もっと詳しく

コルベットに強靭なV8自然吸気エンジンを搭載したパフォーマンスモデルが登場。シボレー コルベットは、ベースモデルがすでに強力なスポーツカーだが、Z06になると、本物のV8のモンスターに変身する。

シボレーが「コルベット」の最新バージョンである「C8」を発表してから2年が経った。
ベースモデルの「スティングレイ」でさえ、競合車からも一際目立つ存在だったが、アメリカ人はまだパフォーマンスモデルを出していなかった。
しかし、「Z06」の登場により、その状況は一変した。
シボレーは、ミッドエンジンの「ベット(Vette)」シリーズを継承しつつ、史上最強の自然吸気シリーズV8エンジンを搭載している。

ビジュアル的には、「コルベットZ06」は、修正されたフロントエンド、大型化されたエアインテーク、リアのオプションのウイングユニット、V8から排気ガスを奪う4本のテールパイプに見ることができる。
しかし、それ以外の部分では、ベーシックなコルベットのお馴染みのブルータル(獰猛)なルックスが基本的にそのまま維持されている。
新型「コルベットZ06」のハイライトは、排気量5.5リッターの新型「フリーブレスLT6」V8エンジンだ。従来の「スティングレイ(6.2リッター)」よりもかなり小さいエンジンだが、フラットプレーン型クランクシャフトの採用により、最高出力680馬力、最大トルク624Nm、最高回転数8600rpmを実現している。

オプションのパフォーマンスパッケージでは、カーボンウィングやカーボンセラミックブレーキを追加。

Z06用オプションのカーボンホイール

これらの性能は、リアアクスルには21インチ、フロントアクスルには20インチのホイールを装着することで、道路上でバランスをとっている。
また、シボレーは、オプションでカーボンホイールを用意しており、アルミニウム製のホイールに比べて18.6kgの軽量化を実現している。
「Z06」には、フロントにブレンボ製の6ピストンブレーキと370mm径のブレーキディスクが、リアには380mm径のブレーキディスクが採用されている。
また、カーボンセラミックブレーキも用意されている(有料)。

4本のテールパイプは整然とした印象を与え、後ろにいる人に圧倒的な迫力のサウンドを伝える。アクションはここで起こっている!

コルベットのワイドトレッド化

ホイールが大きくなっただけでなく、「Z06」のトレッドはベースのスティングレイよりも、9.4cm広くなっている。
これにより、路面でのグリップ力が向上している。
新たにチューニングされたサスペンションと合わせて、コルベットのドライビングダイナミクスを再び高めることができる。
価格はまだ決まっていないが、発売までにはまだ時間がある。
「コルベットZ06」の生産開始は、2022年の夏を予定しており、ディーラーでの販売開始はもう少し後になると想定されるからだ。

新型「コルベット」はとても評価が高い。かなり辛口の自動車評論家の先生たちも絶賛するほどの完成度で、とにかく魅力的な本物のスポーツカー、なのだという。
たしかにフェラーリなどと比べても、その価格はバーゲンだし、「コルベット」の強みは、こんな高性能モデルであっても、日常にも使え、アメリカ車らしい耐久性を持っていることでもある。そしてそれが今や絶滅危惧種になりつつある内燃機関のV8エンジンを備え持ち、今回はさらにより高性能モデルの登場・・・。やはりGMの、そしてアメリカの底力を感じないわけにはいかないし、根拠もなにもないけれど、まだまだ内燃機関のエンジンは当面大丈夫じゃないか、という嬉しさと安堵感さえ覚えてしまう。
ミッドシップになったこととか、なんとなくフェラーリっぽいルックスなど、このV8エンジンを、自信をもって、2021年の世の中に発表する豪胆さの前では消え去ってしまう。そして、EVだ、プラグインハイブリッドだと、なんとなくショボい話題が連発する中では、自動車の魅力はこれぐらいじゃないとスッキリしないよなぁ、と青空のような気持ち良さのニュースである。

Text: Andreas Huber
加筆: 大林晃平
Photo: Chevrolet