それもメイド イン ワリオらしさの一つ。独創的な演出を楽しみつつ,それに惑わされることなくクリア方法を見つけだそう。
「とれ!」と言われても……ハチが刺さっている? 背景の顔も謎だ |
「すすめ!」と言われて必死でトロッコをこいでみれば,後ろの車両にはご婦人がいた。観客(?)たちは,なぜかシルクハットを投げて大喝采! |
ポーズすると画面が暗転する,ゲームを止めて解き方を考えようとしてもそうはいかないのである |
たくさんのゲームがあるうえにキャラクターの数だけ解き方があると考えると,単純計算ではあるが200以上のゲーム×20キャラクターで4000パターン以上もの遊びが楽しめることになる。プチゲームの内容とキャラクターのアクションがうまく噛み合わない場合,難度が極端に上がってしまうこともあるがそれもご愛嬌。慣れないうちはアクシデントに感じるかもしれないが,いずれアクセントとして楽しめるようになるはずだ。
1人でも複数人でも楽しめるさまざまなゲームモード
プチゲームとは何かを伝えたところで,ここからは本作のゲームモードを紹介したい。
まず最初にプレイすることになる「ストーリーモード」では,指令はさまざまな「ジャンル」に分けられており,マップ上でそのジャンルを選んでプチゲームに挑むことになる。各ジャンルの最後には「ボスステージ」が待っている。それまでのものより手強いプチゲームが揃って待ち構えているので心して挑戦してほしい。
カテゴリ「どうぶつ」は,かわいい動物が登場したり,優しさを育んでくれたりする(?)内容が多い |
「スポーツ」はその名のとおり,さまざまなスポーツを題材にしている |
「ニンテンドー」は任天堂のゲームにちなんだ,ゲームファンなら挑まずにいられない内容だ |
“おすそわける”とタイトル名にあるとおり,ストーリーモードではJoy-Conのおすそわけによる2人での協力プレイも可能だ。友人や家族など,誰かと声をかけあいながら,仕事を分担してこなすのも面白い。ゲームの途中から参加したり,抜けたりできる仕組みも用意されている。
1人で遊ぶときと異なるのはもちろん,キャラクターの組み合わせによっては,同じ協力プレイでもプレイ感覚がだいぶ異なることもある。それもまた「おすそわける」の醍醐味だ。
さまざまなバリエーションの遊びを最大4人で楽しめる「バラエティモード」では,プレイ可能な人数やルールが異なるオリジナルゲームが10種類用意されている。下の画像のとおり,バラエティ豊かなラインナップだ。
……と言われて画像を見ても,あまり伝わらないかもしれないので,いくつか紹介しよう。エンドレスでハイスコアを狙う「とことん」が3種類,みんなで勝負する「わいわい」が7種類あり,「とことん」の一つ「スーパーワリオカンパニー」は,ステージ内にある契約書を集めて会社に持ち帰る横スクロールアクション。社員が力尽きるまで仕事が終わらないという説明だけ読むと,なんとも恐ろしい気分になる(?)ゲームだ。
「とことん」からもう一つ。「エンエンエンドレスファイト!」は1人用のゲーム。好きなキャラを選び,CPUが操るキャラクターを倒していくというバトルロイヤル的なルールとなっている。金色のキャラは体力の多い強敵なので注意が必要だ。
「わいわい」の「ファイブカウントバレーボール」は,5カウント以内に相手コートにボールを返さないと失点して負けとなるゲームだ。カウントギリギリでボールを打てば威力の高いボールが返せる。
最大4人のプレイヤーが順番にプチゲームをプレイしつつ,ポンプに体当たりなどして風船をふくらましていく「ふうせんパーン」。風船が割れたときにゲームをプレイしていたプレイヤーが負けとなる,どこか懐かのあるルールで,シンプルゆえに盛り上がる。
ほかにも,ゲームをたくさんプレイして貯めたコインで「ガチャコロン」を回し,キャラクターへの「さしいれ」をゲットしてプレゼントする遊びや,クリアタイムやスコアを競うオンラインモード「ワリオカップ」といったやりこみ要素も。今回は発売前にプレイしているためオンラインモードは試せなかったが,いつまでもエンドレスで遊べそうだ。
さまざまなゲームを気楽に遊べるだけでなく,家族や友人とわいわい楽しんだり,かつての自分の記録やオンラインのライバルを超えるハイスコアを目指したりといった遊びが用意された「おすそわける メイド イン ワリオ」は,シリーズ未体験でもすぐに楽しめるシンプルさとゲームの数が魅力だ。少々クセのあるデザインや演出に好き嫌いはあるかもしれないが,無料体験版も配信中なので,一度そちらで独特の雰囲気を持つメイド イン ワリオの世界を覗いておくのもいいだろう。